月刊 追い焚き作業

見て聴いて読んで遊んだ記録です

2026年7月の購入予定と6月の振り返り 『ドラゴンクエストI&II HD-2D』『TETRIS THE GRANDMASTER4』『ザ・コーポレーション キューバマフィア全史』『ウィドウズ・ベイ』『捜索者の血』

最近大きい地震が多くて怖いっすね。

一応普段から備蓄などはしてあるものの、今住んでいる地域は若干液状化しやすい場所なのでその不安もありつつ。とにかく何も起きないよう願うだけです。

 

そんな7月の購入予定。

9日

XBOX『アサシン クリード ブラックフラッグ RE:シンクロ』

アサクリ4のリメイク。

近年のアサシンクリードシリーズ的なRPGスタイルではなく、あくまで当時のシステムをそのまま活かした形でのリメイクらしいですね。

アサシンクリードシリーズ屈指の名作であるブラックフラッグのリメイクだけあって楽しみ。

 

今月はこの1本かな。

23日発売Switch2の『スプラトゥーン レイダース』はちょっと楽しそうなのでやるかもぐらいな感じで。

 

 

ここからは先月プレイしたゲームの話。

PS5『ドラゴンクエストI&II HD-2D』

ドラクエ3のHD-2Dがイマイチな出来だった(発売当時でアプデ前の感想ね)ので、スルーしていたドラクエI&IIのリメイク。

先日ドラクエ40周年記念ということで、ついに12の詳細が出るのか!?なんて期待していたら、もう一回作り直してますというズッコケ発表があり。まぁその流れでスルーしていた作品をプレイしてみるかとやってみたが、これはなかなか悪くないクオリティでしたね。

 

わりとビックリしたのが、それこそドラクエシリーズの1と2という始まりの物語なのに、ゲームの難易度がナンバリングのどれよりも異質な調整になっているのに驚いた。

特にドラクエ1の方は死にゲー的調整。

初見のボス戦は一回殺されてから考えてね、道中はヤバそうなら即逃げてね、逃げるの失敗したら死んでね、という調整にしてくるとは思わなかった。

ドラクエシリーズのナンバリング作品は全てプレイしてきましたけど、ここまで全ての特技と魔法、アイテムを駆使して1ターンずつ大切に行動を選択をした経験ってないんじゃないかな。

それくらい1ターンのミスが即死に繋がるという調整。

これまでのドラクエシリーズはそういう作りではなかったので、これに賛否両論はかなりあるでしょうけど、真剣になって遊べる面白さがあるのは確かな訳で。

レベル上げでプレイヤーの時間を奪うのではなく、戦略で遊ばせる調整なのかな。

 

そんなゲームシステムはとても良いのですが、ストーリーがイマイチ。

特に2でかなり追加されたストーリーがダメだったかな。

当時のドラクエと繋がりが深かった昔の週刊少年ジャンプのノリを再現しているのかなぁとは想像するものの、仲間内の軽いノリのワイワイと遠足みたいな冒険なので、こいつらに人の生き死の物語を託すのは荷が重い。

しかも敵側の過去を描くことで敵キャラクタにも深みを出そうとしているけど、それをこのノリとやるのは相性が悪い。

そもそも敵側に意味や過去を持たせると暴力の純度が下がりますからね。理不尽に意味もわからず突然殺しにくるからこそ怖いわけで。

 

かなり尖った作りにはなっていますが、トラディショナルなRPGとしてはちゃんと遊べる作りなので、楽しませていただきました。

特にドラクエ1の調整にはやられた。めっちゃ好き嫌いが分かれる作りだとは思うけど。

でもちょっと同人ってなノリですよね。難易度にしろ、セリフやストーリーのセンスにしろ。二次創作っぽさが強くて、それがちょっと鼻についてしまったなという。

 

 

Switch『TETRIS THE GRANDMASTER4』

わーいNORMALモードでカンストできた。

『TAP』がカンスト出来ないレベルでもここまで遊べるので今回はとってもお優しい。

お前何分やってんだよっていうくらいタイム遅いですけど、初心者なんでこんなもんですよね。

 

NORMALをカンストすると登場する1.1モードってのは初代TGMっぽい作りだそうで。

で、まぁこれもまぁ普通に理解出来る難易度なのでカンストまで行けましたけど、その後の2.1とかはもう無理。TAPのT.A.DEATHモードがベースになっているらしいですね。そりゃ無理だわ。200以降の接地の速さは、私の脳の処理速度を越えている。

2.1やASUKAモードなどこれ以降のモードを私がプレイするには、長期間どこかの施設に収容されて朝から晩まで強制的にやらされる環境に置かれなければ無理じゃないのかな。割とマジな話で。

いや、もともと乱視がキツイ上に老眼も入ってきたじじいの目にはもう難しいのではないかという気がしてる。マジで。

 

あと本作を機に操作をTGMからSTANDARDに変更しました。

やっぱミノが登るのはデカいっすね。クルクルっと山を越えられるのは相当大きい。

ただ回転法則に全然慣れていないので、結構な確率で「そんな上登るー?」とか、「そこ回して入んないのかよ」って言いがち。この辺も数こなしていかないとなかなか難しいな。

でもやっぱ面白いねテトリス。そんなしょうもなさすぎる感想が出てしまうくらい、やっぱテトリスは面白い。

 

 

ここからはその他のエンタメ。まず本。

T.J.イングリッシュ(著)『ザ・コーポレーション キューバマフィア全史』

犯罪がテーマだったり悪人の話を読みたいけど、現代の悪人は現実と繋がりすぎてて腹が立つので、ちょっと昔の時代で海外を舞台にした犯罪モノが読みたいなってのがみなさんあると思うんですよ(ある?)。

で、そんな本を探しにちょっと大きめの本屋に寄って、ノンフィクションの棚を探していたらビビッと来た本があったので買って読んだら大正解。めっちゃ面白かった。

 

1950年代からアメリカで活躍していたキューバ出身マフィアの栄枯盛衰。

キューバのバティスタ政権下で警官として働きながら悪いヤツからちょろっと袖の下をもらうという、掃いて捨てるほど居る汚職警官の一人だった男ホセ・ミゲル・バトル(以下バトル)。

そんなヌルい生活が一変したのはキューバ革命。

フィデル・カストロによる政変によって生活は激変。

こりゃあかん、とりあえず一旦この国から逃げるかってことで、逃げた先はアメリカ。

 

冷戦下のアメリカではCIAと政府主導の元でキューバへの攻撃、並びにカストロの暗殺が計画されていた。

そこでは祖国から逃げてきた多くのキューバ国民を兵隊として訓練して前線へと送り込むという、キューバ打倒の作戦が着々と進められていた。

その作戦に乗っかり今度は祖国を取り戻すために兵士として戦った一人が、元汚職警官のバトルなんですね。

 

残念ながら作戦は失敗に終わり、多数の死者と捕虜を生み出す結果になってしまったが、そんな絶望的な状況となった撤退戦の最中に同胞を救うなど英雄的な活躍をしたバトル。

作戦の英雄となった男がアメリカに帰国後、その名声を武器に賭博ビジネスをスタート。

そこからアメリカにおけるキューバマフィア最大のファミリーを作り上げる。

 

まぁそこからは裏切り、他マフィアとの抗争、家族の不和など、まぁありがちな所に流れていくのだが、それぞれのエピソードがまぁ面白い。

本書は上下巻と2冊に分かれていて、上巻はマフィアの設立と発展。下巻はその崩壊という感じの構成。

裏切り者は容赦なくぶち殺し、一般人から警察、法曹関係から為政者まで全員の頬を札束でぶっ叩いて成り上がっていく面白さと、崩壊の寂しさよね。

悪いことやってるとはいえあれだけ活躍したメンバーが捕まり、抗争で殺され、自分で頭をぶち抜きと、次々とファミリーが壊れていく下巻は読んでいて辛かった。

同じキューバ出身マフィアを題材にした映画『スカーフェイス』の感じ。

猜疑心よって孤独になり、抑えられない欲望によって崩壊していくアル・パチーノを見るような虚しさ。

 

キューバ革命に始まった物語が、オバマ大統領によるキューバとの関係改善、そしてフィデル・カストロの死去によって終わるってのは、本の構成としてお見事。

激動の中でマフィアとして生きた男。

時に祖国の為に戦う兵士であり、時に庶民を食い物にするマフィアであった。

非合法に稼いだ金を反カストロ・反共産主義者への支援に使うことをCIAは黙認し利用していた部分もあったが、冷戦構造の終焉に伴うキューバのプライオリティ低下によってバトルの利用価値が下がってしまったことで警察の手が入る。

本書はマフィアの一代記でありつつ、アメリカによって翻弄されたキューバ国民の物語として見える描き方も上手い。

 

ところで本書は、レオナルド・ディカプリオが映像化権を取得しているらしく、それなりにプロジェクトは動いていたそうですが、ここ数年動きがない所を見るにポシャりましたかね。

映画よりドラマにしたらかなり面白いと思うけどね。誰か拾わないかな。

 

 

ここからは映像関連。

AppleTV+『ウィドウズ・ベイ』

ホラー&コメディの傑作が来ました。

 

舞台は過疎化と高齢化が進む島。

主人公である町長は衰退する島を救うべく、これからは観光で稼ごうと大規模なプロモーションを行い、なんとか成功に導く。

しかし地元のおじいとおばあは最初からよそ者を呼ぶのに反対していた。

何故ならこの島は呪われた島だから。

 

いやー何度も書きますが傑作ですよコレ。

どう転ぶのかわからない展開と、絶妙な笑いの入れ方。

異常と正常の間を行ったり来たりすることで起きる笑いの妙。

世界が正常な時には正気な人が活躍し、世界が異常な時には狂気の人が活躍する。そんなカオスな島で暮らす人々のバカバカしくも真剣な騒動。

そして、この島に残された大きな負の歴史が明かされると共に、島民の運命を左右するような厄災が降り掛かってくる。

この呪いの中心地に居るのは誰か。ここはもうミステリーのテイストを入れてくるというマッシュアップ感よ。

 

これ2026年のベストドラマかもしれん。それぐらい面白かった。

そうそう本作の監督はヒロ・ムライなんですよ。やっぱ凄いよねこの人。

 

 

Netflix『捜索者の血』

いくらNetflixがハーラン・コーベンと包括的に契約しているとはいえ、あまりにも配信されるペースが早すぎないか?と思いながらも毎回チェックしてしまう。そんなハーラン・コーベンのリミテッドシリーズ。

本作は結構な当たりでしたね。

 

息子を殺した罪で終身刑を食らった父。

もちろん愛する息子を殺すなんてことが出来るはずもなく、冤罪だと主張したが目撃者なる人物の供述により認められなかった。

その事件から5年。

収監されている刑務所に義理の妹がやってくる。

彼女が持ってきた一枚の写真。そこには殺されたはずの息子が成長して写っている姿があった。

 

ハーラン・コーベン原作なので視聴者の裏をかくことがメインになったシナリオで、めちゃくちゃ強引な展開だし、ツッコミどころ満載、そして登場人物が全員適度にアホなのだが、勢いで見せる作品として質が高い。

今回はその勢いが最初からトップスピードでツイストしまくりなのでディテールなんてどうでもよくなるくらい視聴者を振り回してくるのがスゲー面白い。

真剣に見るには強度が足りないし、見終わったあと何も残らないですが、ポップコーンムービー的なドラマとしてとても良くできます。一気見をさせたい配信プラットフォーム向けドラマの極北って感じ。

 

 

最後に音楽。

SOLAH, Makoto, DJ Marky - Summer Summer

はい。今年の夏のアンセム来ました。完璧。優勝。

ひたすら押し寄せる快楽の波。あまりに最高すぎて泣いちゃうよ。

さまさまた~いむっ。

 

 

FIFTY FIFTY - Like a Bubble

いやーこちらもめっちゃ好きな曲。

何が良いってドリーミーなトラックが良すぎるし、そこに乗る声も良い。

なによりかっこいい。それぞれの声の個性を活かしたトラック。たぶんこれから末永く何度もリピートするであろう楽曲。

 

 

MPH - Long Goodbye

タイトル見て、おっレイモンド・チャンドラーですかってうざ絡みしたくなるタイトルですが、そんな(?)MPHの新譜がヤバい。

MPHは今のUKガラージシーンを復興させているアーティストの一人であるけれど、こういう今どきのパターンに郷愁のテイスト乗っけて現代に持ってこれるってのが牽引役である所以よね。

 

最近のリリースではUnconditionalもめっちゃよかったしね。

MPH - Unconditional

 

 

ondab - 360p

UKガラージの流れからちょっとだけ2ステップなフレーバー、韓国のアーティストondab。

その新譜が超かっこいい。ポップなサビのかわいさよ。

 

 

TWOFACED, Nikita W. - I Need You

次はハウス界隈からこちら。

結局こういうのがいいのよっていう90年代後半辺りのアッパーなハウスのド真ん中。

なんかこうバーンと広がる青空のイメージよね。めっちゃリピートしてます。運転中に最適。

 

 

XG - Flowers (Sweet Female Attitude Cover)

最後に2ステップに逆戻り。

Sweet Female Attitudeのヒット曲FlowersをXGがカバー。

そもそも90年代後期からの2ステップのシーン自体が一瞬で流行って一瞬で廃れた一発屋的ジャンルでありました。その中でも文句無し紛うことなき完璧な一発屋だったのがSweet Female AttitudeのFlowers。

もちろんそれだけヒットした曲なので、その後もカバーやサンプリングで使われることも多かった曲ですが、ここに来てストレートなカバーをXGがやるとは。

そのまんまのカバーすぎて背中が痒くなるようなダサさと共に、何よりヴォーカルがめっちゃ良いしメロディアスで今でも聴ける曲だよねという、振り子のような感情が襲いかかります。

 

 

こんな感じで今月はおしまい。

また来月までなんとか生きていきましょう。

2026年6月の購入予定と5月の振り返り 『Forza Horizon 6』『Mixtape』『少年の君』『恐るべき太陽』『親愛なる八本脚の友だち』『キリゴ』『まりとっつぁん』

暑くなってきましたね…。ここから10月くらいまでダメですかね。

 

そんな6月の購入予定ですが、特に無しかな。

と思ったら、6月4日に『TETRIS THE GRAND MASTER 4 -ABSOLUTE EYE-』がSwitchで出るので、それは買います。

現在リビングのテレビに接続しているSwitchにアケコンを持ってきてあって、それでたまにアケアカの『TAP』やるんですよね。

まぁ上手くいったとしても700以降にロッテルダム感のあるガバキックがBGMに入りだす辺りで終わるんですけど。

ポポペーペーポポペーペーポポペーのメロディになる辺りで大体終了。800台かな。そこから早すぎて無理なんだよなぁ。

ちゃんと腰を据えて日々真剣にやらんとダメなんだろうが、なかなか。

 

まぁ今月はこんな感じで。

 

ここからは先月プレイしたゲームの話。

XBOX『Forza Horizon 6』

今回は日本が舞台のオープンワールドレースゲーム。

東京タワーから数分で金閣寺に行けたり、そこからさらに数分で立山黒部アルペンルートや白川郷に行けたりと、複数の視点を一枚のマップに表現したキュビズムのような日本マップ。

しかし、そのごった煮感こそが日本らしさでもある感じでとても良い。

 

いなかー

 

と思えばロボー。

おっそい車でチンタラ走るのが楽しいマップになっていて素晴らしい。

 

あと今回はゲーム内のラジオにJ-POP専門チャンネルが出来たのが熱いですね。

AdoやYOASOBI、Creepy Nutsなど世界規模のアーティストから櫻坂46、Snail's HouseにYMOなどラジオ局の名前がGACHA CITY RADIOだけあって新旧まぜこぜのガチャガチャ感満載。

特にDÉ DÉ MOUSEと一十三十一のコラボ曲『摩天楼Starlight』が収録されていたのはマジで嬉しい。リリースされた時にこのブログでも紹介しましたが、一時期ずっと聴いてた曲でしたからね。現代に蘇るシティポップ。ありがたい。

ただ、DÉ DÉ MOUSEのもう一曲の収録曲は『Carry on』が入ってますが、同じパズラムさんとコラボ曲なら『Summer ever』でしょうよ。ドライブには絶対こっちですよ。

 

まぁゲームとして中身は毎回ほぼ同じでマップだけが違うゲームだけれども、そのマップに魅力があるからこそ本作は良いですね。

キャリアのボリュームも収録車種の豊富さ、気持ち良いドライビングの挙動、なにもかもが素晴らしい。

 

 

XBOX『Mixtape』

永遠にも感じた日常が終わってしまう、その最後の日。

あの時間を一緒に過ごした友だちとこれから何年、何十年経っても変わらずに思い出せるし、腹抱えて笑って話せる最高の一日。

その瞬間をアドベンチャーゲームに落とし込んだ感じ。

 

親友と離ればなれになってしまう最後の一日の輝き。その瞬間ごとのシーンに合う実際の楽曲をMixtapeとして落とし込みBGMとして使った所が本作のオリジナリティでしょう。

あまりにプレイヤーがインタラクト出来る部分が少ないので、映像作品に限りなく近いゲームではあります。

 

そんなノスタルジックな作品なのに、ところどころ当時のアイテムのディテールが甘いのがめっちゃ気になってしまった。

特にカセットテープの部分。あれってカセットテープを知らない人作ってて、知らない人がOK出したんかな。

あと主人公含めた登場人物がかなりのワルガキなので、その部分が受け入れられないと無理かも。

最近はフィクションの中でもある程度の倫理観は持っていて欲しいという人って意外と多いらしいですからね。

 

80~90年代のロックを中心にしたサウンドは刺さる人にはたまらないのかもしれないが、私はロックを一度も通らなかった人間なので、まったくピンとこず。

でもこういう作品は、韓国映画で『サニー 永遠の仲間たち』が日本版でリメイクされ『SUNNY 強い気持ち・強い愛』として制作されたみたいに、その国の文化にあわせてローカライズされた物を見てみたいと思っちゃう。

音楽だけでなくカルチャー全般に広げると、映画『花束みたいな恋をした』が一番芯を食ってる感じがするんだけどね。逆に言えば、あのフォーマットを使った各国の『花束~』を見たいなっていう感じもある。

ジョン・カーニー監督の映画『シング・ストリート 未来へのうた』の各国版を作ってほしいみたいな欲求がずっとありますね。

 

そういった意味でBGMにはピンとこないけどカルチャーとして知れるおもしろさがありました。

若者が直面する生きる事の喜びと寂しさ、そのコアに眩いくらいの光が溢れている。

 

 

ここからはその他のお家エンタメ。まずは本。

玖月晞(ジウユエシー)(著)『少年の君』

中国の作家による、学校のイジメをテーマにした小説。

イジメのターゲットになってしまった少女と、たまたま出会った不良少年。傷だらけの両者が二人の世界を守るために戦う物語。

 

愛する人を守るために自分がどこまで出来るか、というかなり純度の高い恋愛小説ではあるものの、物語の構成がミステリー的なフレーバーにしてあって面白い。

でも、そういったエンタメ的な部分だけでなく、所々に入る二人だけで過ごすシーンが本当に美しい。

何気ない日常の美しさを共有する楽しさを知った二人が、屈託無く過ごすその平和さと言いますか。文章を読んでいて、目の前にその光景がブワーっと広がる感じが本当に素晴らしかった。

 

で、この作品、映像化されていまして同名の映画になっているんですよね。

それがAmazon Primeで配信されていたので、小説読んだあとに観てみたら全然違う話で笑った。

悪く言えばジェネリック東野圭吾。

原作を読まずに映画単体として見ればそれなりに見れる作品ではあるのだけど、原作小説にあった美しいシーンの多くがカットされていて悲しかった。

映画版では、今月頭にも中国で実施される高考(ガオカオ)という大学入試の統一テストへのストレスをより強調、またイジメ首謀者のキャラクタを立てる方向にし、二人の関係性をより簡潔にして、より共感を得られるようなアレンジにしてあり、その方向性は理解出来ます。

別メディアの展開として、この映画の脚本の方がわかりやすい作りではあるので悪い改変ではないのだけれども。ちょっとだけがっかりしちゃったね。

 

 

ミシェル・ビュッシ(著)『恐るべき太陽』

年単位で積んだままの海外ミステリーをいい加減崩すという作業をチマチマしておりますが、ここ最近で一番「やられたー」とひっくり返ったのが本作。

 

南の島で開催された、ベストセラー作家主催の創作セミナー。

集められた作家志望の女性たち5人が出された課題をこなそうとした矢先、主催者である作家が行方不明に。

しかも居なくなった現場には、次の被害者を示唆するようなアイテムが置かれていた。

そして、次々と殺され始める参加者たち。

 

というように、本作はアガサ・クリスティの『そして誰もいなくなった』のオマージュ作品。

この手の作品は数多くあるものの、これは出色の出来では。

 

ネタバレ絶対ダメな作品なので、まったく詳細が書けないのですが。

いや、小さな違和感はあったんだよね。読んでて「あれっ?」っていうような場面がいくつか。

物語が後半になるにつれて、その違和感がどんどんと大きくなっていく上に、何が本当の出来事なのかがまったくわからなくなる。

それが全てラストに繋がって霧が晴れる上手さ。

 

やられたなー。真正面からガッツリとやられた。

めちゃくちゃ大胆なトリックなので、おそらく気付くはすぐにピンと来るタイプではあると思う。でも、そこに至るミスディレクションもまた大胆過ぎて、あとでパラパラと読み返すと笑っちゃうんだよね。

あまりにも堂々と通ると素通り出来るみたいな大胆さ。

 

ミシェル・ビュッシがフランスを代表するミステリ作家であることは目にしていたものの、本作で初めて読みその上手さにビビってしまったので読後にすぐ全ての過去作を注文してしまった。

こういうことやってるから本が増えるんだけどさ。

 

 

ここからは映像関連。

Netflix『親愛なる八本脚の友だち』

以前もこのブログで紹介した、シェルビー・ヴァン・ペルトの同名小説の映画化。

 

水族館の清掃員の女性と、そこで暮らすミズダコ。

一人息子を事故で失い、夫も数年前に亡くなった女性の孤独を癒しているのは、そのミズダコだった。

そんなある日、職も金もないしやってたバンドは解散してしまうという人生に行き詰まった男性が田舎町にやってくる。

孤独であるが故に一癖ある女性。何もかも失った男性。その二人を静かに見つめるミズダコ。

その3者が織りなすハートウォーミングなストーリー。

 

原作小説が本当に素晴らしい作品でしたが、この映画化も完璧。

小説を読んでいた時に脳内に流れていた光景がそのまま映像になっている感じ。

ラストのアレンジにはしびれたね。原作よりもこちらの方がキレイな流れかもしれない。

監督のオリビア・ニューマンは本作の前に撮った『ザリガニの鳴くところ』でも原作小説の魅力を失わせない素晴らしい映像化をしていたが、今回も完璧でしたね。

私は別メディア展開の際に何が何でも原作通りにして欲しいというタイプではないのですが、それでもここまで芯を食った映像化をしてくれると本当に嬉しい。

 

ストーリーとしてはよく出来すぎているタイプだし、かなりファンタジーの入った作品なので、その部分が鼻につくという評価はあるかもしれんが、やさしく素敵な物語を見て癒されたい人はぜひ。泣ける。

 

 

Netflix『キリゴ』

突然学生達の間で話題になったスマホのアプリ『キリゴ』。

このアプリに願い事をすると必ず叶うが、叶った瞬間から24時間後に死ぬという呪いのアプリだった。

という所から始まるホラー作品。

 

本作の魅力の一つとして、主人公の男女コンビが健康ってのがとても大きい。

元気とか、快活とか、類語はいっぱいあるだろうけど、本作の主人公は健康という表現が一番しっくりくる感じがある。

霊に取りつかれても健康。霊と戦ってる場面も健康。死にかけても君等はきっと大丈夫だよなって思わせる健康さ。

すくすく育ったすこやかな若者なのよ。

ホラー作品なのに主人公の健康さが光るという謎の味わいがとても良い。

 

あとBGMが結構凝ってて良かった。

特徴的なのが、そのシーンで重要となるアイテムを使っている時の音をサンプリングしてBGMにしている所。

何の音かはネタバレになるのでアレなんですけど、序盤で印象的なのはカッターの刃を出す時のカチカチって音ね。あれをBGMとして不安感を煽るサウンドに仕上げている。

最近と言っても20年以上前から、映画に限らずあらゆるBGMというものはループを重視した面白味のない音楽(近年ではAIによるスロップ化も加速してるし)ばかりな中、そのループする音楽の中で何を表現していくかに焦点をあわせていて面白かったですね。

 

 

テレ東『まりとっつぁん』

フィルムエストTVがテレ東と組んで制作している架空名作劇場の第二弾。

クリームたっぷりの洋菓子マリトッツォ。

実は日本でも戦後すぐに和菓子屋の女性がその原型となるお菓子を生み出していた。その女性の一代記をドラマ化したという架空の作品。

 

今回は架空のNHK朝ドラ。100話を越えるエピソードの中から、4話を抜粋して再放送するというメチャクチャな構成なのに、何故か感動してしまうというヤバさ。

4話しか見ていないのに、この朝ドラを全てみたかのような架空の記憶が作り出される。

 

それにしてもラストさぁ。クリームが口につくシーンですよ。

ベタ過ぎて笑っちゃうんだけど、そんなベタなことをするドラマや映画なんて最近はなかったから、逆に入った感じで不意を突かれて素直に感動しちゃったんだよね。

このドラマ見てマリトッツォ食べたくなるけど、もう売ってないという反応を視聴者が取るであろうと想定されている事を含めて面白かった。

あと友近のナレーションがすごすぎて笑った。エグいわ。

 

 

最後に音楽。

PinkPantheress - Girl Like Me

リズム天国がやりたくなるMVですが、曲もアッパーでカッコいい。

途中ピアノが入ってきてからのスタイリッシュな展開がスゲー好きなんだよね。めっちゃ好みのサウンド。

 

 

Starjunk 95 - Spectra Ocean Dream Circuit

前回紹介したSAM WAITINからの流れで、初代PSサウンドインスパイア繋がり、その大御所であるStarjunk 95からこちら。そろそろ暑くなってきたのでこんな感じのサウンドで。

実際の車の運転中に流すと、見てる風景がローポリになりますね(なりませんね)。

 

 

Tsu Nami - alone (dancing on my own)

ガラージやハウスのトラックメイカーTsu Namiの新譜がとても良い。

シンプルな構成の中に光る浮遊感。

 

 

FiFi Zhang - Fallen Angel

今月は珍しく中国の小説を紹介したので、この機会にお気に入りの上海出身のトラックメイカーを。

Tsu Namiと同じくクラシックなスタイルなのだけど、彼女の声を含めたフレーバーの付け方がとても上手く、そこに強烈な個性がある。

 

 

Overmind - Welcum

上述したゲームの『Mixtape』に感化されたので、私も青春の音楽を集めてプレイリストでも作ろうかなとやり始めてみたり。

で、私が中高生の頃。チャリで30分くらい走った所にあった輸入CDやレコードを扱っていたショップに行って、テクノやらハウスやら、当時出始めたトランスやジャングルの盤を買っては、ヘッドホンして頭振ってた時代。その中でも破壊力抜群だったのがこの曲。

最近リビングで流してたら通りがかったツレから「ジュリアナ?」って言われて笑ったのだが、それ以来YouTubeのリコメンドにMaximizor、T99、ジョン・ロビンソンとか出てきまくって悶えた。

勘弁してください。もうやりません。ちゃんと新しい曲聴くからもう許して。

 

 

そんな感じで今月はおしまい。

また来月までなんとか生きていきましょう。