月刊 追い焚き作業

見て聴いて読んで遊んだ記録です

2023年6月の購入予定と5月の話 『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』『笑って人類』『破果』『サンクチュアリ』『ザ・グローリー ~輝かしき復讐~』

蒸し暑っ!!

 

そんな6月の購入予定。

1日

PS4アーケードアーカイブス テトリス ジ・アブソリュート ザ・グランドマスター 2 PLUS』

本日既にリリース済み。

前作の20Gであたふたしている人間には手に余る難易度ですが、果てしない山頂を裾野から見るだけでも楽しいです。

本作はハードドロップ(レバー上で即落下)があるのでこれを機にテトリス専用に4方向レバーのアケコンを一つ作りたいなという気持ちがふつふつと。まぁ作って満足するパターンかもしれんが…。でもアケコンに限らず環境作るのって楽しいんだよね。

 

2日(先行アクセス)

XBOXディアブロ 4』

説明不要の沼。

前作はリリース直後のログイン祭りに始まり、公式RMTの実装とそれにあわせた極端なゲームバランスによって評価は地を這うどころか地面に埋まっているような状態から一転、その後の大胆なアップデートにより持ち直すという極端なゲームになっていきましたが、今回はどうなるか。

思い返せば前作はPC版から始まり、PS4XBOX・Switch版まで買うというムーブをかましましたが、初期の公式RMTで結局日本円で10万くらいは稼がせてもらったので、『Diablo 3』の収支で言えばプラスという訳のわからんゲームでした。

 

今月はこの1本かな。

暇だったら22日のPS5『ファイナルファンタジーXVI』は買うかも。まぁただ現在公開されているプレイ映像を見るに、なんかダルそうなゲームだなという印象が…。

まぁこんな感じで。

 

 

それでは先月プレイしたゲームの話。

Switch『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』

いやぁまいった。発売されてから全ての空き時間がコレに吸われたぐらいに熱中してプレイしてしまった。

 

前作では、さまざまなオブジェクトに豊富なリアクションをつける事で世界に命を吹き込んでいた。

それをベースに本作では、オブジェクトを繋げるというクラフト方面へ拡張。クラフト要素にゼルダ特有のパズルと融合させることでおもしろさが更にプラス。

子どもが積み木やレゴ、道具の組み合わせで遊ぶ事を好むように、物や道具を作るという行為はプリミティブな快楽をもたらしてくれる。それをゲームとして過度に複雑にすることなく、しかし創造性の自由度は高いという、あくまで遊びの範囲内で調整されているのも上手い。

 

そして何より凄いのは、これだけ広い世界でありながら、各所で要求されるクラフト要素を使ったパズルに対して、豊富な回答や詰みを発生させないよう丁寧に配置されたオブジェクトの妙。

何度も失敗するであろうユーザーや、極端な解答(丸太をひたすら繋げるとかね)に対しての保証と幅が用意されており、プレイヤーは気兼ねなくいろんな方法を試す事が出来る。

ゲーム的にはサルの知能テストのように、バナナを取る為に床に散らばっているガラクタから道具を作りましょうという事を延々とやらされるゲームではある。

それでも、物をくっつける、物体の時間を戻す、天井を突き抜けるなどさまざまな能力の組み合わせによる発想の転換や、思考の盲点を付くような一捻り加わったパズルによって、プレイヤーは時に想定を越えるような失敗を経験しながら先に進んでいく。

私達が子どもの頃から失敗しながらも世界のルールを一つずつ経験し学んだように、このゲームでも世界を理解していく成長の喜びがそのまま遊びになっているのが面白い。

 

 

物語の部分では、本作は序盤でゼルダが過去に飛ばされるという設定上、彼女が過去にどう動き、現代のリンクにどういった想いを託したのかがテーマになっている。

この設定により、世界各地の町や建物に対して過去から現在という縦方向の情報を与える事で、世界そのものに深みを与えている(前作も崩壊した王国をテーマにしたストーリーやオブジェクトが配置されていたが、より解像度の高い設定を入れてきた感じ)。

 

ゼルダの足跡を辿る旅となる本作は、各所に配置されたエピソードから、ラストシーンまでゼルダの想いが詰まっておりエモさがエグい。

ゼルダシリーズは昔っからプレイヤーが操作する主人公はリンクであるにも関わらず、タイトルにはゼルダと入っているという擦られまくったネタがあるが、本作はまさに"ゼルダの伝説"となっているのでは。

 

逆にイマイチだった点としては、本作のメインダンジョンとなっている4つの神殿の難易度の低さやラスボスの弱さ。

メインダンジョンはもの凄く簡単なパズルばかり。ラスボスもゴリ押しを嫌った調整だとは思うが、パリィやジャスト回避を強制させる物凄く単純な調整で難易度が低すぎて、正直なところガッカリしてしまった。

 

ただこれはオープンワールドという性質上、しかも本作はマップ探索のウェイトが大きいゲームである以上、メインとなるダンジョンやボスで躓くような作りにするとプレイヤーのモチベーションが低下するなどといった部分を嫌ったのかもしれない。

ラスボスが強いとエンディングまでの物語の流れを阻害する可能性があるので、あえて弱くするというのはここ十数年のトレンドでもあるので。

 

その他、ゲーム全般の足を引っ張っているUIの不便さ。

出来ることの多さとトレードオフに操作が煩雑で、ユーザービリティの低さが散見される。武器なんてどうせ数分で壊れてしまうのに、手持ちのアイテムからそれを作る為に何手操作が必要なんだっていう部分とかね。

そして、これはもうしょうがないが解像度の低さはまだしも、フレームレートの低さはキツかった。

 

このように、マイナス点も多いゲームでありながらも、クラフトの自由度やそれを使ったギミックなどをSwitchというハード、しかもオープンワールドの中で達成しているという点は凄い事で。

圧倒的物量の世界をもう一度作り、しかもそれが空と地底にまたがる3層の世界をシームレスに繋げて表現したというだけでゴイスー。

なんかもうただただ圧倒されるような凄いゲームでした。

 

 

ここからはその他のお家エンタメ。

まずは本。

太田光(著)『笑って人類』

架空の地球が舞台。

世界は平和を求める主要各国連合と、テロを繰り返す共同体国家に二分され、終わり無い戦いを繰り広げていた。

だが、そんな不毛なやりとりに終わりを告げるべく、各国の首脳が一同に集まり和平会議が開催される。しかし、その場すらもテロ国家の罠であった。

各国首脳が集まり、まさに会議が始まったその瞬間に会場が爆発。

会議に集まっていた主要国のトップ全員が殺された中、ただ一人飛行機に乗り遅れて会議に遅刻した首相だけが生き残った。

世界中が注視する行事に遅刻、そもそも国内ではやることなすこと裏目に出て支持率は過去最低を更新し続けるポンコツな首相が、世界平和の為に立ち上がるというストーリー。

 

戦争や民族、宗教や人類など大きなテーマから各キャラクタまでもカリカチュアライズしたようなコメディ作品となっているが、その視点は独特で面白い。

太田光(爆笑問題)は常に大衆芸能という物に軸足を置いており、その市井の人々の目に信用を置いているし、そこにウケるように発信をしている。しかし、それは大衆という人々の塊ではなく、あくまでも大衆を構成している個人ひとりひとりにスポットライトを当てて表現しているようにも思う。(その視点の比重によって炎上しがちではあるが)

そんな太田光のベースとなっているであろう思想、そして何よりも対話の重要性という理想がマッシュアップされ物語が展開していく。

 

ただ小説として決して出来は良くない。

同じ説明が何度もされたり、カタルシスとなる場面が駆け足になっているせいで展開として弱い、SF的な味付けもかなり雑な設定にしてしまったおかげでリアリティが薄くなっているなど、もうちょっと手を入れるべきだと思う部分もある。

けれど、読み終わった後にも心に残る印象的なシーンがいくつもあるし、本書のメッセージ性の美しさなど、見所は多い作品ではあるんだよね。

 

この辺りは私個人としての好き嫌いと、点数を付けるとしたらという部分で乖離するようなニュアンスに近い。

これを最近思ったのが、先月マリオの映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』を見てた時に感じた印象に近いんですよ。

それこそ30数年以上マリオを遊び続けてきた私にとって、これ以上無いというくらいファンサービスの詰まった作品で大満足でした。

ただ、映画としては本当にダメな作品で、意外性も何もない空虚なストーリーとキャラクタの知名度におんぶに抱っこな本当にしょうもない(特にクッパのキャラクタ設定酷すぎるでしょ)。

ゴージャスと貧乏くさいが両立するように、面白いし好きだけど高得点はあげられないって作品。

 

『笑って人類』もそんな感じを受けたんだよね。

気になる部分が多くあるものの、これだけの物を見せられたら拍手するしかないという。

フィジカルだとハードカバー上下2段組で500ページ越えというひたすら長い物語のラストの数ページ。もうコレは圧巻というか、太田光はこれを大衆へ伝えたかったのかという感動が押し寄せるんですよ。

過去の小説『マボロシの鳥』『文明の子』では書きたいメッセージをそのまま文章にしすぎている点が気になり、小説としての味わいから遠かった。

しかし本作ではさらにそのストレートなメッセージ表現を突き詰めた結果、オーバーフローして逆に感動を呼ぶという、不器用な作家にしか咲かせられない大輪の花となっている。

本当大好きな小説です。ただやっぱ長いよ!

 

 

ク・ビョンモ(著)『破果』

殺し屋一筋45年。ひたすら人を殺して、同業者からも恐れられるような敏腕女殺し屋も今年で65歳。

冷酷かつ完璧に仕事をしてきた彼女だったが、体や脳の衰えか、それとも歳によって心の弱さが出てしまったのか、依頼された暗殺でミスをしてしまう。

引退という二文字が頭をよぎる中、過去の暗殺に関わる男が彼女の人生を狂わして行く。

 

エンタメ小説でありながら、急激に変化してきた韓国の歴史、そして今という状況を見事に物語に溶け込ませてある骨太な作り。

 

私自身も歳を取っていく中で気付いたのが、10代・20代・30代とそれぞれの私がレイヤーのように重なり合って各年代の私が保存されており、いつでも若い頃の気持ちに戻れるような気がする。しかし実際には、それらの層がグラデーションのように混ざりあって私という物を作っている。

彼女もネイルサロンを見ては憧れつつも爪を飾る年齢ではないと諦め。またお店の店員から「お母さん」と呼ばれる度に「私はあなたの母ではない」と反発する気持ち。自分を客観視してながらも、心の中ではそれぞれの場面でそれぞれの年代の私が混ざり合って出てくる感覚。

殺し屋という家業で成功しそれなりお金も得たが、それでも別の生き方があったかもしれないと後悔する彼女の噛み切れない思い。

そんな複雑な思いを抱えている殺し屋を続ける彼女がラストにする決断が胸を打つ。

 

ネタバレになるので詳細は書きませんが、一点だけ彼女のキャラクタ設定として、ある男性に対する想いの表現が気になりまして。

何か遠回しというか、もっと簡単に読者を納得させられるわかりやすい設定に出来るのに、何故こんなフワッとした設定にしてあるのかという疑問が残るまま読了。

しかし驚いたことに、その疑問の答えが巻末にある訳者あとがきにありまして。

彼女のキャラクタに関して訳者も同じく気になったそうで著者に問い合わせた所、その疑問を持つという思考は偏見を暴くような落とし穴になっており、だからこそあえて本書のようなキャラクタとして描いているそうで。

 

おそらく『82年生まれ、キム・ジヨン』が最初の経験だったと思うが、たまに韓国小説を読んでいると、こちらの思考を読まれた瞬間にサクッとナイフを差し込まれて「それは偏見ですよ」って耳元で言われるような表現に出会うから恐ろしい。本書もまさにその怖さを味わってしまった。

 

 

ここからは映像関連。

Netflixサンクチュアリ

腕っぷしは強いが、不遇な家庭環境により生きる事に対して投げやりになってしまった不良高校生が相撲部屋に弟子入りし、力士を目指すストーリー。

 

ベースとしてはスポ根の王道といったストーリーで、相撲業界という特殊な世界やライバルの登場によって跳ねっ返りの少年の鼻がへし折られ、その挫折から立ち上がり本当のヒーローへとなっていく様など、まぁまぁオーソドックスな作りではある。

 

ただ、この相撲部分の作り込みが凄い。

役者それぞれが本格的に体作りをしているおかげか、取り組みのシーンが目を見張るような迫力がある。

スローモーションで映される体と体のぶつかり合い。映像的な演出やカットで誤魔化さず、真正面から相撲の激しさが表現されており、関わった人々の本気が伝わってくる作り。

 

そしてもう一つ、本作が特徴的なのが、相撲業界の持つ暗部を真正面から描いた事。

女性は土俵にあがれない、後輩・新人への暴力行為の容認、八百長、宗教、タニマチや相撲部屋の政治などの暗部を上手くストーリーに組み込む事に成功している。

ただこれは相撲業界という閉じた世界に対してコンプライアンスによる糾弾や、逆にポリコレへの批判や軽視ではなく、外部から見れば異常な世界であり日本国内では聖域となっているその特殊性をストーリーの中に取り入れることにより、力士や土俵に対する神性を表現している。

 

そもそも相撲という競技だけでなく作法からしきたり、また神という存在までも全てが人間が作った物に過ぎないが、その作り事の中であっても神という存在を見出して来たのが信仰であり、八百万の神を信奉する日本という風土でもある。

相撲という競技でもあり興行でもあり神事でもある特殊な世界の中で上に立つには、多方面から襲いかかる理不尽に耐えねばならない。

 

同じ神と言えどもご利益をもたらす物であったり、逆に災いを呼ぶ物であるように、もたらされる禍福に対し、その構造の上位集団に入っていない一個人では無力にならざるを得ない暴力的な側面を見せる事によって、土俵に宿る神性を浮かび上がらせる。

その神が宿る場所で戦う者たちは、個を滅し、神を体に宿す依り代となるべく過酷な稽古を行う。

 

そんな異常性の上に築かれた土俵で行われる一対一の対決の尊さ。土俵と力士の中に神を見るようなコンテクストが共有される事により、神が宿るアニミズム的な瞬間が体験できる。

そこには悪童であった主人公が改心し神性を帯びていくという、スサノオタケミカヅチと言えば言い過ぎだが、そういった重ね合わせすら視聴者に想像させる演出が凄い。

ただ、土俵で戦う力士達はもちろん自分の為に。そしてまた人の為にひたすら努力をし、困難を乗り越えているという泥臭さによって、彼らの根っこにある人間性という部分に帰結している所も上手い。

 

一部キャラクタ(特に女性)が薄っぺらいというか、物語上都合の良い変節をする適当な造形になっていて、その部分だけは引っかかる。

また終わり方も賛否が分かれやすい形で、見ようによってはクリフハンガー、悪く言えば投げっぱなしになりかねないラストであるのは若干もったいないかもしれない。(ちなみに私は、この終わり方は全然アリ派です)

 

今年もアニメやらドラマやら色々と見ていますが、国内作品では2023年現在トップです。最高でした。見終わったあと四股踏んじゃうくらいハマったね。

ぜひともシーズン2を、と言いたい所ですが、ここまで体を作ってきた役者さん達をもう一度集めて撮るのは大変だろうなぁ。

 

 

Netflix『ザ・グローリー ~輝かしき復讐~』

高校時代に壮絶なイジメを受けた女性が主人公。

高校を退学してから18年。

彼女は建築士の夢を諦め、単純労働に従事している一方、イジメの主犯となっていた男女は、それぞれ経営者や芸術家、CAにお天気キャスターなど華々しい生活を送っている。

そんな彼らに復讐をするべく18年の間に練ってきた計画を実行するというストーリー。

 

イジメた奴らが作り上げてきた城をどうやって壊していくのか、というストーリーの主題からズレることなく16話を作り上げ、中弛みを感じさせることなく完走しているのは凄い。

そして何より、ひたすら冷静に計画を着々と実行していく主人公の冷たい怒りのこもった怖さ。

18年間の間、家族も仲間も居ない孤独な世界で、ひたすら怒りと恨みと悲しみを胸に抱きながら暗闇に居た彼女が、その境遇に加害者達を引きずり込むべくジワジワと外堀を埋めていく気持ち良さ。

 

韓国ドラマあるあるとして、細部は割と雑な設定というか、ご都合主義的な展開が多いが、そのクドい演出がクセになる面白さに繋がってくるのが韓国ドラマの面白い所ですね。

今年の百想芸術大賞は本作と『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』の2強で争ったのは納得です。

 

 

最後に音楽。

icesawder - entering

icesawderのEP『新生生活DREAM』からの一曲。

GarageやBass Houseなどのフレーバーがマッシュアップされた曲で、ひたすら楽しい。

 

 

Starkey - New Cities (feat. Kiki Hitomi)

グチャグチャになっていたPC内のファイルを最近整理し始めました。

そんな中、昔買ったCDからリッピングしたファイルを移動していた時に久々に見つけた一曲。一時期よく聴いていたわー。

最初の入り「空を見るとトラフィックジャムで 赤い月と青い太陽」からもう最高で、その後に何度も繰り返される「気持ちいいなぁ」の度にとろけそうになる。

この曲、ゲーマー諸氏にも『DiRT3』のメニュー画面とかで流れていたので有名かもしれないですね。

 

 

Mandidextrous & Tanukichi - Higher

先月一番再生したdnbはコレ。

Mandidextrousは元々dnbやJungleとテクノを融合させたトラックを得意としていたが、今回はRaveのトラックメイカーTanukichiとコラボ。

4つ打ちとドラムンを跨いで展開されるトラックに圧倒させる。超カッコいい。サイコーだよ。

 

 

KNOWER - The Abyss

6月2日にリリース予定のKNOWERのアルバムからの一曲(最初の数ヶ月はBandcampでの販売になるらしいですね)。

ここ数年はルイス・コールとしての活動が多かったので、KNOWERとしての久々のリリース超嬉しい。

この楽曲もタイトでグルーヴィーでメロディアスでメッチャカッコいい。

 

KNOWER - The Government Knows

 

KNOWER - Whats In Your Heart

ニューアルバムが楽しみ過ぎて、ここ最近は前のアルバムずっと聴いてました。

 

こんな感じで今月はおしまい。

また来月。