月刊 追い焚き作業

見て聴いて読んで遊んだ記録です

2022年7月の話と8月の購入予定

先月から引き続き、きゅうりを食べております…。定期的にいただくので、全然数が減っていかない…。しかも今度はトマト(ミニから大まで)を大量に頂いておりまして。野菜室がトマトときゅうりで埋まっている…。

 

そんな8月のゲーム購入予定です。

8月25日

『ディスコ エリジウムファイナルカット

PCで高い評価を受けたRPG(ADVに近いそうですが)。やっとローカライズされるという事で期待しております。

 

8月25日

ソウルハッカーズ2』

前作はセガサターンで出た当時散々遊びました。まさかあれから20数年経って続編が出るとは。

まぁキャラクタデザインや戦闘システムもガラッと変更されているので、看板だけ借りたように見えますが、あえてこのタイトルを持ってきた理由がプレイしたらわかるのでしょうか。

 

今月はこの2本かな。

あと8月23日『Saints Row』はいつかプレイするリスト行き。

やりたいゲームの発売日被ってるし、9月は『スプラトゥーン3』出るしで今月から忙しくなりそうですね。

 

 

それでは先月プレイしたゲームの話

PS5『アサシンクリード ヴァルハラ』

DLCラグナロクの始まり』もリリースされ、ここで一つ再プレイしておくか思ったのが6月末。

そこからまるまる一ヶ月かかったな。いやー長いわ。

 

前回プレイした後にヴァイキング関連からイギリス史、北欧神話関係の本をババッと買って乱読した事もあり、ベースとなっているストーリーやアースガルズ編を含めて一段と深い感じで楽しめております。

しかし誤算だったのは、北欧神話の話が面白くてそっちにハマってしまったんですよね。ただゲーム的には北欧神話の部分はキャラの背景やそのまま同じ話が出てきたりという部分はあり、専用のマップまで用意されているもののサラッと触れる程度でしかないので、味わいは薄いんですけどね。

今回追加されたDLCオーディンの息子が殺されるまでの話を描いているが、ゲーム的にラスボスをスルトにするしかなく、結局ぶっ殺しますからね。

 

まぁそこはそれとして、今年秋に出る『ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク』も北欧神話なので、今のタイミングで予習しておくのもアリですよ。

私が読んだ中では、入門編として山室静(著)『北欧の神話』か、ニール・ゲイマン(著)『物語北欧神話 上・下』が読みやすい。

その後、個々の人物や出来事の辞典としての読み方は池上良太(著)『図解 北欧神話』。

そしてトム バーケット(著)『図説 北欧神話大全』ってのが、本としてのクオリティも高く、北欧神話が好きになった方なら必携という一冊で超おすすめ(ちょっと値段が高いけどね)。

 

 

PS5『Stray』

ネコちゃんの可愛さに全振りしただけのゲームかと思ったら、かなり丁寧に作られたパズルアドベンチャーゲーム

 

生存の為に外界から閉ざされた世界となったシェルター。しかし、あまりにも長い時間閉鎖され続けたために、多くの生物は息絶え、主にロボットが生活しているポストアポカリプスの世界。

絵葉書に残された外の世界を目指し、相棒のロボと共にシェルターの解放に挑む。

 

緻密に作られた世界と、そこを生きる愛嬌のあるロボ達との交流。

極限までUIを排除するというコンセプトなのか、マップや目的地の表示、アイテムのハイライトなどがないゲームだが、背景デザインや小物の配置などによる視線誘導などが細部まで行き届いており、無駄に迷わせない作りになっているのは上手い。

 

全体的な展開やラストはPS2『ブレス オブ ファイアV ドラゴンクォーター』を思い出しました。ホントこういう展開に弱い。ウルウルしちゃった。

 

 

それでは、その他のお家エンタメ。まずは本。

田豊史(著)『映画を早送りで見る人たち』

ふらっと立ち寄った本屋で平積みだったので、買ってみたがコレが当たり。めっちゃ面白い本だった。

 

若者を中心にここ数年で特に多く見かけるようになった、配信の映画やドラマ、Youtubeなどの再生速度を上げて倍速で見る人達。

情報系の動画やドキュメンタリーなどを倍速で見るのは割と想像が出来るものの、私はドラマや映画などは絶対に等速でしか見ない古い人間なので、彼らが何を思って早送りで見ているのかイマイチ理解が出来なかったが、これを読んでその価値観の一端に触れることが出来た。

 

本書では早送り視聴の流行の3つの要因として、『サブスクによる映像作品の供給過多』『コスパ(またタイムパフォーマンス)を求める人達』『セリフで全てを説明する作品が増えた』としている。

 

定額で大量の作品にアクセス出来るが、逆に数が多すぎて可処分時間の少ない中どの作品に時間を費やすべきかという問題の答えとしての倍速視聴。

作品を「観たい」のではなく「知りたい」というのが根底にあり、「鑑賞」ではなく「消費」をする必要がある為に早送り視聴をしている。

共感をベースに仲間の和を至上命題として会話をする人たちにとって、友達同士で見た感想を言い合って作品に対しての理解を深めようとするのではなく、「知っている」という共通点から齟齬の無い感想を言い合う事が重要になるので、濃い理解は必要が無いというのが面白い。

 

そうなると解釈が分かれたり、ある程度のリテラシーが必要な作品は好まれなくなり、セリフで説明する作品が増えていく。

この傾向は本書の中で脚本家の佐藤大が、現在の製作委員会方式(1本の作品に多数の企業が出資する形)だと説明セリフを抑え映像で語るような脚本はチェック段階でNGが出てしまうと言っている。

出資した企業が多いと口を出す人間が増える。ある程度の利益を確保するにはリテラシーの低い人を置いてけぼりにするような作品ではヒットの可能性が下がるからダメだと。その結果、誰でもわかる単純な作品が量産されていく。

 

しかし、作品を早送りで見る事によって張り巡らせたフリ(伏線)や、登場人物の表情やセリフ、間から生まれる奥行きなどが体験出来ないのではないかと思ってしまうが、そんな物は端から求めていないというから驚く。

本書でもインタビューで大学生が答えているが、作品への深い理解なんてものは最初から諦めている。

作品を観た事で自分なりの解釈が出来たとして、SNSや友人などに自分の意見を言ってそれが間違っていると人から指摘(SNSでウザいリプを飛ばしてくる他人含め)されて面倒な思いをしたり、恥をかいて傷つくよりは、1から10まで作品を解説してくれるネタバレサイトや動画を見て理解してから話す方が良い。

大多数が納得するような普遍的な解答がネットにあるのだから、自分なりに咀嚼して得た解釈は必要が無いという割り切り方。

 

だからこそネタバレサイトやまとめサイト、解説系YouTubeTiktok動画といった作品の中の要素を客観的に整理したり、ただ共感を得られるようなサイトが重宝される。

また、自分が見た後にどう思うかという部分に関してのプライオリティが低いためにネタバレが気にならないどころか、逆に全部を知った上で見る事で、通常であれば2周目以降の味わい方を初回から感じる事が出来る(時短になる)。

もし作品が気に入ったのであれば後から何回でも見れば良い(初回視聴では気に入るかどうかわからないから時間を使いたくない)。

 

このように見る前の情報が重要になってくると批評や評論が読まれるようになるかと言えばそれは真逆で、現在評論といったジャンルはまったく売れない物になっているそうで。

どうしても批評や評論には、個々の作品に描かれた内容だけでなく、それが生み出された社会背景や過去の作品からの影響など避けれられない要素が多くある。

しかし、体系的に見る事がコスパが悪い(共感をベースとした会話のネタにならない情報は不要)とされるコミュニティにおいて、それらの要素が入った評論はノイズが多すぎる。

また評する過程で作品の問題点を指摘したり、広範な知識によって書かれた文章を上から目線(知識マウント)と感じる人にとって、そんな評論家の"我"が入った文章など読みたくない。

 

そして近年よく目にする"推し"という言葉の登場。

マニアやオタクという言葉に付随する、ある特定のジャンル・作品に対して詳しい人という意味を抜き、対象に対する愛や夢中になっているが詳しくはないですよとマウントされないように下から目線が加わった状態を凝縮した"推し"という言葉。

 

推しがある人達から醸し出される生活の楽しさや潤い(推し活)をSNSなどで目にする彼らは、自分が推したくなる存在に出会う事に憧れ、また人によっては自分も推し活の楽しさを他者へ披露(誇示的消費)する存在になりたがる。

こういった行動原理があるので、当たり前だが自分が推している作品(対象)を貶されたくない。そもそも推しに対しての客観分析なんて求めてないし、それは不快でしかない。

推し活動は推しが輝いていることが重要なので、尊い存在にキズをつけるようなことを横から言わないでくれますか?という話だと。だから評論なんて要らない。

 

要は、自分が絶賛しているものを絶賛するコメントしか目にしたくない。

ここでも求めているのは共感でしか無いという。

SNSでバズる感想のどれもが、作品の良い部分をことさらに誇張し、その美点に気付ける視点を持ち合わせている"私"という自己顕示欲が薄っすら混ざりあった結果、気持ち悪さすら感じるほど過剰に持ち上げた絶賛ばかりになるのも、ここに要因がある。

 

本書ではこれらの要素だけでなく、近年目にするリキッド消費(全てのコンテンツ・プロダクツの旬が短く、個人で所有しないスタイル)や、ファスト映画、個性的ではありたいが目立ちたくない心理、多様性の尊重、勝ち馬に乗りたがり失敗を極度に恐れる若者達など多岐に渡る部分から現在のコンテンツの摂取スタイルを明らかにしていく。

 

いやー凄い一冊ですよ。読みながら「ほえぇー」と頷きまくり、付箋貼りまくり。

倍速視聴を入り口としているが、近年のコミュニケーション作法の変化など様々な要因から出てきた行動の一つとして倍速視聴というスタイルが流行している事がわかって来る。

もちろん年齢関係なく単純に多くの作品を見たいし、セリフの間など倍速でも楽しめてますよって感じで倍速で見ている人も多いだろうけど。

 

と、ここまで書いてきてアレだが、本書では触れてない部分の一つとして、そもそもドラマや映画などそういったカルチャーって多くの人にとって生活の中で大きな割合を占めるような趣味・行動でしたっけって部分はひっかかるんですけどね。

本書の冒頭のアンケートでも各年代10~30%の人が、そもそも映像コンテンツを見ないと答えてますし。

むしろたいして興味のないものでさえ、少ない時間の中で見なければならないとされる同調圧力というか、共感強制力が働いている事の方が根っことしては深い。

 

本書でもコスパ・タイパを重視するあまりに趣味の世界ですら失敗をしたくないというメンタリティが書かれているが、そういった何事にも失敗や無駄を極端に恐れるあまりに自己による決定を回避(SNSでオススメされたり流行ってるから見ただけで、自分から失敗した訳ではないという予防線)、また事前情報というか検索して出た最適解を会得するという振る舞いが身に付きすぎているってのはあるかもね。

 

まぁそこはそれとして、近年ちょこちょこと抱いていた若者に対しての違和感の正体が、思いがけず倍速視聴なんて消費スタイルの一つから薄っすらと見えてくる感じがあって驚きました。

本書を読んだことをきっかけに現在の若者の行動心理的な本を今いくつか読んでいるので、この辺りの話はまた来月にでも。

 

 

宝樹(著)『三体X 観想之宙』

劉慈欣の『三体シリーズ』からのスピンオフ。というか、『三体』オタクであった著者の宝樹が『三体』完結後に中国のネット掲示板で勝手に二次創作小説をアップしてたらそれが話題を呼び、まさかの劉慈欣自身のお墨付きをもらって出版された作品。

 

本家『三体III 死神永生』では中心人物だった程心(チェン・シン)、雲天明(ユン・ティエンミン)、艾AA(アイ・エイエイ)の3人の活躍が描かれているものの、結構重要な部分が大きく年代が飛ぶ形で端折られておりまして。

その隙間を補完し、また新たな解釈や描写を加える事で『三体』シリーズをより高解像度で楽しめるようになる一冊。

 

まぁ二次創作とはいえ、よくこれだけの作品出したなと本作の出来の良さには唸るばかりでありますが、うーん…。んんー…。

どうしてもネット掲示板発という部分から来る悪ふざけの風味が残っており、それが雑味なんだよねぇという。

本作に関しては中国でも賛否色々あったそうですが、私も賛否が7:3ぐらいかな。

今後『三体』を再読するとしたら、必ず『三体X』の影響を受けるだろうし、そこ部分に関して読んで損したとは思わないが、もうちょっとノリをなんとかしてもらえたらという…。いやスゲー面白かったんだけど…。うーん…。

 

ちなみに、宝樹の力量は日本では一つ前に出版された『時間の王』を読めば一発でわかります。それぐらいこの著者の才能はゴイスー。

長い長い時間の中で生き残るために洞窟へ住んだ哺乳類の営みが見える『穴居するものたち』。

飲食店の創業者がテキトーにつけた嘘コピーを真実にするべく、赤壁の戦いで敗走する曹操に自社のラーメンを食べてもらう為にタイムスリップする『三国献麺記』。

学校一の美人に告ったら「バラを999本くれたらデートしてもいいよ」と言われ、それを真に受けた貧乏学生が、指定した時間・場所に999本のバラを置いて欲しいというメッセージを未来に向けて残しておけば、いつかタイムマシンが出来たときに彼女と結ばれた世界線に居る子孫がこのメッセージを見て助けてくれるだろうと画策する、超絶他力本願ラブコメ『九百九十九本のばら』。

など硬軟幅広くスゲー作品満載で万人にオススメな一冊です。

 

 

ブリット・ベネット(著)『ひとりの双子』

この本は、2022年に読んだ中でベスト作品となるかもしれない。

 

舞台はアメリカの田舎町。住人は肌の色は薄いがルーツは黒人達が住む街。

そんな地図にすら載っていないような小さな町に住む貧しい母子家庭で育つ双子の少女。

彼女たちは16歳になり、閉塞感のある故郷を離れ都会へと出る。

 

何をするにも一緒だった双子は協力して暮らすものの、姉は白人男性と結婚し白人になりすまして生きる道を進む為に生まれた土地から家族まで全てを捨て、妹は黒人男性と結婚し子供を生むが夫からのDVにより離婚し子供を連れて故郷に帰る。

そんな、それぞれ別の方向へと進んだ双子が、時を経て交わる。

 

アメリカでは現在でも全ての物事が分断の元となっているが、それらの差異によって生まれる悲しみ。

本作では双子を中心とした三世代の女性の視点によって、この社会がどう変化し、また変わらないまま残っているのかがあぶり出される。

 

トニ・モリスンの『青い眼が欲しい』『ビラヴド』を彷彿とさせる完成度で、それらの現代版といった趣すらある。

丁寧に描かれた描写と登場人物の小さな心の機微に、不意打ちを食らうかのように胸が抉られ、また涙する。

登場人物の配置が若干システマチックな部分は引っかかるものの、そこはそれとして凄い作品です。素晴らしい。

 

 

ここからは映像関連。

Netflix『呪詛』

台湾で大ヒットしたホラー映画だそうで。

 

仲間3人と超常現象を追いかけるYouTuber的なノリで入った村で、調子に乗って禁忌を破り呪いをゲット。

そこからなんとか生き延びた女性が数年後、子供を生んだらその娘に呪いがムーブ。

なんとか呪いを解いて助けようぜってお話。

 

母が子を守る為に視聴者さえをも巻き込む形でうねりとなって終焉を迎えるラストは素晴らしかった。

ただ、それならもうちょっと時系列による出来事をハッキリ分けて、中盤以降のドライブ感を出した方が作品としては良かったような気はするけれどね。

 

本作はPOVホラーの中でも自撮り風というか、YouTube的な撮り方をしているので固定カメラが多くて大丈夫かと思ったら、その固定と手持ちの変化に脳がついて行けず酔うタイプの映像だったのがちょっと辛かった。

普段から私は48インチのテレビでドラマや映画からゲームまで見てるんだけど、これでもちょっとキツかったからなぁ。

今の時代にわざわざテレビで映像作品を見る人はもっとデカいサイズのテレビで見る人も多いと思うので(私はゲームもやるので、これ以上デカいと画面端UIの視点移動が鬱陶しい)、POV作品が苦手な人はヤバイかもしれんね。

ただ、デカい画面で見るからこその演出がラストの仕掛けとなっているので、本作はぜひ大画面で。

 

 

Netflixバイオハザード

ネトフリ制作のドラマ版バイオハザードということで若干期待していたが、ゴミでした。

なんせ主人公が頭が悪い上に性格も悪いという、意図的に作っているのであれば相当上手いキャラクタ設定だなと思わせるぐらいの人物。

1話からラストまでずっとイライラしっぱなしで、もうさっさと主人公を殺してくれとゾンビを応援する新感覚ゾンビ作品としての見どころはある。

 

前もNetflixはCG作品の『バイオハザード インフィニットダークネス』というゴミカスを生み出していたが、あれより酷い。久々にここまでくだらないドラマを見て胸が高鳴ったよ。

 

 

Netflix『グレイマン

ライアン・ゴズリング主演に監督はルッソ兄弟、しかもなかなかに高い制作費というハードルの上げすぎた感はあるが、なんかアクションの多さで内容の薄さを誤魔化してないっすか的な。

まぁ設定からストーリーまで既視感の塊かつ脚本も稚拙と全体的にアホっぽい作りなので、頭を使わず軽い気持ちでサクッと見れる作品としては良い。

でもなんか主人公の軽さと、めちゃ強い相棒の女性。二人が助けるのは病弱で可憐な少女ってシティーハンターっぽさあるよね。あれからエロ抜いた感じ。

続編・スピンオフの制作も決定されたという事で、今後のシリーズ展開は楽しみ。

 

しかし、ここ数年の配信ドラマとか映画って完全にHDR映えを狙った画作りになってきましたね。

本作でも露骨な程いかにHDRでキレイに見せるかってシーン連発。一般的な映画と違って、暗いシーンでもカチッとした映像が出せるし、その中の明かり(光)の美しさが圧倒的に違うんで、グッと映える画になってる。

本作もゴリゴリのアクション映画なので映画館で見たい作品なのに、この映像なら家で見た方が絶対キレイってのはなんだかモヤるというか。まぁ対応する映画館がもっと増えると良いのですが。

 

 

最後に音楽。

Submorphics - Lucinda

 今月の帰宅曲。

SubmorphicsのEP『Verona Highway』からの一曲。

EP全体通してアゲ過ぎなさがBGMとしていい感じ。

 

Pola & Bryson Ft. Zitah - Tell You What I Did

今月の帰宅曲その2。

 

Simple Souls - Fusion

上の3曲はどれも夏用のBGMとして活躍中。

まぁそれにしても暑すぎるんだけどもねー。

 

ってな感じで今月はおしまい。また来月。

2022年6月の話と7月の購入予定

中途半端な田舎に住んでいると今の時期は様々なルートからきゅうりが貰える季節です。

しかし、今年はきゅうりもらいすぎ。冷蔵庫の野菜室がきゅうりで埋まったのは初めてですよ。一日2・3本は食ってます。マジ河童。

 

そんな7月の購入予定です。

といっても今月も特にピンと来るものは無し。

7日風のクロノア1&2アンコール』、22日ライブアライブはオリジナルを散々やったからなぁという。両方作品共に、熱心なファンが居るのはわかるけれども、私はそこまでなぁ…という感じだったので。どちらも好きですけどね。

 

19日『Stray』ってサイバーパンク猫ちゃんアドベンチャーはちょろっと触る予定。こちらはPSPlusのサブスクに入るらしいので、それでプレイします。

 

 

それでは、先月プレイしたゲーム。

Series X『サイバーパンク2077』

発売日にPS4版をプレイしていた時は、エラー落ちが面倒過ぎてサラリとメインミッションだけプレイして終わらせていたが、今回はじっくりと堪能させていただきました。

いやーやっぱ密度が濃いなぁ。街の作りだけでなく、ストーリーからサブミッション、それらをクリアするまで複数用意されたルート。全てが濃い。

オープンワールドのゲームってプレイし始めの初速が凄くて、後は惰性という感じになりがちだが、『ウィッチャー3』と同じくプレイすればするほど味わいが出てくるのがゴイスー。

『ウィッチャー3』と共に、数年おきに何度も再プレイする作品になるんじゃないかな。2023年はDLCも出るらしいので楽しみ。

 

あとこの機会にすべてのエンディングを見てみたが、ほぼすべてバッドエンド的な流れになっているんですね。

これはCD PROJEKT REDの前作『ウィッチャー3』でも何かのインタビューで、何故これほどまでに後味がスッキリしない終わり方をする話が多いのかと聞かれた制作側が、「ハッピーエンドがほぼないのはポーランド文化の影響」だと話してまして。

ポーランドは西・東・南とまぁ面倒くさい国に囲まれて、あっちこっちからバッチバチでその都度切り裂かれた国であるし、それらをベースにしたロマン主義から実証主義が花開いたなどといった流れによる影響なのかもしれないし。

まぁとにかくハッピーで終わる事は、ピンとこないって感じるお国柄なのかもね。

 

 

それでは、その他のお家エンタメ。まずは本。

ジェイソン・シュライアー(著)『リセットを押せ ゲーム業界における破滅と再生の物語』

著者は前著『血と汗とピクセル』で、『Shovel Knight』といった少人数のインディーズ作品から、『Diablo3』『アンチャーテッド4』などのAAAタイトルまで、完成間近の状態でほぼ必ず行われるクランチと呼ばれる長期間残業が続く状態を丁寧に取材していたが、本書ではゲーム開発者の不安定な雇用がテーマとなっている。

大規模なレイオフ、スタジオの閉鎖や会社の倒産。そんな憂き目にあった彼らが作ったゲームは会社に利益をもたらし、Metacriticではある程度の高得点を叩き出し、ユーザーからの評価も高い作品を出したのに、何故スタジオは閉鎖されなければいけなかったのか。

 

例えば『バイオハザード4』をベースにSFホラー作品として高い評価を受け、現在リメイク版も制作されるほど人気を得た『Dead Space』。

制作したVisceral Games(前EA Redwood Shores)は、TPSなど3人称視点のゲームを得意としていたが、『Dead Space』シリーズ成功の後に親会社の都合により『Battlefield Hardline』を担当。ある程度の成功は納めるものの、次のプロジェクト『Ragtag(コードネーム)』はStar Warsを使った3人称視点のゲームだった。

親会社の方針転換により、TPS→FPS→TPS。シングル→マルチ→シングルと全てのコアとなる要素が交互に制作される事に疲弊したスタッフの離脱とそれを埋める為の急な採用。

 

挙句の果てにEA本社の方針が、シングルプレイからマルチプレイを重視した投資という流れによってVisceral Gamesは突如閉鎖され、従業員は解雇された。

スタジオの維持費が浮いたEAは直後にRespawn Entertainmentを買収し、制作中だった『タイタンフォール3』をキャンセル。現在も世界中にプレイヤーを抱える『Apex Legends』を生み出したのでEA的には妥当な判断と結果的にはなったのだが。

 

また『BioShock』で世界中のゲーマーから称賛を浴びたIrrational Games。

チームを率い、脚本やディレクションを担当したケン・レヴィンは一躍時の人となり。また後継作となる『BioShock Infinite』でも、高い評価を受けセールスも上々であったのに、その作品を最後にスタジオは閉鎖されてしまう。

 

過去在籍したスタッフが語るのは、"天才的な"ケン・レヴィンの一声によって開発が振り回された事。

ただ、これは彼一人の問題という簡単な話ではなく、映画や舞台などプリプロダクションの段階を含めて脚本などを何十回と改稿するのは辺り前だが、ゲームの場合はその段階ですら多額の予算が必要となってしまう。

そして方向性が変更になる度に、デザイナーやプログラマーが作ったものは全て破棄されていく。その状態が数ヶ月以上も続く事による現場の疲弊。

そしていざコンセプトが固まり、ゲーム開発が走り出すと始まる連日のクランチ。

ゲームは完成し高評価を得るが、会社に絶望した社員がポツポツと退職し始め、ケン・レヴィンも『BioShock』シリーズへの情熱を失い、また大規模開発にうんざりし独立。結果スタジオの閉鎖と。

 

このように本書で紹介されている会社で共通しているのが、制作当初の段階ではそれほど人員が必要ではないが、終盤になるに連れて社員を採用し長時間のクランチの結果リリースされるという流れ。

そのリリースされた作品がヒットするかどうか(損益分岐点ではなくパブリッシャーや親会社、もっと言えば株主が納得するような利益を生み出したかどうか)によって次作が作れるかもしれないし、そのままスタジオ閉鎖となるかもしれない。

そういった制作上のラグの部分にかかるコストのしわ寄せが、全て従業員の雇用の不安定さによって支えられているってことをこれだけ詳細に見せられるとちょっとキツイですね。

 

本書の最終章では、この不安定な雇用を続けているゲーム業界に対しての一つの解決策として、開発のアウトソーシングを専門で請け負う企業や、労働組合の結成の動き。

またCOVID-19によって世界中で試みられ加速したリモートを活用する事で、住む場所や国籍すらも越えた開発など。(おそらくゲーマーの中で一番有名なのは『オリとくらやみの森』を作ったムーン・スタジオですよね。彼らは完全リモートで世界中からスタッフを集め、拠点となるオフィスは持ってない)

 

それでも面白いゲームを作るという曖昧なプロジェクト、それは映像からサウンド、コントローラーを通して感じるプレイフィールまで多岐に渡る要素が複雑に絡み合った総合芸術となるクリエティブな仕事は、ちょっとした無駄話などチームのコミュニケーションも大事になってくるので、そんなに簡単な話でもない。

本書でもゲーム制作者の一人が「アウトソーシングのしやすさは、プレイヤー体験に近い仕事であればあるほど低下する」と答えてますし。

 

まぁどうしても若者が憧れる職業ってのは、いくらでも替えが利く状態になってしまい不安定な雇用やハラスメントの温床になってしまうので難しい所ですね。

それに四半期の決算の度、株主へ一番簡単にアピールできるのはレイオフだろうし。その人材の流動性のおかげで企業のパフォーマンスが上がっている部分ももちろんあるので…という。

 

これを読んだ後にAAAタイトルの長いスタッフロールを見ていると、これだけズラリと並んだ人物の中で現在も会社に残っているのは何人居るのだろうかと考えてしまう一冊です。

日々私達がプレイしているゲームがどれだけの労力によって生み出されているのか、またそれが面白いゲームであるということがどれだけ奇跡的な事なのかがよくわかる前著『血と汗とピクセル』とあわせてぜひ。

 

 

ジョエル・ディムズディール(著)『洗脳大全 パブロフからソーシャルメディアまで』

20世紀以前の教会が主に行っていた改宗と自供に促す拷問からパブロフの研究、軍事産業における心の改造、誘拐事件の被害者。そしてSNSの登場。

過去100年に渡り、人間は他者をどうやって洗脳しようとしてきたかというのを時系列を追って見ていく一冊。

 

洗脳を研究したパブロフと言えば条件反射の代名詞として有名だが、ターニングポイントとなったのは研究所の洪水。

近くの川が溢れたために水浸しになり、パブロフの犬が洪水によって死にかけたが、助け出した彼らの性格が以前とはまったく変わってしまっていた。そこからトラウマを与える事によって生物は隠された脆弱性を脳に残してしまう事が発見される。

強いショックを与える事で脳にウィークポイントを作り、そこを起点に新たな情報を植え付けて行く事が研究されていく。

 

また洗脳という分野では一歩遅れたアメリカは、朝鮮戦争でのアメリカ兵の中国への寝返り、長引く冷戦の中で東側諸国には特別な洗脳システムがあるのではないかという疑惑など、彼らに追いつけとばかりに生まれたMKウルトラ計画(『ストレンジャー・シングス』でイレブンが生み出された実験ですね)など洗脳の研究が行われていく。

 

そんなこんなで世界中で拷問から電気ショック、薬物まで様々な方法で人の心をコントロールする研究がされてきたが、1973年に起きたストックホルムでの銀行強盗、翌1974年のパトリシア・ハースト誘拐事件によってフェイズが変わるのが面白い。

ストックホルム症候群の語源にもなった事件で、監禁された被害者が犯人に愛着を持ってしまった事。パトリシア・ハーストの事件では誘拐被害者だった女性が誘拐犯と暮らす内に共謀して犯罪を犯す側になってしまう。

これらの事件では、それまでの研究よりも短い期間で、しかも過度な拷問をする事無く思想改造が可能である事が証明されてしまうという。

そこから人を洗脳するノウハウがある程度確立されていく様子の鮮やかさと怖さ。

 

その後本書では、人民寺院、ベヴンズゲイトと信者が望んで自殺までしてしまう程強い洗脳が行われた宗教の事例。最後に現在のソーシャルメディアを中心としたネットを介して伝染する洗脳の話で終わる。

 

結局人間の進化の中に、協力的コミュニーケーションを重視する設計がされているので、人は他人に影響を与えたいし理解または信頼して欲しい(スムーズな情報の共有と伝達)。受け手側はある程度情報の共有スピードを上げる為に、相手を信頼し模倣したいという本能がある。

それが社会や宗教が進むに連れて集団という物が重視され、コミュニティ(小集団から国家まで)にとって友好的な人間になるよう他者を改造する必要があった。

ただ現在でも確固たる洗脳の方法というのが確立されていない所を見ると、洗脳という行為そのものが見果てぬ夢のような気もしてきますね。それほど人は単純ではないと。

 

洗脳というテーマを時系列で追った事がなかったので、本書のように並べて眺めて見ると断片的だった情報が整理されてクリアになった気がしました。

あと一つ。原題は『DARK PERSUASION』(闇の説得術)なので、大全ってのは言い過ぎですよ。網羅的な本ではないので、そこを期待しないほうが良いと思います。

 

 

平山亜佐子(著)『戦前突端語辞典』

大正8年から昭和15年までに刊行された流行語辞典から、その当時の世相や風俗が伺い知れる突端語(流行語)が紹介されている一冊。

大学生を中心に教養主義的な文化が花開いた時代でもあり、古今東西の文学から哲学に外来語が混じって流行語が生まれているのが面白い。

 

パパッと紹介しますと。

言葉は同じでも意味がまったく違うものとして"アマちゃん"。

甘い、アマチュアの意味で使われていたが、ドラマのヒットで海女の意味まで内包している言葉ですね。

でも当時はドイツ語のAmazone(女丈夫、英語のAmazonですね)からの転化で、映画や文学・スポーツやおしゃれもせずテストの点ばかり気にして勉強ばかりしている堅物という意味だったらしい。

また女性に甘い男という意味でもアマちゃんと言われたそうで。

 

ゲーマー諸氏にはビビッと来る言葉"タイラント"。

バイオハザードでドスドス歩く足音でビビらされ、さらにはロケットランチャー持って追っかけて来るアレを想像するが、そもそも"tyrant"が暴君という英語であるように、人に対して使われていたらしい。

「ウチの妻(または夫)はタイラントだからなぁ」というように。家人の足音で機嫌がわかってビクッってなる時ありますよね(謎の問いかけ)。

 

この本で一番好きだった言葉は"さよなら五分"。

編み上げ靴を履くのに時間がかかる事を揶揄した言葉で、訪問宅から辞去する際「お邪魔しました」と告げた後に靴を履く来客とそれを待つ家主の間に流れる手持ち無沙汰な時間から来た言葉だそうで。

今でもありますよね、お互いが去り際のあいさつした後に訪れる謎の時間。送り出した車がなかなか発車しない感じ。

それを詩的に表現していてとても好きです。

 

寝る前にパパッと開いてサクッと読むのにおすすめな一冊でした。

 

 

それでは、ここから映像関連。

Netflix『二十五、二十一』

90年代の韓国を舞台に、フェンシングに人生をかけた女子高生の物語。

スポーツ、恋愛、家族など10代後半のイベントが全て詰まったドラマでエモさ爆発。

永遠のように今の関係がずっと続くかのように思える毎日が、それぞれの成長、立場の違い、人とのすれ違いによって少しずつヒビの入っていく悲しみ。

本作では何度も成長痛という言葉が出てくるが、様々な出来事が急に起きすぎて若いからこそ上手く対応出来ないまま決断を迫られ、でもそれが各々の成長に繋がっていくという成長の残酷さ。

青春ドラマのツボが全てが詰まったような作品で、何度も笑って何度も泣きました。

 

本作ではラスト2話に関して視聴者から賛否(ほぼ否)があって物議を醸したようですが、これは確かになぁという。

最後の最後でキャラクタの一貫性が崩れてしまっており、この人そんなキャラじゃないじゃん的な部分がセリフから小道具まで乱発されてしまった。これは本当にもったいない。

 

まぁそこはそれとして、大人が懐かしむ青春ドラマとしては秀作で、今後も深く心に残るような素晴らしい作品でした。

ただ序盤はスロースタート、6・7話辺りでガツンとギアが入る感じがあるので、なんとかそこまで頑張ってみてください。

 

つーか本作では主人公の女子高生と母親の関係が上手く言ってない部分が強調されているけれど、最近ホントに母と娘ってテーマが多いですね。

始まったばかりの所では『ミズ・マーベル』もそうで、Disney繋がりで『私ときどきレッサーパンダ』もまるっきり同じ。

そういや1個前かな?の『文藝』(宇佐見りんの『くるまの娘』が載った回)も母と娘をテーマにしてたし。

トレンドなのでしょうがないが、またそれか感が出てしまうのは如何ともし難い所。

 

 

Netflixスプリガン

Netflixジャパンは相変わらず古臭い作品ばかり作っているが、これもやりましたね。

今の蒸し暑さを忘れさせるテンプレートなギャグセンス、説明台詞ばかりで構成される物語と加齢臭が目に染みる。

しかし本作はそれこそが狙った部分であり、現代向けに下手にアレンジせず、原作漫画の雰囲気をそのままアニメ化する事に成功しており、その古臭さに文句を言うのは野暮であるという。

 

本作は世界中のオーパーツを巡る物語だが、90年代のOVAにもし現代のCGやモーションキャプチャなどの技術があったらというような、この作品こそがオーパーツとして見えてくるのが面白い。

 

こちらは1・2話目がイマイチというコケ方をしているので、できれば3話まで我慢してください。この3話が傑作なんですよ。

 

 

Netflixリンカーン弁護士

法定モノの面白さがサクッと味わえる新シリーズ。

弁護する被告はどこまで嘘をついているのか。その肝の部分を中心に、ひたすらテンポよく話が進む。

最近の予算が多い海外ドラマでよくある凝った画面やライティング、複雑に入れ込んだ小ネタなどを使わず、あくまでもちょっと古臭いテレビドラマ的な軽めのテイストで作られているのがちょうど良い。再生ボタンを押しやすいというか、気負わずにパパッと見れる娯楽作品的なシリーズ。

 

まぁでも10点満点中8点といった感じで、新作の立ち上げとしては若干弱さを感じるものの、シーズンの更新は決定しているようなので、今後も楽しみに追っかけて行きます。長く続くとうれしいな。

あとコレは安心してください。1話目から面白い。

 

いやーしかし今年のNetflixはマジでキレッキレですね。

新作も面白い作品多いし、『ストレンジャー・シングス4』なんて過去最高の出来だし(これを書いているのは6月30日なので、まだ後半を見てませんが)。

 

そしてついに7月から最終シーズンの後半がスタートする『ベター・コール・ソウル』。

これ現在配信されているシーズン6の最後まで見ている方なら納得すると思いますが、ドラマとしての面白さは『ブレイキング・バッド』を越えたかもしれんね。いや、本家あってのコレなのですが、私の中では逆転してしまった感がある。

シーズン6に関わっているスタッフ全員目がバッキバキなんじゃないかってぐらいキマってるシーンの連発。スゲーですよ。

 

 

最後に音楽。

aran - Reduxation

この曲だけループしまくっても良いぐらいに飽きの来ない一曲。ひたすら流しながらカオスとなっていた引き出しの掃除をしました。でもまだ聴き飽きないよ!

 

JAKAZiD - Take Me Higher

リリースは去年の夏ですが、今年も日中の暑い最中に運転する際に活躍していただいております。

 

Sub Forcus - Off The Ground

こちらも運転中に絶対かける曲。もう暑すぎてこのぐらいガッツリのサウンド入れとかないと仕事する気力湧かないっすよ。

 

kamome sano - not found [feat. ina (QQIQ)]

曲のリリース自体は相当前(つーか何年前よ)なのですが、ちょい前にPVが公開されていたので改めて聴いたり。

 

kamome sano - sweet syrup

Kamome sano繋がりでこちらも久々に。

インストではこれ一番好きなんだよなぁ。

 

ってな感じで今月はおしまい。また来月。