月刊 追い焚き作業

見て聴いて読んで遊んだ記録です

2024年10月の購入予定と9月の話 『Castlevania Dominus Collection』『太陽の子』『198Xのファミコン狂騒曲』『極悪女王』などなど

まだ暑いんですけどー。10月なのにー。

 

そんな今月の購入予定。

とはいえ今月は特になし。

25日発売の『Call of Duty: Black Ops 6』はGAME PASSで配信されるので、ちょこっと触る予定です。ちょこっとだけ。

 

あと11日発売の『メタファー: リファンタジオ』は体験版をプレイしてみたものの…うーん。

すげー良く出来てるけど、ムービーの演出やBGMのクドさとか、心動かされるものが無かったので見送り。

直近で『ペルソナ3 リロード』やってたのも影響してるかもね。カレンダーシステムがお腹いっぱいなんだよなぁ。あのシステムのゲームは数年に一回で十分かな。

まぁ今後機会があればって感じで。とか言ってる内に完全版が出るんでしょうけど。

 

 

それでは先月プレイしたゲームの話。

PS5『Castlevania Dominus Collection』

ニンテンドーDSで発売されたIGAヴァニア3作がセット。

それぞれプレミアが付いていて入手のハードルが高くなっていたので、こうやって現行ハードで多くの人にプレイできるような形になるのはうれしいですね。

 

どれも発売当時にプレイしたので、まぁ大体覚えてはいるのですが、その中でも『奪われた刻印』は当時より面白く感じてちょっと驚いた。

一般的な武器ではなく、敵の落とすソウルを吸収して武器としたり、攻撃にMPが必要等、他2作とは若干違う方向で作られたゲームで、難易度も高くクセのある作りなのだが、今回続けて遊んでみたらコレが一番おもしろかった。

やっぱアクションゲームはある程度難しいほうが楽しいな。

 

あと『蒼月の十字架』のマップ内にある15パズル。(以下のピースがそれぞれ部屋になっていて部屋をつなげるというギミック)

昔っからよくあるスライドパズルなんだけど、これが子供の頃から本当に苦手でして。たまーにゲームで出てきますよね、15パズル。

で、今回さすがにちゃんとパズルの解き方を理解しようとネットで調べてみたら、これがめっちゃ単純な話で笑った。解き方覚えればランダムな15パズルとか1分かからないですね。

こんなに簡単なんだったら、もっと早くから解き方を覚えておけばよかった。

このゲーム買って一番の収穫はコレでした。

 

 

ここからは、その他のお家エンタメ。

先月は、「お前ヒマだなー」って言われるくらい見た・読んだ作品が多く、しかも面白い作品が多かったのでサクサクと短めに。

まずは本。

 

三浦英之(著)『太陽の子 日本がアフリカに置き去りにした秘密』

前に書きましたが、積読になっているノンフィクション本が大量にあるので、それらを消化するモードに入ってまして。その中から頭をドカンとやられた一冊。

 

1960年代。日本の企業がコンゴ(旧ザイール)に採掘工場を建設。そこでは従業員や医師など含め1,000人以上の日本人が暮らしながら生活していた。

娯楽も大きな歓楽街もない貧しい村に突然多くの日本人がやってきた。しかも多くは男性。

そうなると必然的に村に住むコンゴ人の若い女性(13歳から20代くらい)が体を売りお金を稼ぐようになるのだが、そこで日本人男性の中から彼女たちと結婚し、子供を授かり家族となる人が出てくる。

 

しかし、工場建設から20年程経つ1980年代になると採掘していた銅の需要の低下。また内戦の勃発による治安の悪化により、日本企業は撤退する。

日本人は帰国するが、コンゴ人の妻や日本人とのミックスである子どもたちはすべてアフリカへと残された。

今も父親に会いたいと願う子供たち。夫の帰りを待つ妻。この問題をなかったことにしたい企業側。口を閉ざす当時の従業員などなど。国内外の関係者に当たり、丁寧に取材した一冊。

 

そもそもこの問題の取材と発端となったのが、フランスの報道機関による取材で、当時コンゴ人と日本人の間に生まれた子供が意図的に殺害されていたという疑惑の報道。

日本企業にとって面倒なことになるので、生まれた子供に薬を打って殺していたという証言が地元の人によりされていた。

本当にそんなことが行われていたのか。

その疑惑に対して著者が取材をしていくなかで明らかになっていく事実。そして浮かび上がる背後で糸をひく人物。

題材の興味深さだけでなく、この問題に対しての取材にかける意気込みというか、魂を感じる一冊でした。

 

日本が残したものによって大きく人生が変わってしまうというのは、同じ著者が記した『五色の虹』を思い出しながら読んでいたら、本書の最後に著者自らが触れていた。

ちなみに『五色の虹』は1938年、満州国の新京に建設された学校、建国大学の卒業生を取材した一冊。

柳条湖事件満州事変の首謀者である石原莞爾らが設立した建国大学であるが、日本・中国・ロシア・朝鮮・台湾などから生徒を募集、"五族協和"を目指し、当時としては珍しいほど思想や表現の自由な学校であった。

結果的に日本の敗戦によって、創立理念とはかけ離れた結果になってしまった。しかし、学生時代に異文化と思想をぶつけ合いながら過ごした日々を胸に、それぞれの国に帰った卒業生たちの人生を辿る旅が胸を打つ一冊ですのでこちらもぜひ。

 

 

塩崎剛三(著)『198Xのファミコン狂騒曲』

ゲーム雑誌『ファミコン通信』の2代目編集長である著者(ペンネームは東府屋ファミ坊)の回顧録

雑誌『ログイン』の1コーナーであったファミコン通信を隔週の雑誌として立ち上げ、そして週刊化し後に業界トップ雑誌へと導いたその記録。

 

本書は完全に『ファミ通』ファン向けの内容で、読むのにコンテクストが必要な本なので、当時のファミ通の編集者やゲーム関係者の名前だけでなく時代の空気みたいな物を知らないとかなり読みにくい本ではあるが、その分濃い内容。

また、著者は堀井雄二と共に『オホーツクに消ゆ』や、その後ボードゲームの『いただきストリート』『タワードリーム』などのゲーム制作を雑誌編集と同時並行でやっているのが凄い。

自分の好きな仕事を好きなだけできる事の喜びみたいなものってあるんだよね。ゲーム業界に限らず、若い頃に無茶しながらも情熱で突っ走っていた話を聞くのは楽しい。

(もちろんブラック企業的なものを肯定はしませんよ)

 

 

キャット・ローゼンフィールド(著)『誰も悲しまない殺人』

「私の名はリジー・ウーレット。あなたがこれを読んでいる今、私はもう死んでいる」

という書き出しから始まるミステリ小説。

 

アメリカの田舎町で起きた殺人事件。頭をショットガンで吹き飛ばされた状態で発見されたのは、冒頭で名乗る女性リジー

貧しい生い立ちとよそ者の父親、ジャンクヤードで育った環境など様々な要因により、子供の頃から周囲から距離をおかれイジメられてきた彼女。

その後も町で一番野球が上手く、プロになれるかもしれない男性の子供を妊娠し、彼の人生を奪った女。湖の畔で宿泊施設を営み、周囲の人間が嫌うよそ者を入れて金を稼いでいる女。

親しい友人も気にかけてくれる親族もおらず、町の誰からも嫌われている女性が被害者となった事件。

だからこそ、タイトルである『誰も悲しまない殺人』であるわけです。

 

海外のミステリ作品あるあるですが、ミステリとしてちょっと無理がありすぎるポイントがあり、そこが小骨どころか喉に詰まる勢いで引っかかりはする。

ただ、本書の見どころはそのミステリ要素ではなく、その後に描かれる一人の女性の決断の物語。最後に描かれるエピローグの味わいが沁みる。

あと、著者の文章の巧みさなのか、訳者が良いのか判断ができませんが、海外ミステリとしてはめっちゃ読みやすかった。

この著者は構成の面白さとか読者のひきつけ方が相当上手いので、たぶん今後小説だけではなく映像作品の脚本などで活躍するんじゃないかな。今後が楽しみな作家の一人です。

 

 

ここからは映像関連。

Netflix『極悪女王』

幼少期の貧困の中、女子プロレスの応援を心の支えに生き続けた少女がプロレス団体に入団。優しすぎて悪役には向かないとまで言われた選手がダンプ松本となり、全国民から憎まれるようなヒール役として成り上がっていくドラマ。

 

いやぁ面白かった。期待以上の面白さ。

しかし、ここまで真面目にプロレスをやっているドラマになるとは思っていなかった。

役者たちのプロレスとの向き合い方が本気でしたね。受け身や技の完成度など不安になるような場面も多々あるのだが、その不格好さがリアルな映像を産んでおり、その成長度合いを見ていくことこそがプロレスとして成立している。

長与千種役の唐田えりかの完成度の高さ、ライオネス飛鳥役の剛力彩芽の身体能力、大森ゆかり役の隅田杏花の受け身の上手さ。もちろんゆりやんレトリィバァの見せる狂気と、それぞれが本当に素晴らしかった。

 

ラストは泣いたなぁ。同期だからこそできるプロレス、美学のぶつかり合い。

自分の居場所を作るために戦った女性たちのドラマ。かっこよかった。本当に面白かった。

 

 

Netflix『誰もいない森の奥で木は音もなく倒れる』

宿泊施設のオーナー VS 借りた部屋で人殺しする客

という韓国ドラマ。

 

数十年前にホテルの一室で起きた殺人事件。

その事件をきっかけに順風満帆だったホテル経営は殺人現場として有名になったことで一気に傾き、親子3人のオーナー一家の転落が始まる。

そして、数十年後の現在に起きたペンションでの殺人事件。母と幼い子の二人の宿泊だったが、チェックアウトするときには母一人であった。残された部屋にはいくつかの血痕が。

ドラマの中盤で、この2つの出来事が交錯し始める辺りから一気に物語の熱が上っていくのが上手い。

 

登場人物の誰かに感情移入するのではなく、ただただ起きている出来事に振り回されるドラマ。

サイコパスの人怖でひたすら押し切る展開、しかも細部はツッコミどころ満載なので、人それぞれ評価が分かれる作品かも。

見終わった後、「なんじゃこの話」という感想以外ない。そういったストーリーを求める方はぜひ。私は楽しめました。

 

 

Netflixトークサバイバー シーズン3』

シーズン3まで来て、結局ゴッドタンの延長線上じゃねーかっていう。

チャンス大城トークにめっちゃ笑った。

でもまぁこのクオリティならシーズン3で終わって正解かな。

 

 

YouTube『そうして私たちはプールに金魚を、』

結構前に公開されていた映画で、機会があれば見たいなと思って幾年月。

それがYouTubeでアップされているのを最近知って見たら、これがなかなかパワーがある作品で良かった。(動画はこちら)

 

2012年に埼玉で実際に起きた事件で、中学校のプールに金魚が400匹も放流され警察まで出て騒動になったが、後に女子中学生4人が名乗り出て解決。

それをテーマにした短編映画。

 

地方都市の閉塞感。先が見えない世界なんて不安でしょうがないけど、先が見えすぎたらそこでもう人生は終わってしまう。

田舎過ぎず、都会過ぎず。そんな町にはなんでもあるけど、なんにもない。そんな空虚な町と空虚な思春期の共鳴。

 

また本作を見るまで、このタイトルになっている状況そのものがどういった形で映像化されるのだろうかと期待していたが、そのシーンを観客に見せないというのが面白い。

美という感覚は、恍惚であり呪いでもある。

彼女たちが見た美。その恍惚を共有しないという美しさ。その後、濡れた制服を着て歩く彼女達に、青春という名と共にフェティッシュな美を観客に想像させつつ、その粘っこい呪いの視線にベロを出して見せるのも最高。

お前らに私達の見た美しさを簡単に共有されてたまるか。私達の持つ美を消費されてたまるかという気概。

不特定多数への共感を拒否し、彼女たちのグループだけでの共感を絶対とし、一人一人の自我を融解させたその瞬間こそ、まさに美の恍惚だったのだろうと思う。それがあまりにも眩しい。

 

 

Netflix『喪う』

ニューヨークの小さなマンションの一室を舞台にした会話劇。

末期がんの父の元へと集まる三姉妹。

それぞれに家族を持ち、疎遠となっていた三姉妹が自宅介護、そして看取りまでの数日間を描いた作品。

 

独立した姉妹、父と共に暮らし続けていた娘。結婚していたり、子供が居たり、独身だったり。

住んでいる環境も、性格もなにもかも違う三姉妹がぶつかり合いながらも、旅立ちゆく父を中心にもう一度家族として再生する。

地味な作品ではあるけれど、ちょっとしたすれ違いの表現、ラストシーンの見せ方、ジョークで終わる脚本の洒落っ気など、好きな作品でした。

 

 

NHK『虎に翼』

日本初の女性弁護士・判事である三淵嘉子の人生をベースにしたドラマ。

様々なルーツや属性を持つ個人のエンパワーメントの塊のような作品で素晴らしかった。

 

丁寧に戦前の生活から戦中を描き、そして戦後の焼け野原の中で公布された日本国憲法。その中でも14条がどれほど国民一人一人にとって大事であるかを、ここまで見事に描いた作品は見たことがない。

第一話のシーンと繋がる中盤の山場となる河原のシーン。

そこで語られる言葉が現在テレビの前で見ている私へと繋がった瞬間の衝撃。見ていて本当に打ちのめされた。

ここはもうテレビドラマ史に残る名シーンでしょう。

 

今まで社会的に虐げられ見えない人(透明化)にされていた人々にスポットを当てるという作りになっているが、終盤になってまるでチェックシートを埋めるかのように様々な属性の人を出したが故に、ドラマとしては詰め込み過ぎで、キャラクタの魅力が薄れてしまったのはもったいない。

それら様々な属性の人の問題の根っこは繋がっているのだと、ドラマとして描こうというチャレンジ精神は素晴らしかった。しかし、主張したいメッセージがまずあり、それを各登場人物に喋らせるという物語の組み立てになったことで、主役である寅子が狂言回し的なキャラになってしまっていたのももったいない(ただ、これは狙ってやっているかもしれん)。

 

あと主題歌である米津玄師の『さよーならまたいつか』は本当に凄い曲。

全体の歌詞のメッセージ性とパワーに圧倒されるが、人の尊厳を大きなテーマにしているドラマの主題歌としてそのラストに「生まれた日からわたしでいたんだ 知らなかっただろ」という言葉を持ってくるセンスには震えた。

 

NHKの朝ドラは『カーネーション』や『あまちゃん』など、朝ドラの枠から飛び出すような傑作が数年に一度生まれるが、この作品はそれらに並ぶ傑作であることは間違いない。

また、主役の愛されキャラクタや魅力だけで強引に押し切るストーリーが多い朝ドラの中で、まさに虎に翼というアクの強いキャラクタを登場させた事は、今後の朝ドラの方向性を広げる作品になるでしょう。

たくさん泣いて笑った半年間、楽しい毎日をありがとうございました。

 

 

最後に音楽

Makoto & L-Side - Settle Down

イントロだけで泣けるLiquid。先月一番リピートした曲。

 

 

CLIKK, That Fancy I - MICRODOSE

That Fancy Iのご機嫌ガラージ

ポンポンと跳ねるグルーヴが気持ちよくて、運転中から部屋のBGMなど活躍していただいてます。

 

 

Jazztronik - New World feat.ELAIZA

Jazztronik池田エライザをヴォーカルに迎えた一曲。

ストリングスに乗っかる歌声の気持ちよさよ。

 

 

名取香り - Darling

前も書きましたが、ここ何ヶ月と昔の国産HOUSEばっか聴いてたら、当時のHOUSEがバンバンリコメンドされて来まして。

その中でもコレ懐かしいって声出たよ。あったなーこの曲。

これぞ歌謡ハウス。良いダサさ。

 

 

あと最後に、こちらも同じくいつの間にかサブスク解禁されてた懐かしの曲を。

RAM - S.C.A (TT & NAVE Remix)

ゲームコンポーザーとしても有名なRAMのアルバム『RE:CHARGE』から一曲。これ当時ハマりすぎてめちゃくちゃ聴いてたな。

もうすぐリリースされるRAMのニューアルバムも楽しみにしてます。

 

こんな感じで今月はおしまい。

また来月。