月刊 追い焚き作業

見て聴いて読んで遊んだ記録です

2022年8月の話と9月の購入予定

真夏の暑さが和らいで、夜は若干過ごしやすくなってきました。

まぁ雨ばっかりで、なかなかサラッとした気候ではないのですけれども。

 

そんな今月の購入予定。

9月9日

Switch『スプラトゥーン3』

説明不要のイカのゲーム。

発売までにジャイロ操作の感覚を取り戻しておかないと。

 

今月はこの1本だけ。しばらくはイカを毎日プレイしていると思います。

いつか遊ぶリスト行きとして『ドラゴンクエストX オフライン』『ヴァルキリーエリュシオン』の2本は今後プレイする予定。

それと、11月に発売される『ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク』までにどこかのタイミングで前作をもう一回プレイしたいなと。

という感じで。

 

 

それでは先月プレイしたゲームの話。

Series X『PowerWash Simulator』

高圧洗浄機でひたすらキレイにするゲーム。

 

これが

 

こうなる。

ただそれだけのゲームなのだが、なんとなく遊び続けてしまう魅力がある。
なんとなく遊び続けて、なんとなく飽きて、なんとなくまたやりたくなるゲーム。

隣のモニタで動画流したり、ラジオや音楽を聴きながら遊べる、味は無いけどやさしい白湯みたいなゲーム。白湯ゲー。

 

 

Series X『ソウルハッカーズ2』

レベル46まで。おそらく中盤辺り。

 

まぁ相変わらずアトラスのゲームらしく弱点を突くゲーム。

ただ今回は『真・女神転生(3以降)』のプレスターンと『ペルソナ(3以降)』の中間といった戦闘システムで、弱点を突くことによってターン終了後に自動的に全体攻撃が入るという仕組み。

敵にこちらの弱点を突かれても大きなペナルティは無く、延々と敵のターンとかそういった理不尽に死ぬパターンが無いので、他のアトラス作品よりも難易度はかなり低めか。

戦闘システムが悪魔を連れ歩くシステムではなく、ペルソナの主人公のように人間4人パーティそれぞれに悪魔を担当させる形になっているので、画的に若干寂しい。

 

代わり映えのしないダンジョンをひたすら進む作りや、展開が雑なイベントシーンなど、触った瞬間に「生地薄っ!」って声に出るくらい全体的に低予算な感じは否めず、なんならPSPで出てたゲームのリマスターと言われたら、そうなんだと納得してしまうぐらいアレではある。

 

ただ、シリーズおなじみの悪魔合体やターンベースRPGとしての面白さは大きく外しておらず、ゲームとしてのコアの部分はそこそこ良くできている。

最近のアトラスのゲームとしては『真・女神転生5』が私にはダメでして。あの意味の無い広さと無駄に高低差のあるバカげたマップと、中身がありそうで実はまるでないストーリーと本当にどうしようもない作品でした

本作は、ちょうどよい具合に中身の無いストーリーに平面ばかりのダンジョンと、無駄な負荷が無い作りなので遊びやすくて楽しんでおります。

つーか、これも白湯ゲーの感じあるんだけどねー。味あんましない。

 

 

ここからは、その他のお家エンタメ。まずは本。

田豊隆(著)『妻はサバイバー』

今年の本屋大賞ノンフィクション部門にノミネートされている一冊。

 

新聞記者として働く著者と専業主婦の妻。

記者として取材で飛び回る夫と料理が得意な妻の平穏で幸せな生活は結婚4年目から破綻し始める。

幼少期の虐待から前夫との離婚、知人男性からの性被害など過去の辛い体験の記憶から逃れる為に食べて吐くという行為を夫に見られないよう繰り返していた妻。

だが徐々に過食嘔吐などの症状が酷くなり、夫の前でもその行為を隠さなくなる。自傷行為咎める夫に罵声を浴びせては自殺未遂を図り、ひたすら食べて吐く食費のために家の貯金は底をつく。

何度も入退院を繰り返し、なんとか治療によって過食嘔吐が収まったと思えば、今度はアルコール依存へと症状が変化。連日記憶が無くなるまでお酒を飲み続ける。

体も心もボロボロ、そんな綱渡りの状態の妻が46歳で発症したのは認知症だった。

 

壮絶としか言いようのない闘病生活。著者が新聞記者なので、その当時に担当した事件や事故と平行する形で夫婦の闘いの日々を描く事によって、時間経過によるリアリティを生み出している。

 

しかし、そんな壮絶な日々の記録は、本書の終盤では穏やかな日々として着地する。

そのきっかけこそが認知症

様々な治療を持ってしても心の奥底に刻まれた記憶から逃れられなかった妻。その記憶から離れられるきっかけが認知症による記憶の喪失だったという。

物忘れという点において不便が多い生活ではあるが、十数年ぶりのとても静かで楽しそうな夫婦の日々の描写には涙が止まらなかった。

 

 

金間大介(著)『先生、どうか皆の前でほめないで下さい―いい子症候群の若者たち』

先月、稲田豊史(著)『映画を早送りで見る人たち』の流れから、Amazonのリコメンドを利用して若者や教育論を書いた書籍をいくつか買って読んだが、その中でも衝撃的だったのがこの一冊。

著者は金沢大学で教鞭を取る教授で、実際に学生たちを見てきた印象だけでなくアンケートなどデータを取る事で、近年の若者の意識を浮かび上がらせている。

 

タイトルにあるように、人前でほめるぐらいなら何も言わないで欲しいという若者の心理。

競争を避け横並びの状態を好む若者たちは、自分が評価されるという良いことですら他者からの評価によって自身の立ち位置が変動することに対してストレスを感じる。だからこそ突出したくない。

その根本にあるのは、自分が属する狭いコミュニティの人たちに目立っている(いた)ことが知られる恐怖。

キャラ設定が崩れないよう振る舞う、そんな繊細で複雑な心理が様々な視点から調査されている。

 

と、ここまで書いてきて思うのが、これは現在の若者に限った話ではなく多くの日本人が持つ日本人的な心理そのものなんですよね。

そもそも日本人的な精神構造の一つとして、"私"というものが私個人ではなく、他者や世間などとの間で宙に浮いているというものがある。

個人の自由よりも全体の和を重んじる同調圧力が強い社会であるわけで、それが近年のネットやSNSから影響を受けやすい若者は、それらで学習した振る舞いの最適化により横並び化していく。

個性や自主性を重視した教育と何十年も前から言われているが、学校だけでなく社会構造全体が個の自主性を挫く事に無頓着であるわけで、そこをすっ飛ばして自主的であれというのは無理がある。

 

無謬性が前提とされていることに疑問を持たないまま近代を迎え、また経済の停滞と格差の拡大によって失敗が命取りになる社会。

そういった中で子どもたちが失敗しないように不安を使って抑圧された状態によって教育をするという構造であるから、個人の判断が後手にまわる事が有利になっている。

学校生活やSNSなど絶えず行われる自己点検により態度が最適化された結果として、自主性は低いが"いい子"がたくさん生まれてきたというのは、なかなか根が深い。

ただ本書の終盤でも書かれているように、これは根本的に現在の社会を作った今の大人達の問題であるだけに難しい。

 

その他、教育関係で面白かったのが

本田由紀(著)『教育は何を評価してきたのか』

戦前から現代までの教育システムの中で、どんな人をどんな社会が求めてきたかを見ていく一冊。

近年の教育は「垂直的序列化」と「水平的画一化」を加速させながら、子供たちのレベルを平均的に高い状態に持っていく。だがその一方、自己の欲求を殺し、縦軸と横軸の他者からの圧力によって動くというふるまいを学習させ、態度や意欲まで評価することにより、大人になっても自己肯定感が低く、平均的な能力は高いが経済活動の活性化につながっていないという視点が面白い。

また、ものづくりや技術立国などと口では言いながら、技術者などスペシャリストに対してのインセンティブが低いため、個々のスキルを高める事が重要視されていない。

結果、学習意欲の低いゼネラリスト(そう呼ぶのも相応しくないだろうが)を大量に生み出し、それを企業がありがたがる上に、なんなら出世してしまう(メンバーシップ型雇用の弊害)という訳のわからない状況によって企業が疲弊している。

 

こういった問題を解決するには様々なシステムを根本から変える必要があるが、政治や組織、なんなら個人でさえも現状を変えない為には何でもするという特異な指向性を持っている日本人にはかなり難しい。

 

佐々木チワワ(著)『「ぴえん」という病 SNS世代の消費と承認』

歌舞伎町をフィールドワークとして日々通う大学生の著者。トー横キッズやホストクラブに通う客など夜の街を生きる若者が丁寧に取材されている。

消費がアイデンティティとなる現代において、SNSが他者へ誇示するツールとして優秀すぎることから生み出される嫉妬と孤独と依存。

個人の言動すらも資本主義の消費対象となったことで、その欲望をたくみに刺激し利用するビジネスと密接にありすぎる若者たちの不安定さがまざまざと描かれている。

 

 

そして、ここからは映像関連。

Netflix『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』

自閉症スペクトラムを抱えた女性ウ・ヨンウが新人弁護士として成長していく物語。

驚異的な記憶力を持ち、ソウル大学法学部を主席で卒業した彼女であるが、自閉症スペクトラムなので他人の気持ちやちょっとした仕草の意味、その場の空気を読むことが苦手。

弁護士にとって致命的な欠点を持つ彼女が、同僚や上司、友達の協力を得て裁判を闘い。また時には恋をしてみたりと、彼女のひたむきさが周囲に様々な変化を与えながら物語は進んでいく。

 

韓国お得意のニューロダイバーシティを扱った作品であるが、本作は何より主人公の愛らしさに全振りした内容で、彼女が壁にぶつかりながらも1歩ずつ進んでいく様が何より可愛らしい。

 

そんなヌルめな作品と思いきや、韓国の作品らしく現在の社会が抱えている問題を鋭く見事に描いている。

そんな本作が何より素晴らしかったのは、9話と10話。

一般的に自閉症スペクトラム症の人は恋愛が苦手だと言われ、本作でも主人公は人の気持ちを慮る事が難しく、また人に触れられる事も得意ではない。

そういったパーソナリティを持つ主人公の恋愛模様と成就が描かれる9話。

しかし次の10話では、知的障害のある女性に対しての性的暴行がテーマとなる裁判を持ってくるイジワルさ。

 

愛という感情。この複雑でありながらプリミティブに心から湧く感情は、他者に言葉で説明することすら出来ない心の動き。

その愛の一端を知る事が出来たウ・ヨンウ弁護士が対峙する、複雑な愛の形。

 

弱い立場にある人々が様々な判断・決定をする場合に際して、しばしば我々を含めた社会はパターナリスティックな態度を取りがちであるが、自己決定・判断能力を尊重した結果、本人が傷つく事も容認するべきなのだろうか。

適応的選好の形成によって偏りがち(選択を奪われがち)な世界を生きる人の意思決定を社会はどう受け止めれば良いのだろうか。

スペクトラムな人間の状態を平等に裁けるような刑法が整備されていないというシステムの問題なのだろうか。(これらの問いかけは自立支援のコアの部分でもある)

こういった複数の課題が折り重なって判断が非常に難しい問題を雑に単純化することなく、しかも本作の描いたメッセージを押し付ける事もなく、巧みな物語の構成によって視聴者の感情を様々な方向へ振り回しながら、グレーの濃淡を考えさせるストーリーとなっている。

この2話は完璧と言って良い出来で、今年見た国内外全てのドラマの中でもトップクラスの完成度。

 

残念ながらそこから後半(全16話)は、ここまで散りばめられていたフリを上手く利用する事が出来ず失速してしまった感があり、全体としての評価はちょっと下がる。

ただ最終話のラストシーンで傍から見れば小さな成長であるが、ここまで彼女の奮闘を見てきた視聴者にとっては、とても大きな一歩として実感させるような描き方、それを感動を呼ぶ一場面として完成させたのは、ここまで丁寧に演じてきた役者の素晴らしさによるもの。

物語的には続編が必要だとは思わないが、彼女の活躍をずっと見続けていたいと思うくらいに大好きな作品なので、シーズン2以降長く続く作品になると良いですね。

 

 

AppleTV+『セヴェランス』

脳にインプラントを埋め込む事で、仕事をしている私とプライベートの私を分離(severance)させ、究極のワークライフバランスを実現しましょうというSFドラマ。

 

プライベートの私は仕事が始まった瞬間記憶が飛び、0.1秒も満たない内に仕事が終わった状態に飛ばされる。

仕事をしている私は仕事が終わった瞬間からまた仕事の一日が始まる。

この2つに分離させられた人格のうち、一生仕事という貧乏くじを引かされた人格が、この状態を抜け出そうと画策していく。

 

というガッツリとしたSFドラマかと思いきや、本編の肝となる部分は会社あるある。

何をやってるのかわからない部署や普段行ったことのないオフィス。そもそも私はこの会社にとって何なのかという、まぬけだが切実な疑問がドラマとして描かれているのが面白い。

 

ワークライフバランスの重要性が叫ばれ、国や企業も様々なシステム変更や福利厚生を用意している。ただ産業は複雑化し多様な知識が必要なる現代の社会で最も求められている資質に一つとして、仕事をしていない時間でも仕事の事を考えてくれる人材(いわば仕事が趣味)というのは変わらない。そういった状況の風刺から来たアイデアの面白さ。

ホラーなのかSFなのかコメディなのかわからない作品かつ、序盤はテンポも遅い。しかも本作はおもいっきりシーズン2へ続くというクリフハンガーで終わってるので人を選ぶ作品かもしれないが、一般的なドラマにはない味がある。

 

 

NHK『ふたりのディスタンス』

距離をテーマにしたドキュメンタリーシリーズ。

先月放送されたのは、爆笑問題太田光と光代夫妻。

 

自宅で一緒に食事をすることも、普段の会話すらほぼ無くなった太田夫妻が10年ぶりに行った熱海旅行の密着。

行きの電車内での無言の距離感から始まり、一緒に宿で過ごす内に会話が増えていく感じが物凄くリアル。

 

太田光代が「空気のような夫婦にはなりたくない」と思っていたのに、長年過ごしていく中でそうなってしまった事。その関係性を少しずつ壊していこうとする妻の微笑ましさと、それを徐々に受け入れていく夫。

しかし、今でもお互いがお互いを想っているからこそ、ちょっとだけ壁に隙間ができれば、そこからすぐに関係性が戻ってくる感じが本当に素敵だった。

 

結婚して30年以上経ってもまだまだ夫の事が大好きな太田光代。その愛を感じているからこそただただ照れて受け流すシャイな太田光という、昭和のラブコメみたいな二人がメチャクチャ良かった。

 

 

TVer『神回だけ見せます!』

待望のシーズン2配信。今回もマジで神回の連続。

今回のラインナップにある鉄道と野球の神回。そのどちらもまったく興味が無い私としては、どうしたものだろうかと思いつつ。だが、ここは佐久間宣行と伊集院光がVTRをどう料理するのかちょろっと見てみるかと見始めたら、これもやっぱり神回で驚いた。

国鉄が民営化されJRに変わる瞬間の職員たちの姿。

優勝が決まる瞬間のテレビ中継を担当しているカメラマンやディレクターの技術。

一瞬を捉えた映像の中に積み重ねてきた技や人生など、様々な要素が詰まっている。いやぁマジで神回ですよ。

 

その他シーズン1でも面白かったベタドラマ。昭和のテレビを作ったレジェンドおっさんの話。そして、まさか蛭子能収に泣かされるとは。

ホントこの番組大好きなので、ぜひシーズン3以降も末永くいつまでも続いて欲しい。お願い。

 

 

Netflix『カーター』

『悪女』『殺人の告白』で有名なチョン・ビョンギル監督の最新作。

全編アクション+過剰な暴力表現(グロ含む)+ゾンビ的感染症という要素を雑に詰め込んだ一作。

映画に限らず韓国はミクスチャーの文化だと言われるが、一皿1500キロカロリーのよくばりセット的な味わいがある。

 

『悪女』で印象的だったワンカットに見せるアクションシーン。それが今回はよりパワーアップして、全編がシームレスに映像が繋がる形で展開。ドローンやCGを多用して目まぐるしく視点が変化するアクションシーンはゴイスー。

ただアクションの連続で緩急に乏しく、君たちずっと動いてて元気やなって一歩引いてしまう感じもあるので、そこは良し悪し。

 

Netflixではヴァンパイアを倒す賞金稼ぎの映画『デイ・シフト』と並び、非常に良い塩梅で中身の無いアクション映画となっているので、夏の疲れで濃いストーリーは結構って方にオススメ。どちらも面白い。

 

 

最後に音楽。

Mysteka - Caramel Planet

最近のFuture Bassでは最も再生した曲かも。アゲすぎず、サゲすぎず。心地よいベースとkawaiiフレーバーが心を潤す。

 

で、めっちゃどうでもいい話だけど、これを最初に聴いた時30年以上前のテレビ番組『パソコンサンデー』のオープニング思い出しちゃった。

っていうかこの手のメロディ聴くと全部パソコンサンデー見てた頃、それこそX68000に憧れながらワクワクして見ていた記憶が蘇って来るので、本当に子供の頃の記憶って根深いな。

ちなみにこのOP曲は、姫神せんせいしょんのGun Doです。

 

 

That Fancy I - Poppin

ロディアスでエモい楽曲を得意とするTom-iの新名義That Fancy Iのファーストリリース。

コレコレ!これですよ!ってな感じの甘くて弾けるUKガラージの仕上がり。今後の活躍期待してます。

 

 

TORIENA - Axon

TORIENA - RAW

TORIENA - 頭蓋Vital

TORIENAのアルバム『RAW』からの3曲。

このアルバム自体がバッキバキのアシッドテクノ満載のアルバムで最高なのだが、その中でもコレ。

こういったアシッド系のサウンドも子供の頃に浴びた記憶が今でも続いてる感じ。私が中学生の時に出たThe Prodigyのアルバム『Experience』で脳みそやられて、その次の『Music for the Jilted Generation』で完全に脳が溶かされました。今もまだ溶けたままですね。

 

 

DJ Andy - Vigilante

DJ AndyのEP『The Movement』からの一曲。

久々に来ました。運転中にかけると、すぐにトイレに行けないという状況も相まって尿意が襲いかかる曲。

ベースのブンブンが膀胱にダイレクト。いいですねー。最高です。

 

ってな感じで今月はおしまい。また来月。