月刊 追い焚き作業

見て聴いて読んで遊んだ記録です

2022年5月の話と6月の購入予定

今年の寒暖差の激しさに鼻がぶっ壊れております。鼻水が止まらん。

 

そんな6月の購入予定。

といっても、今月も特にコレというタイトルは無し。

6月からPSプラスがリニューアルっつーか、PS Nowと統合プラスアルファ的な感じになるみたいなので、一応アップグレードしてちょこっと触ろうかなと。

 

あと5月末辺りから再プレイしている『サイバーパンク2077』。いやーやっぱこのゲームすげー良い。

序盤のミッションをクリアしてマップが開放された後、端から端までトコトコと風景を懐かしみながら歩いちゃったよ。

発売直後の段階ではエラー落ちなどバグが多くて、なかなかサイドクエストなど手を出していませんでしたが、今回はちゃんと腰を据えてじっくりと遊んでおります。終わるまで6月中はほぼこれかな。

 

 

それでは先月遊んだゲームの話。

Series X『Trek to Yomi』

黒澤明リスペクトで作られたというモノクロ剣戟アクション。

ゲーム序盤は人間相手に刀でスパパって感じですが、黄泉とタイトルに入っているように、中盤から妖怪相手の地獄巡り的な雰囲気になっていくのが面白い。

 

戦闘は2Dで展開され、シンプルな攻撃や防御のシステムで遊びやすい。雑魚は簡単、ボスはパターンゲーという調整も今風。

 

ただ残念だったのが、パリィの気持ち悪さ。

相手の攻撃に合わせてパシーンと弾く感触ではなく、パリィが成功したと判断された場合、弾く瞬間の前後の動作全てがスローになり数秒感ヌルリと動作する。このぬるっとした感じにより爽快感ゼロ。戦闘ばかりのゲームなのに、コアとなる部分の出来がいまいちなので全体のプレイフィールが悪い。

 

ひたすら右に進みながらパラパラと襲ってくる敵を、相手の攻撃にあわせて倒していくミニマル感は『カラテカ』を思い出しました。

あと、お嬢さん。首長くないっすかね。

 

Series X『百英雄伝:ライジング』

割とオーソドックスな2DアクションRPG

戦闘ではボタンがそれぞれ3人のキャラクタの攻撃に割り振られており、それらを組み合わせてコンボを繋げようという作り。ただ、別にこれを意識しなくてもクリア出来るのでそれほど重要では無い点は残念でもあり、逆に手軽に感じる部分でもあり。

 

メインミッションと同時に街で依頼されるサブミッションがあるのだが、その数が膨大。

基本的には討伐依頼や、敵のドロップ品・ダンジョンで取れる素材を持ってきてというようなものから、ただの会話だけのおつかいまであり、まぁ退屈な物ばかり。

しかし、ファストトラベルがやりやすいなどベースの作りが丁寧かつナビゲートも充実しているおかげでほぼ無心で出来るほどにテンポ良く進むので、作業があまりに作業過ぎてオーバーフローした結果アッパーになる感覚がある。

 

全体的に難易度も低く、コレと言った引っ掛かりも無いゲームなのだが、アクション部分の小気味良さと、グラフィックの雰囲気がめっちゃ良いので、それだけでゲームとしてはアリ。

 

いやー本編の『百英雄伝』のリリースが楽しみ。本作で活躍したキャラクタのその後も見たい。

 

 

Series X『WATCH_DOGS』

前々から再プレイしようかなと思いつつ機会が無かったのだけど、先月はちょうど暇になったので久々に。

Series Xで走らせるとFPSブーストによりピタッと60fpsで遊べるのが良いですね。

 

しかしこの頃のUBIモントリオールはキレッキレ。

オープニングの入りからラストの瞬間までハイクオリティ。あのスタッフロールの入れ方は今プレイしても痺れる。

まだアクションゲームというよりも『アサシンクリード』の派生版という雰囲気があり、主人公のモーションのモッサリとした感じが本作の持つ重いストーリーとマッチしてて良いです。

この後『2』『レギオン』と続いているが、このシリーズは初代のインパクトが強すぎて、それが足かせになってしまっているシリーズではありますね。

 

あとついでなので、本編で登場した元ブルーム社員の天才ハッカーTボーンが活躍するDLCもプレイしてこちらも大満足。

同じ元ブルーム社員のトビアスと共に自由を手に入れる物語で、本編とは対象的に明るい物語。この作品の登場人物の良さが詰まったDLCで堪能させていただきました。こちらも本編と同じくラストミッションからのエンディングまでの流れが超良い。

 

 

それでは、その他のお家エンタメ。まずは本。

郝景芳(著)『流浪蒼穹

人類は火星へと進出したが、火星の政権が独立を宣言した為に地球と戦争に。互いの星が共に大きな犠牲を払いながらも戦争は終わり数年後。

地球と火星の国交正常化へ向けてお互いの政治家やビジネスマン、そして学生達の交換留学が終わり、火星への帰路から始まるSF。

 

SFらしい設定ではあるが内容はまさに青春小説で、主要となる登場人物は火星生まれで地球留学へ行った女学生ロレイン。

旅から帰ってきたら周りがみんなバカに見えたという思春期あるあるから、久々に実家に帰ったら兄がウヨっててマジツラいとか、なんかおじいちゃんが偉い人だから私も勝手に優遇されてて超迷惑とか、軍隊で働いている彼マジカッコいい、みたいな話。

それらが取止めもなくふんわりと語られていく内に、この火星で何が起きているのかが見えてくる。

 

そんな小さな日々の積み重ねが、終盤になるとその視点は徐々に引いて行き、火星を舞台とした群像劇になっていく。

それぞれの登場人物の思考が重なっていくと共に、火星全体の物語として立ち上がって来る面白さに圧倒された。

また人であれ組織であれ年月を経ていく事、これからの為の成長であったり一線から引く勇退であったりするが、それら誰もが経験する青春の終わりとしてリンクしていく構成はただただ上手い。

 

しかし、これを読んでいて思ったのが、全体の雰囲気がルシア・ベルリンの作品に共通している感じがするんだよね。

それは、著者が女性であったり、専業の作家ではなかったり、人生の難しさを小説という物を書く事で救済されようとしているかのような内容であったり(郝景芳は実業家でもあり成功しているが、本書を含め度々生きる事の悩みを綴っている)するからかも。

そして、経験や想いの発露を様々な形で登場人物に反映させる事によって、何も無い所から描ける何かを掴もうとした結果、散逸的というか、フォーカスが次々と変化していく感じ(これは短編集の形を取りながらもスペクトラムな構成で連作としてあるルシア・ベルリンの方が強いが)。

 

今年のSFはアンディ・ウィアー(著)『プロジェクト・ヘイル・メアリー』が絶好調ですが、もうちょっとSFを食べたいなって時に是非どうぞ。ちなみに私は『プロジェクト・ヘイル・メアリー』をそれほど高く評価していない(ストーリーの面白さは文句無しだが、小説としての味わいが薄い)ので、それを加味していただいた上でとなりますけど。

 

 

千早茜(著)『ひきなみ』

東京育ちの小学6年生の少女が主人公。

彼女は両親の都合により、祖父母の住む四国の小さな島へと単身で移住する事になる。

しかし、島の生活や学校に馴染めずに孤独な日々を過ごして居たが、そこで出会ったのは同級生の少女。

変わり者というか周りとは意図的に距離を置いてた彼女と親しくなっていく主人公。これでなんとか島で暮らしていけるかと思った矢先、その島に刑務所から逃げて来た男がやって来て、唯一の友達を連れて何処かへ逃げてしまう。

 

特に私にビシビシ来たのが、島に来てすぐに主人公の少女が祖父母に連れられて参加する島の大人達が集まる寄り合いの場面。

男達は上座に座り、女性は酒や食べ物を運ぶなど男衆の世話をするシーンのリアルさよ。

私も、祖父母の親戚の付き合いなどの関係でこういった場面に多く参加させられ、そこで見た光景がまさにコレだったんですよね。子供であっても男であるならドンと座ってキッチンへは入ってくるなと言われる感じ。

その場での大人の男の人の声の大きさ。笑い声や言葉遣いにビクッとなるあの記憶が蘇って来たよ。あの時の嫌悪感が現在までに続く私の人格形成のコアの一つになっている気がする。

 

子供から見た大人の姿、大人になって見えてくる人々の営み。それらがあくまでもリアルな形で女性同士の友情へと収斂する終盤は本当に上手い。それらがラストシーンへと繋がって行き、見える風景が違ってくる描写にはやられました。

 

ただ一点。広義にはフェミニズム文学的なテイストが強い作品で、それを際立たせる為だろうか、第二部で出てくる嫌な上司のレイヤーの数が少なくあまりにもステレオタイプ過ぎて、そこだけ浮いてしまっているのはもったいなかった。

 

ちなみに、ここ数年で読んだシスターフッドものでは、王谷晶(著)『ババヤガの夜』が傑作。

暴力&暴力&暴力の作品ではあるが、友情という言葉を越えたような関係が眩しいくらいに美しく輝いている。こちらもラストが好き。

 

ポリティカル寄りのフェミニズム小説では松田青子(著)『持続可能な魂の利用』も印象的だった。

"おじさん"的な物に対する嫌悪と、それを内包する自我からの脱却。そして抗う者達の団結とエール。それらを平手友梨奈がセンターだった頃の欅坂46を中心としたアイドル評とマッシュアップし、SFで締めるアクロバティックな作品です。

 

 

そして映像関連。

Netflix『コタローは一人暮らし』

Netflixでは、Netflix制作のアニメ版と地上波で放送されていたドラマ版が配信されていますが、アニメ版の方を見ました。

まだ幼稚園児のコタロー君がアパートで一人暮らしを開始。それを同じアパートのご近所さんで見守って行くお話。

 

構造としては『よつばと』と方向性が似ているが、『よつばと』が"よつば"の出自などをすっ飛ばし、記号的に子供の可愛らしさというものだけを抽出して結晶化させた作品ならば、本作のコタローは虐待された過去があり、その為に一人で暮らさざるをえなかったというメッチャ暗いバックグラウンドにし、強い苦味のテイストをプラスした上で子供の可愛さを表現している。

無垢であるが故に、自分がどれだけ本質を突いた言葉を発しているのか分かっていないという部分から来る愛らしさと、親から虐待されない為、無視や放置をされない為に環境に合わせて学習した振る舞いをするコタローが、大人の顔色を観察しすぎた為に相手の隠している部分を見破ってしまうという悲しさ。

こういったコタローの言動による振れ幅の見せ方が上手い。

ラスト10話にはやられた。これは泣いちゃうよ。

 

 

Netflix『ラブ、デス&ロボット シーズン3』

オムニバスSFシリーズの第3弾。

シーズン3では『彼女の声』が圧巻。

耳の聞こえない兵士と、声によって人を狂わせる女性の物語。

 

お互いに求める物が違った非対称な関係での恋愛の物語として見ることも出来るし、原題の『Jibaro』はアマゾン流域に住むヒバロ族を表しており、かつて侵攻しようとしたスペイン人とヒバロ族の歴史として見ることも出来る重層的な作品。

セリフは無く、感情の表出などにはコンテンポラリーダンスが使われており、その体を使った表現が凄まじい。

本作のあまりの美しさと衝撃に、見終わった後すぐにリピートしてもう一度見ちゃったよ。

ストーリーやアートスタイル含めて本シリーズだけじゃなく、Netflixのコンテンツの中でもトップクラスの出来だと思います。とんでもない作品が生まれましたね。素晴らしい。

 

 

その他

TVer『神回だけ見せます』

佐久間宣行と伊集院光が日テレの残る過去の神回を振り返るTVerの配信番組。

全5回どれもマジで神回な番組ばかりの中、『壮烈!車大騎馬戦』のわけわからなさとハッタリの効いたナレーションや編集に笑ってしまった。お金があった時代よね。

 

Amazonプライム『前科者 - 新米保護司・阿川佳代』

刑務所からの出所者や執行猶予中の人物の社会復帰をサポートする職業である保護司を主人公としたドラマ。

元はWOWOWで放送されていたそうで。

犯罪者との関係という難しい問題をみだりに単純化してドラマ的なカタルシスを出すのではなく、人の気持ちのすれ違いとわかりあえなさからくるもどかしさの物語。

保護対象者の逮捕前から続いている関係の絶対性による善悪の揺らぎの中で、ただ保護司として真ん中に立ち続ける勇気が胸を打つ。

3話から最後の6話まで、毎話息が詰まるような気持ちで見ました。これは凄い。

 

テレ東『島崎和歌子の悩みにカンパイ』

内容はともかく、YouTubeに放送回が上がっているので是非。

【公式】島崎和歌子の悩みにカンパイ OA版 《テレビ東京若手映像グランプリ2022優勝作品特番》 - YouTube

ネタとしては懐かしい感じがして、久々にこういうのやってるのねという程度だが、この番組の問題点は島崎和歌子トーク番組が普通に面白そうで、それがネタを上回ってしまっている所だと思う。たまたまテレビでやってたら見ちゃう内容だもの。それぐらいの引きが酒+島崎和歌子にある。

最近ではフジテレビの『ここにタイトルを入力』とか、良い感じの実験番組がちょこちょこ出てきてますね。

 

 

最後に音楽。

Makotoのニューアルバム『Motion of Change』がリリースされまして。これが本当に捨て曲無しの最高のアルバムで、その中から厳選した2曲。

Makoto - Swing Drops (feat. Rasmus Faber)

 

Makoto - Space To Feel (feat. Rasmus Faber & Liane Carroll)

上記2曲はどちらもRasmus Faberが参加してまして。

たまに一般的な知名度は低いけどアニメファンには広く周知されている海外アーティストって居ますが、その一人ですよね。

特にSpace to Feelの気持ちよさ。あまりに気持ち良すぎて私もスキャットを口ずさんじゃうぐらい最高。

いやーこのアルバムゴイスー。最高傑作なのでは。

 

ちなみにRasmus Faberのアニメ曲では今でもこれが好き。

中島愛 - TRY UNITE

しかし担当するアニメ作品の質に恵まれないという不運が…。

マクロスΔ』の『Hear The Universe』とか凄いんですけどね。ちょこちょこ狙いすぎてて呆れるような楽曲が散見された同作品の中では本当に光ってました。

 

 

MEGAREXのコンピ『encore -Emotional Vocal POP 03-』から1曲。

Mysteka - Overstep (feat.星名はる)

このコンピの中でもトップのエモさ。エモすぎてエグい。

 

 

Boxplotのニューアルバム『Here & Now』から。

Boxplot - Welcome Home

Boxplotらしいatmosphericな曲が詰まったアルバムで、最後トラックにコレですよ。

ひたすらハーフステップで展開されてからのドロップ。

最近の帰宅曲として活躍して頂いております。浮遊感強すぎて車の運転中に危うく意識が浮いて視点が三人称になる所ですよ。あぶないあぶない。

 

 

ネクライトーキーのGt.朝日のボカロP名義の曲をカバーするアルバム『Memories2』より先行配信された一曲。

ネクライトーキー - 君はいなせなガール(feat.日本松ひとみ)

ボカロ界隈はまったくわからないまま生きてきた人間なのでリリースが楽しみ。それにしてもこの圧倒的なポップさとVo.もっさの声の良さよ。良さしかない。

 

ってな感じで今月はおしまい。また来月。