月刊 追い焚き作業

見て聴いて読んで遊んだ記録です

2023年に遊んだゲームを振り返る

毎年最後の更新は、今年遊んで印象的だったゲームを振り返ります。

2023年に私がプレイしたゲームなので、それ以前の発売の物も含まれます。

ハード表記は私がプレイした機種となります。

感想はプレイ当時のもので、アップデート等により現在のバージョンとは内容などが違うかもしれません。ネタバレ等もあります。あしからず。

 

 

・Series X『Hi-Fi Rush』

BGMに合わせて攻撃する、リズムゲー+3Dアクションゲーム。プレイヤーも敵も、攻撃も防御も全てがリズム。

ただリズムに合わせれば良いだけではなく、敵を打ち上げて自身も空中へ追いかけるコンボが強かったり(DMCフォロワーだとは思う)と、ザコ多数の立ち回りの面白さなどアクションゲームとしての奥深さもある。

しかもボス戦がそれぞれ個性的な攻撃やルールが提示されたりと、リズムにあわせて単調にボタンを押すだけのゲームにならないように細部まで作り込まれている。

いかんせん音楽のジャンルが私の好みとは違うので、フルには楽しめない感じはあったものの、ハイクオリティなゲームでした。

 

 

・Series X『Wo Long: Fallen Dynasty』

Team NINJAが制作した三国志死にゲー。

死にゲーというジャンルではあるが、あまり難しくないので、ほとんど死なないゲー。

敵の攻撃は全て"化勁"という、敵の攻撃が当たる寸前に入力することで発動する回避行動に一本化(パリィと分けていない)することによって、防御動作の簡略化がされている。

サクサク避けてサクサク攻撃しようぜというサクサクアクションゲームとして、とてもおもしろい。

 

ただステージ内の至る所に軍旗を立てる(ソウルシリーズで言う"かがり火"ですね)システムがイマイチ。マップ内に旗を立てることでステージ内での自身の強さがアップするという謎なシステムが入っており、それが上手く機能していなかった。なんせ装備やレベルなどの要素よりも、マップ内にある旗の置く場所をくまなく探す方が重要って変じゃね?

また『仁王』シリーズから持ってきた、武器のランダム要素(武器掘り・ハクスラルーターなどと呼ばれる)も、数値の幅が狭すぎて武器の個性や強い武器を手に入れた時の快感がなく、結局ちまちまと装備更新の手間が増えただけでした。

まぁそんなイマイチな点が気になるゲームではあるが、呂布戦など超面白いボス戦がいくつかあったので、良い印象として残っているゲーム。

 

 

・Series X『バイオハザード RE:4』

見事なリメイク。単純に現代のグラフィックで蘇らせるだけでなく、難易度からマップまで全体を再調整。

戦闘部分では、パリィを始めとした新アクションによって、場面場面でのプレイヤーが取れる行動の選択肢を多くすることで戦略性アップ。

武器のバランスも調整され、プレイスタイルや好みによって選択に幅が出るような形になったのも非常に良い。

 

オリジナル版とは違い、ザコの頭を撃っても確定で怯まない(体術がかけられない)などの全体的に難易度アップの方向により、爽快感が減っているのは若干もったいない。

無双ゲー要素よりも、近年のバイオシリーズの持つサバイバル・ホラー要素を強くした事に対してはユーザーによって賛否が分かれるかもね。難易度の方向性として、私はオリジナル版の方が好きかな。

 

そこはそれとして、素晴らしいリメイクでした。

DLCのエイダ編もちゃんと本編に沿った内容で、レオンの動きをエイダがどうサポートしたのかがオリジナル版よりも丁寧に描かれており楽しい。エイダ居なきゃレオンは死んでたね。

オリジナル版と同様、今後も定期的に再プレイしたくなると思います。

 

 

・Series X『A Plague Tale: Requiem』

不運な運命に翻弄される姉弟の旅路、最終章。

ゲームとしてはステルスが主なので人を選ぶタイトルではあるが、プレイヤーが取れる手段も豊富に用意されているので、ストレスが溜まるような作りではない。

 

ストーリーはひたすら重く暗い。

厄災の擬人化というような世界観、そして14世紀のヨーロッパの価値観として、世界の形が神から人間中心主義へという流れ。

そういった移り変わっていく世界の中で、神によって特異な能力を持って生まれてしまった人間の行き着く先。

神のもたらした力を人であるプレイヤーが終わらせる為に決断しなければならない最期は、プレイヤーの心に大きく傷を残す。

 

 

・Switch『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』

今回も凄い完成度。

なんでもくっつけられるウルトラハンド、様々な機能を持ったオブジェクトであるゾナウギアの組み合わせによる奥深さ。

フィールドも地上だけでなく、空に地下にと広すぎるマップ。

Switchというハードで動いているという事だけでなく、これほど自由度が高いのに安定して破綻のない動作など、プログラミング技術やデバッグの丁寧さがヤバイ。

ウルトラハンドなどなかった前作ですら、オープンワールドゲームの中でもオーパーツ的な存在であったが、それを越えてくるとは。

発見する喜びと工夫する楽しさ、それら全てはゲームという遊びに繋がっており、その一連の楽しさがゲーム内でのリンクの強さへと繋がっていく。

 

ストーリーも、ゼルダ姫関連のイベントがマジでエモかった。前作との繋がり、そしてゼルダ姫の想いが詰まったストーリーは、まさに"ゼルダの伝説"でしたね。

私の2023年のベスト作品です。

 

 

・Switch『スーパーマリオブラザーズ ワンダー』

マリオシリーズでは、久々の2Dアクション。

道中にあるワンダーフラワーを取ると、マップのしかけが一変したり、マリオの体すら変化したりとぶっ飛んだ作り。

ただ、同じ任天堂作品でも『マリオオデッセイ』のキャプチャーシステムや、最近のカービィなどもっとぶっ飛んだシステムを持った作品が登場しているのに比べると、はっちゃけ具合が若干おとなしめには感じた。

あと、ほぼ全てのステージが眠たくなるほど簡単なのに、スペシャルのラストだけは異常な難しさで笑ってしまった。ぬるま湯から熱湯かよ。

 

 

・Switch『パラノマサイト FILE23 本所七不思議』

呪いの力によって選ばれた9人。一定以上の数、人を呪い殺すことによって、死者を蘇らせることが出来る力を得ようとする彼らの群像劇。

 

『街』や『428』などと似たシステムで、登場人物を切り替え選択肢を選び、それぞれの人物の動きを調整してバッドエンドにならないように進んでいくアドベンチャーゲーム

呪いによって能力者となった彼らは、発火物を持っている人を焼き殺せる、自分に対して嘘を吐いた人を呪い殺せるなどそれぞれ違う能力を持ち、プレイヤーは選択肢によって呪いが発動して殺されないように、また逆に相手を呪い殺すことを選択させられる。

 

ゲームならではの演出が光る作品であり、他メディアではこの味は出せないかもしれんね。

また、各登場人物のキャラクタ設定というか、短いセリフやイベントの中からその人物の個性が巧みに表現されていて驚いた。今までゲームやアニメなどに居そうで居ないような変なタイプというか、変わったエゴを見せるキャラクタが多いのも本作の特徴かも。

どうしても開発規模などによる関係なのか、それぞれの異能者同士のやりとりがあっさりしてるので、物語の展開として、もう一山あったらとは思った。

 

しかし面白いタイトルである事は確か。このスタイルの続編だけでなく、霊感少女の黒鈴ミヲのスピンオフなんかあったらうれしい。彼女は良い。とても良い。

 

 

・Switch『スイカゲーム』

今年ゲーマー以外にも大きくバズったゲーム。

同じフルーツがぶつかると1段上のフルーツに進化する、上までフルーツが溢れたらゲームオーバーというびっくりするほど単純なゲームなのに、中毒性がエグい。

プレイヤーは上からフルーツを落とすことしかできないが、フルーツの上を勢いよく転がったり、それぞれのフルーツが隙間が無いようにジワジワ押し合っていたり、連鎖の際にちょっと跳ねてイレギュラーな動きを見せるなど、運要素がほどよく絡む面白さ。

上達するには、かなり理詰めで1手1手を考える必要があるが、それだけでなく初心者が直感を頼りにプレイしても、フルーツが上の方まで詰まってくると逆に連鎖の可能性が高まり、そこから一気に上位のフルーツが作れるなど、誰でも意外性と爽快感が体験出来る間口の広さが凄い。

 

難易度というか目標となるポイントも、最初はスイカ、その後3,000点、3,500点、ダブルスイカなど、それぞれの腕前での到達点がわかりやすい形として周知されたのも大きい。

初めてスイカが作れた時は声出たね。でも2個は無理。ダブルスイカ達成した人はスゲーよ。出来た人は名刺や履歴書に書こう。

 

画面が静かなのも良かった。

連鎖しても派手な演出は何もない。

積み上がってゲームオーバー寸前になったらWarning表示などありそうなのにそれも無し。もちろん制限時間も無し。

無味無臭のBGMをバックに、ぎゅーぎゅーに押されてひしめき合うフルーツに「もう少し…押せ…押せ…」とつぶやきながら、じっと見守る時間の豊かさよ。

そんな淡々と遊べる優しさが非常に良かった。

 

この手のパズルゲーで近年ハマったといえば、『2048』(申し訳ないが『Threes!』よりこっち)で、その亜種である『スバラシティ』も好きだったので、自分はこの手のくっつけて上位にするゲームが好きなのだと今になって理解出来た。

『2048』と『スバラシティ』は毎年帰省したら一緒にごはん食べてそうな感じだけど、それらと『スイカゲーム』はたまに冠婚葬祭で会う遠い親戚くらいの距離感のイメージ。

 

本作のSwitch版は2021年に配信されていたそうで。元々『合成大西瓜』がヒット作としてあったとはいえ、玉石混交かつ超絶使いづらいニンテンドーeショップの中から、よくこのゲームを今発掘してきたな。凄い。そしてありがとう。

 

 

・Series X『Diablo 4』

シリーズ初のオープンワールド化など見た目は変わったものの、中身はいつものDiablo

ビルドにあわせた装備更新の面白さとレジェンダリが落ちた時の快感が肝のゲーム。

ただ、レベル80辺りから装備更新の速度がどんどん落ちてきて急激に飽きる。

『Diablo3』のようなセットアイテムで一気に強くなるというようなバランスではなく、ちょこちょこ装備を集めてジワジワ強くなる感じ。

私はこのチマチマ感から来る強烈な眠気(つーか何回かマジで寝た)によってレベル100まで上げられませんでした。残念。

来年以降DLCの展開などによって大きく内容が変わってくる可能性もあるので、今後の進化に期待です。

 

 

・Series X『Starfield』

ベセスダの最新オープンワールドRPG

ベースは近年の『Fallout』や『TES』シリーズを踏襲した作り。一応、武器のランダム要素が入っており、同じ武器を延々と使い続けるような退屈な作りからは脱却している。

ベースとしての作りは過去作と同じスタイルであり古臭い。過度に演出が入らない辺りは、あえてやっているのだろうが、まぁ古いと言えば古い。いつもの味といえば、いつものトッド・ハワードの味。

 

主人公が所属している組織が追い求めるアーティファクトとは何なのか。それを集めた時、人類にどういった知識や変化をもたらしてくれるのか。

その物語の果てとして、ゲーム的な周回要素へと繋げるストーリーにしていたのは驚いた。これぞゲームならではのストーリー。

 

舞台の規模というか、いわゆる全体マップで見ると星間移動が何光年とかいう世界なので広く見えるが、宇宙全体から見れば太陽系、しかも地球の周りだけという辺境の世界。

なんだかんだあって人が住める環境ではなくなった地球を捨て、星々へと移住して300年(舞台は2330年)という現代から近い話。だからこそ、宇宙モノでありそうな異星人的なキャラクタなどは存在せず、あくまで人間たちの物語。

住む星を変えようが結局人間は人間なんだよね、というベースでお話が作られているのもよかった。

 

ただ、大きなマップがドン!という広さではなく、こじんまりとしたマップが超いっぱいという、総面積では広いんだろうけどね的な感じになってしまっているのは残念。便宜上どんな遠くへの移動も一度行った場所はファストトラベルで行けてしまうから、広さも感じにくいしね。

イベントでも使用しないような小さな星が大量にあるが、極端な地形も無いし、存在する生物や樹木のバリエーションも少なく、プロシージャルに作られた星であることが見え見えなので、探索のモチベは低め。

 

あと宇宙船の改造・ビルド周りとか、細かい仕様の説明がゲーム内でされていないので、若干不親切感はあったかも。

ただ、現代において複雑な要素が入っていても、細かいチュートリアルなどはもう不必要なんですよね。どうせ攻略サイトYouTubeSNSなどでTipsや動画を上げる人が居る訳で、それなりに数が出るとわかっているゲームは、ゲーム内でのチュートリアルを充実させる必要はないという。(その姿勢の是非は別としてね)

 

そこはそれとして、私の2023年のベスト『ゼルダの伝説 TotK』と並ぶ作品。めっちゃ面白かった。DLCやMODが揃い始めたら、また最初から再プレイしたい。

 

 

・PS5『ファイナルファンタジー16』

FFシリーズ、ナンバリング最新作。

オープンワールドでは無いが、広めのマップでシームレスに戦闘が始まるアクションRPGとして、ここまでクイックで操作していて気持ち良いRPGはなかなか無い。

エフェクトなども、この手のゲームとしては抑えめというか、おそらくゲームプレイに支障が無い程度にしてあるのか、派手な展開になっても状況が把握しやすい画で非常に良かった。

 

召喚獣同士のバトルという特撮的な表現により、ダイナミックな映像にケレン味を加えたやり過ぎ感のある映像も、まさに画でリードしてきたファイナルファンタジーの本気を感じて非常に良かった。

 

一方、ストーリーは全然ダメでしたね。

重厚な序盤から期待したものの、中盤以降あれよあれよという間に失速。迷走し続けた物語によってラストは驚くほど陳腐な展開に。

ゲーム内何度も国同士の思惑や主要人物、変化していく勢力図出して説明するほど丁寧な世界を描いていたのに、結局人間を越えた神様が全ての元凶でした!!ってオチになっててズッコケる。が、当初の企画段階から本当にそれを描きたかったのか疑問は残る。スケジュールなどやむにやまれぬ事情がなきゃ、こんな物語にはしないでしょ。

 

 

・Series X『アサシンクリード ミラージュ』

近年肥大化しすぎていたシリーズでしたが、今回はちょっと軽めな作品に。

レベル制を廃し、マップも小さめ、20時間弱で終わる一般的なボリュームになっていて、これはこれとして遊びやすかった。

 

今回舞台となったバグダードの世界を巡りながら歴史を学べるディスカバリーツアーモードがないのは残念でしたが、その代わりにTIPSが色々と充実していて、それを読むのも楽しい。

当時の建物がほとんど残っていないバグダードの街を、おそらくこんなだったのだろうなと想像を巡らしながら遊べる、観光ゲームとしてやっぱアサクリシリーズは面白い。

 

 

・PS5『Marvel's Spider-Man2』

映画でも活躍するピーター・パーカーとマイルズ・モラレスのダブル主人公となったスパイダーマン最新作。

ゲーム開始からすぐサンドマンとの戦いで、ダイナミックでハイスピード、息を呑むような演出でたまげた。

ゲームシステムなどは過去作の延長線上であるのでそれほど驚きはないものの、全てがハイクオリティで作られた作品。

 

ただ、本作のヴィランとなるヴェノムの存在が微妙。どうしても、ただの悪というキャラクタなので一本調子になっちゃうのですよ。

映画『ヴェノム』のように主人公として活躍させるなら、ヴェノムをピョン吉化してしまうというのはアリなんだけど、あくまでヴィランとしてプレイヤーと戦う敵キャラとしてはそうも行かず。ちょっと魅力に欠けましたね。

 

あと、主人公二人と共に敵の襲撃のど真ん中を銃一つで立ち回るピーターの彼女MJが強すぎて笑ってしまった。

たぶん彼女が最強キャラですよ。

 

 

・Series X『Forza Motorsport

Forzaシリーズらしい、タイヤの弾性を手元に感じるプレイフィールはより強化。

挙動のリアルさは残しつつ、アーケードライクな運転しやすさが両立。あくまでシミュレーションという入り口でありながら、プレイヤーを崖へは落とさないという、このシリーズの信念は今回も感じられる。

 

ただ、今作で追加された要素がどれもイマイチ。

特に各車をレベル制にして、走り込んでレベルを上げないとパーツの変更やカスタマイズどころか、ギヤ比もタイヤも変更出来ないのには閉口した。

 

キャリアモードに関しても、Forzaの4か5辺りで採用されていた、多数のコースとクラス(性能)によって様々な車でどこからでも1レースが楽しめるというようなカジュアルな作りが好きだったんだけどなぁ。

わざわざ1レースの度に予選・本戦と繰り返されるレースが5レースもあると、途中で他の車種に変えたくなってしまう。

そのゲームプレイの変化のために、レベル制にして、レースの度にカスタマイズしてねって作りなんだろうけど、私がやりたいのはそうじゃねーのよっていう。

レベル上げて金稼いでカスタマイズして速くしていくゲームがやりたいなら『Need for Speed』やってるよ。

 

 

・Series X『Dead Space (2023)』

『バイオ4』と違って、こちらはそのまんまのリメイク。

オリジナル版と同様に日本では発売されませんでしたが、今回は日本語対応になってて、本編のディテールだけでなく、落ちている文書(ジャーナル)をじっくりと読めたのは良かった。

続編もこのスタイルでリメイクして欲しいものの、シリーズ自体が2・3と下降線を辿るゲームなので、今後に期待し辛いってのはあるんだけどね。

まぁそれは『バイオ4』も一緒か。相当手を入れないと、そのままグラフィックだけ新しくしてもどうしようないゲームがもう一つ出来上がるだけだし。

 

 

PS4シアトリズム ファイナルバーライン』

FFシリーズやスクエニの楽曲で遊べる音ゲー

DLC含めると500曲以上という大ボリュームで、他ゲーの合間にちょこちょこ遊ぶようなペースでやっているので、まだまだ全曲遊べてません。

 

というのも、DLCに入っている『聖剣伝説2』、『サガフロ2』、『クロノトリガー』やら『ロマサガ』までもが入っており、ついついFFシリーズそっちのけで選曲してしまう。

まぁそんなFFシリーズも、今年出たピクセルリマスターや、来年もFF7リメイクの新作が出たりと機運が高まりまくっているので、年末からシリーズをガッツリと遊んでいます。

 

 

・Series X『龍が如く7外伝 名を消した男』

前作『龍が如く7』はRPGとなったが、こちらは久々のアクションゲー。

ただゲームシステム自体は古臭く、ただ蹴散らすだけの雑魚戦、ゲームテンポの遅延行為でしかない敵のスーパーアーマー、ボス戦はヒート技ぶっぱと、相変わらずではあるものの動かしていて楽しくない感じがあり、ちょっともう古臭すぎて厳しかったですね。ナンバリングがRPGに変更されたのも、さもありなんという。

 

ストーリーの方は、『龍が如く7』の間の桐生一馬の動きを描く作品としては、コンパクトかつキレイにまとまっている。

そして、あのラストシーンにはやられた。シリーズファンは、号泣した方も多いかと思います。

それと並んで印象的だったのが、ファーストサマーウイカ演じる赤目に話しかけると毎回言う「ジョーリュー」の言い方。なんかクセになるというか頭に残るんだよね(ジョーリュー(浄龍)は主人公のコードネーム)。

 

 

・Series X『Lise of P』

もはや1ジャンルとして確立されているソウルライクの中でも、最もソウル感の強いゲーム。

この手のインスパイア作品は、元になったゲームのどこをエッセンスとして出すか、逆にどこのフレーバーを消すかという部分が明確に伝わって来る作品ほど面白みがある。

 

本作はソウルシリーズの一つとしてあるガード偏重のプレイスタイル、いわゆる盾チクを嫌ったシステムとなっており、ソウル系で言うカット率の低い装備しかない。

ただ『Bloodborne』からのインスパイアとして、ガード中に削られた体力はバッファとして残されており、その部分は攻撃すれば取り返せるという、『Bloodborne』と『DARK SOULS』をマッシュアップした、積極的なプレイに大きくリターンもたせるバランスとなっており、そこが面白い。

また相手の攻撃を寸前でガードするジャストガードをすれば体力が削られないなど、パリィを重視したポイントは『SEKIRO』からのインスパイアでもあり、徹底的な宮崎英高リスペクト。

 

また、ソウルシリーズで良くあるメッチャ迷うマップに超イジワルな敵配置による即死トラップ的なものは、本作のスタッフは嫌ったらしい。

マップ表示こそないものの、非常にわかりやすい構造のステージ構成に、ひどすぎる即死トラップはほぼない。

 

そして、ソウルシリーズお馴染みの用途不明なアイテムやそのフラグによるイベントも整理。

NPCとの新しい会話が発生(イベントが進む)する場合は、ファストトラベル画面でちゃんとアイコンで表示と、ノーヒント過ぎてわかんねーよってプレイヤーから苦情を言われない作りになっている。

 

ゲームバランスも簡単になり過ぎず少し歯ごたえがあるという絶妙さ。死にゲーといえども、このくらい低い難易度の方が遊びやすい。

正直こんなこと書くと、ソウル信者にバックスタブ食らって煽りエモートされそうですが、本家ソウルシリーズより楽しめました。

この手のゲームは難しそうだと敬遠していた方でも楽しめるタイトルかと思います。

 

 

PS5『Stranger of Paradise: Final Fantasy Origin』

Team NINJA制作のアクションゲー。

今年出た『Wo Long: Fallen Dynasty』と同じく、こちらもベースは『仁王』。マップからミッションを選ぶステージ制。装備はランダム性能という、いつものアレ。

ただ、こちらは死にゲーという調整ではなく、あくまでも一般的なアクションゲームという難易度で、誰でも遊びやすい作り。デフォルトの難易度ではヌルすぎるくらいですね。

 

意外にもストーリーがかなり面白かった。

本作は、ファミコンで発売されたファイナルファンタジーの1作目の前日譚となる物語。

FF1でプレイヤーが操作する光の4戦士達が世界を平和にする前の物語となるので、もうこの時点で本作の主人公達の活躍によって恒久的な平和が訪れないのであろうという事はわかっている訳です。

それをどう物語として描くのかと期待していたら、まさかの展開。

 

そもそもFF1は、ファミコン当時のゲームだけあってシンプルな物語であったが、物語上で過去に戻ったり、ルフェイン人という高位の存在、カオス神殿という場所の意味など、捻った設定がちょこちょこ入っていた。本作ではそれらの要素を上手く使って、FF1の物語を再構築している。

元の構造が単純であったが故に増築もしやすいという話ではあるが、エンディングまでプレイして、これは上手く繋げたなーと感心してしまった。増築しすぎて母屋の形が変わってんじゃねーかという批判はありそうですけれども。

 

 

以上、主要なタイトルはこのくらいかな。

 

その他に、移植やリメイクタイトルでは、ファイナルファンタジー ピクセルリマスター』『怒首領蜂 大往生 輪廻転生』『アーケードアーカイブス テトリス グランドマスター2』などなど。

毎年言ってますが、一年に1タイトルぐらいはアーケードゲームを1コインクリア出来るまで練習したいですね。

 

インディーズゲームでは、

異種族達の日常会話が前作よりさらに深く楽しめる『コーヒートーク エピソード2』

お蔵入りになってバラバラになった映画のフィルムの中から真実を見つける『Immortality』

少女時代に過ごした祖母の家、すれ違う家族、覆いかぶされた記憶と向き合う『Dordogne』

色を失くしたモノクロの世界で自分の才能に目覚める『Chicory: 色とりどりの物語』。

カメラマンとなって写真を撮るだけなのに、独特の世界観とキャラクタ達がくせになる『TOEM』

相棒の動物がひたすら可愛いアクションアドベンチャー『Planet of Lana』

辺りが面白かったですね。

 

などなど他にも書ききれないほど色んなゲームをプレイしましたが、一旦こんな感じで2023年は終了。

今年も楽しいゲームがいっぱいありました。

それでは一年お疲れ様でした。良いお年を。

2023年12月の購入予定と11月の話 『龍が如く7外伝 名を消した男』『DEAD SPACE(2023)』『黒い海』『誘拐』『罪の轍』『BLUE EYE SAMURAI』『セイント・オブ・セカンドチャンス ベック家の流儀』『季節のない街』

ぼんやりしてたらもう年末でございます。

 

そんな12月のゲーム購入予定。

7日

PS4怒首領蜂大往生 輪廻転生』

怒首領蜂大往生』はゲーセンでの稼働当時からさんざんプレイして、PS2への移植、XBOX360のブラックレーベル(色々とゴタゴタがありましたね)、SwitchのG-MODE移植シリーズでの大往生DX(これが結構よく出来てる)とあれやこれや買って、今回で4回目。

ここまで来て言うのもなんですけど、そんなに大往生がメチャクチャ好きって事もないのよ。なんせ難しすぎる。最初の大往生(白)を一番真剣にプレイしましたが、結局2周目の4面が限界でしたから。そこで完全に心が折れて諦めました。

そんな大往生、今回の移植では新モードやら、初移植の『怒首領蜂III』やら相変わらずM2の変態的なこだわりの詰まった移植で買わざるをえないという。

 

今月はこの1本かな。

その他、7日『アバター: フロンティア・オブ・パンドラ』はちょい気になる。

『The Division』のMassive Entertainment制作とのことで、評判良ければちょっと触ってみてもいいかなという感じ。

そんな12月です。

 

 

それでは先月遊んだゲームの話。

XBOX龍が如く7外伝 名を消した男』

春日一番を新たに主人公にした『龍が如く7』。ここでもちょろっと過去の主人公桐生一馬が出ていましたが、春日が横浜でワチャワチャしていた間、桐生ちゃんは何をしていたのかを描く外伝。

一応『龍が如く6』で死んだという扱いになっていたので、名を消した男ってわけです。

 

ゲームシステムは従来のアクションゲームへと逆戻り。ただ、さすがにもうこのシステムも限界でしたね。

回避性能の低い主人公に、ペチペチ攻撃してきて主人公の動作を邪魔するザコ。

ボス戦などスーパーアーマー持ちには、間合い取りながらヒート技をぶっ放すだけの単調さ。

PS2で最初に出た『龍が如く』の頃からしばらくは、そういったプレイヤースキルを要求しない単調なプレイスタイルが様式美的な物としてゲーマーの中にも膾炙していたように思うが、現在ではやっぱちょっと古臭さが強すぎる。

キムタクのシリーズの方では、その辺りの調整をキムタクはすげー動きが出来るという謎設定によってある程度回避していたものの、桐生ちゃんではそこまで無茶出来ないと。

前作の『龍が如く7』、次の8もコマンドバトルのRPGとなったのは、若干残念な思いがあった。しかし、新作ですらこのプレイフィールである事を見せられると必然というか、相当手を入れて別物にしないと無理だったのだろうなと、今回改めて感じてしまった。

 

 

ストーリーの方では、これで東城会の桐生一馬としての物語は一旦終了ですかね。

龍が如く』シリーズ自体が紆余曲折というか、途中相当不安定なストーリーになっていたが、このラストを描けたなら、終わり良ければ全て良しでしょう。

私のようなライトなシリーズファンですら、ラストシーンはグッと来たからなぁ。コアなファンならマジで号泣しちゃうよ。

ただ、桐生ちゃんはここで退場した方がキレイだったように思うんですけどね。まぁあるとしてもカメオ出演くらいの方が…。この辺りは来年出る『龍が如く8』でどういったストーリーになるのか期待してます。

 

あと、この前の『アサシンクリード ミラージュ』をプレイした時にも感じたが、やっぱこのくらいのボリュームが遊びやすい。

サラッとクリアするまでに15~20時間、寄り道などで遊ぶと30時間ちょいくらい。このくらいがコンテンツが溢れる今の時代にはちょうど良い。

 

 

XBOXDEAD SPACE(2023)』

名作ホラーゲーム『DEAD SPACE』のリメイク版。

ゲームプレイの感覚はそのままに、グラフィックなどが一新されて没入感アップ。

オリジナル版をさんざんプレイしたので、目新しい部分はないけれど、元がメチャクチャよく出来ているゲームなので、今でも全然遊べますね。

 

今回改めて実感したのが敵の四肢を切断して殺すという戦闘の面白さ。

頭を撃てば殺れるというゲームでは出せないエイムの面白さで、狙って打つというプリミティブな快楽にどっぷりと浸れる。

そして、ゲーム内各所に倒れている人間の死体。これらはクリーチャーの寄生によって復活するおそれがあるので、死体を発見する度に四肢がバラバラになるまで踏みつけると安全に進めるという行為のヤバさ。

当時オリジナル版を遊んだ時から思ってたが、やっぱこのシステムを考えた人はマジでぶっ飛んでるわ。

 

 

今回若干困ったのが、少し前に『バイオハザードRE:4』をプレイしていたせいで、その操作が体に残ってて、それを切り替えるのが結構大変だった。

特にRE:4で追加されたパリィ。敵の攻撃の直前で弾くという接近戦での必須アクションは、もちろんRE:4の動作であって本作にパリィなんてないんですよ。

本作をプレイしてて、「あぁこの距離まで接近されたらパリィだな」なんてLボタンに手をかけていたら、そのままガッツリ攻撃を食らうって事を10回以上は繰り返してしまった。

DEAD SPACE』自体は『バイオ4』に強く影響を受けた作品なので、システムが似通っているというのもあるんだけど、自分の脳の切り替えの遅さにがっかりしちゃったな。老化だ老化。

 

 

ここからは、その他のお家エンタメ。まずは本。

伊澤理江(著)『黒い海 船は突然、深海へ消えた』

2008年に起きた漁船の海難事故の謎に迫るノンフィクション。

 

海の上で碇泊中の漁船に突然衝撃が走り、瞬く間に船が沈没。

20名の乗組員の中、17名もの犠牲者を出した事故。

わずかに生き残った生存者が見たのは、船の周りに大量の黒い油が浮いた海。そして、生存者だけでなく遺体までもが油まみれであった。

海を覆うほど黒い油が浮かぶその光景は、波や天候のなどの原因では考えられない。突然船底にあるタンクに大きな穴が開くなどクリティカルな損傷が無いとありえないほどの油の量だった。

 

著者が多数の関係者の証言から、この原因は潜水艦による衝突であるという仮説の元に調査を進めていくと、当時この事故がいかに歪んだ調査結果によって闇に葬られたのかが明らかになっていく。

生存者や救出にあたった船員が、流れ出した油で一面真っ黒い海になっていたという証言をしているのに、調査記録には一斗缶一つ分の油が流れたのみと記されていた。

生存者も専門家の言葉も届かず、波の衝撃による破損であるという結論から作られた調査記録。

 

しかし、それらの謎に挑むものの立ちはだかるのは情報公開の壁。運輸安全委員会の壁、他国への情報公開の壁。
事故原因が潜水艦であるとするのであれば、その潜水艦はアメリカ・中国・ロシア・日本などどこの国の物なのか、そもそも日本政府はどこまで把握しているのか。

日本においてのディスクロージャーは絶望的であるし、他国であっても、そもそも潜水艦は秘密こそが存在意義であるが故に難しい。

もちろん本書はこの事故の謎を明かす事が出来ていないが、相手が国家だけでなく企業の場合などこういった事件は数多くあり、痛みを感じない彼らと戦うことの難しさを改めて痛感する。

 

当事者の証言による事故の様子から、漁船を運営していた社長、また乗組員の家族。さまざまな専門家への聞き取りなど、細やかな取材から浮かびあがる生々しい事故とその後の様子が描かれた、ここ最近のノンフィクションでは出色の一冊でした。

 

この『黒い海』は、今年のノンフィクション賞をバンバン獲っているのですが、その中に本田靖春ノンフィクション賞というものがありまして。

本田靖春という名前はこの文学賞で毎年目にするものの、実際に氏が書いた本を読んだことねーなと思って、この機会に読んだのがこちら。

本田靖春(著)『誘拐』

東京オリンピックの前年である1963年に起きた『吉展ちゃん誘拐殺人事件』のノンフィクション。

東京の下町、台東区入谷で発生した当時4歳の子供が被害者となった身代金目的の誘拐。

容疑者と思われる人物の目撃証言や、言葉になまりのある脅迫電話など手がかりは多く、事件は早期解決に向かうと思われた。しかし、まだ誘拐捜査に不慣れであった警察の不手際により犯人は身代金の奪取に成功。身代金を取りに来た犯人の姿すら誰も見ていないという失態を犯してしまう。

 

その後ラジオやテレビを使った公開捜査が行われ、社会現象となるまで大きな関心を集めたが、結局解決の糸口は見つからなかった。

そんな事件発生から2年以上経ち、行き詰まった捜査を進展させ事件を解決に導いた一人の刑事。

警察組織という強固な縦社会の中で、過去の捜査をもう一度やり直すというのは難しい。しかし、その刑事は上司の命令を無視し、もう一度目撃証言など全ての人物の供述を徹底的に見直した結果、浮かび上がった一人の人物を逮捕する。

ただ、どれだけ周辺の状況証拠を集めても決定的な犯行の証拠がないため、自供させるしか糸口が無い。勾留期限が迫る中、この刑事が取り調べ中に交わした世間話。そこでのほんの一言から全てのアリバイが崩れ、罪を認めざるをえなくなるという、さながらミステリーのような展開に痺れた。

 

また、この事件の背景に見えるのは、高度経済成長のさなか、戦後から脱却しようと急速に発展する東京と、戦後を引きずったままの地方の人々。

犯人として逮捕された人物は、東北で生まれ、貧乏な家庭に育った青年であった。

親戚同士の血の濃い婚姻によって死産の多い家庭。靴を買うお金もなく、足の傷によって障害を負い、いつも片足を引きずって歩いていた。

東京に出ても就職と離職を繰り返し、借金がかさむ。そんな彼がほんの思いつきで起こした事件。

 

大通りから一つ角を曲がると残っている戦後の名残。狭い路地に滞留する人々の呼吸までも感じるような濃密な一冊であった。

 

そして、読後にこの誘拐殺人事件を調べていたら、これをテーマにした小説が出ているとのことで読んだのが、

奥田英朗(著)『罪の轍』

題材として、この誘拐事件を扱っているものの、細部はかなりアレンジされている。

小説としては、田舎の青年が東京に出て誘拐事件を起こすまで、そして事件発生からは警察側という主に二者の視点から描かれる物語。

 

本作では、当時の東京の風景をより詳細に、また色濃く描くことで物語の深みを与えている。

在日韓国人のコミュニティやそこへ関わる左翼人権活動家。戦後の雰囲気が残る警察とヤクザの癒着。

その風景の猥雑さと、さまざまな匂いの混ざった空気感によって醸し出されるのは、犯罪を間近に感じながら生活を営む人々。

人が罪を犯すかどうかというのは、本人の資質だけでなく、ただその機会があるかないかでしかないと思うが(ここを掘ると親鸞みたいな話になってくるな)、その近さがある故に魔が差す瞬間の多さ。

この事件を、高度経済成長期の日本の風景が生み出したひずみとして描いている。

 

読み物としては、ノンフィクションとしての迫力が『誘拐』の方にありすぎて、こちらの方が弱く感じてしまうが、それでも面白い小説でしたね。

かなりページ数が多くボリュームがある作品でも、奥田英朗はさすがにリーダビリティが高い。

 

 

ここからは映像関連。

Netflix『BLUE EYE SAMURAI/ブルーアイ・サムライ』

鎖国中の日本を舞台にしたアニメ。

鎖国前に日本に上陸していた白人によって手籠めにされた母を持つ少女は、青い目を持つ混血であるがゆえに村から爪弾きにされ、唯一の家族である母をも失う。

そんな彼女が刀鍛冶の男に弟子入りし、父への復讐の旅に出る物語。

 

まず目を引くのは映像の美しさとダイナミックな殺陣。

刀によって四肢が飛び散るバイオレンスさや、アクロバティックな殺陣は、鮮やかな動きでありながら、地に足のついたリアリティのあるアクションシーンとなっている。

また映像のこだわりは細部にまで至っており、パート毎の表情から、農民たちの仕草、草履を履く人間の足元の汚れ、エロ表現の生々しさ、など1カット毎の情報量がとてつもない。

 

ゲームの『Ghost of Tsushima』をプレイしたときのように、よくここまで日本の文化を勉強して作品に落とし込んだなという驚き。(もちろん細部の表現など首をかしげるポイントはあるにはある)

そして何より、日本文化へのリスペクトが感じられる作品。

欠点なのか、これからの楽しみなのか判断が難しいが、本作は完全なクリフハンガーで終わっており、せめてシーズン1としてもうちょっと気持ち良い終わり方をしてくれればという気はしました。

 

ただ、今年見たアニメではトップかもなぁ。今年はガッツリとハマるアニメが少なくて寂しかったのだけど、年末になって凄いのが来ましたね。

 

 

Netflix『セイント・オブ・セカンドチャンス ベック家の流儀』

こちらはドキュメンタリー。

メジャーリーグの有名なオーナーでもあるビル・ベックの息子マイク・ベックが主人公。

父のビル・ベックは、1970年代にはホワイトソックスのオーナーとして、当時不況により球団だけでなく街すらも傾きかけていたシカゴを蘇らせた伝説のオーナーとして今も名が残る伝説の人物。

そんな息子のマイクは、同じく球団で働き、宣伝や球場内のイベントなどを担当し、ホームランの後に花火をあげるなど現在も続くような演出の考案、その集客力と手腕からアイディアマンとしてそれなりの結果を残していた。

 

1970年代後半に広がったディスコブームに乗っかって、球場内でのダンスイベントを開催するなど奇抜なアイディアを当てまくったマイクは、今度は逆にディスコミュージックが嫌いな奴らを集めてイベントをしようと企画する。

しかし、いざそのイベントが開催されると、ディスコ嫌いな若者が球場だけでなく外にまで溢れ、試合終了後に機動隊が介入するほどの暴動となってしまう。

その企画をしたマイクはメジャーどころか、球界からも追放となった。

 

そんな男が、もう一度野球チームに携わるきっかけを与えられ、そこから大きな成功を掴んでいくストーリー。

 

マイクが大事にしていたのは、野球場という場所をただ野球を見に来る人達だけではなく、老若男女が誰でも楽しめる場として提供したいという信念。

それはただ奇抜なイベントだけでなく、女性のピッチャー、下半身が欠損している内野手、薬物事件で球界を追い出された有名選手、盲目の野球解説者など、能力があるにも関わらず様々な理由で他からノーを突きつけられた人々にセカンドチャンスを与えていく。そして、その姿勢は野球場に集まる人々の意識すらも変えていく。

 

そんなサクセスストーリーで終わるのかと思いきや、本作の終盤では、仕事一筋であったマイクが、その考えを改める出来事が起きる。

あえて詳細は書きませんが、もうそこから泣きまくりですよ。嗚咽。今年、映画やドラマを見てこんなに泣いた作品あったかな、というくらい泣いた。

夜寝る前や、この後に人と会う予定が無い時にぜひ。

 

 

Disney+『季節のない街』

黒澤明によって映画化もされた(『どですかでん』)、山本周五郎による原作を、宮藤官九郎が現代の話としてリブート。

原作は横浜の貧民街を舞台としてたが、本作では東日本大震災後、現在も仮設住宅に住む人々として描いた物語。

 

彼らの生活のなかに大きく横たわる貧困。現代では移動格差と呼ばれる、地域や仕事、家族に縛られ移動ができない人々によって作られたコミュニティ。

そこでの暮らしは辛い日々であり、そこで目を覆うような出来事も起きる。しかし、抜け出せない境遇にいるもの同士でしか生まれない暖かいコミュニティがあり、お互い距離を取りながらも助け合って生きている。そんな体温のある檻。

 

本作が見事だったのは、原作では報われなかった人々のその後を描くことで、彼らの先の生活の美しさを見せる物語にしている部分。

これは改変というようなものではなく、原作発表から50年以上経った現代だからこそ出来る、その後の描き方だろうと思う。

そして、その後を描くからこそ、この仮設住宅での暮らしがまるで夢のようであったという寂寥感へとつながっている。

 

この辺り、今年公開された傑作映画『aftersun/アフターサン』(今年見た映画トップ5に入る)を思い出したんだよね。

11歳の娘が、離れて暮らす父親と夏休みを二人で過ごすリゾート地での物語。

少し踏み込めば破綻してしまう関係であることはわかっているのに、お互いがまるで夢が醒めないように距離を取って過ごす痛々しさ。

あの映画も「ずっとここで過ごせればいいのに。でも一生は居られないよね」というようなニュアンスのセリフがあったが、その痛みに似ている。

 

いやぁしかし本作は、宮藤官九郎の暖かい眼差しが詰まった一作で、本当に素晴らしかった。

クドカン作品の中でも『あまちゃん』『俺の家の話』『タイガー&ドラゴン』と並んでお気に入り作品になりました。

 

 

その他の番組をさらっと。

TBS『水曜日のダウンタウン 犯人を見つけるまでミステリードラマの世界から抜け出せないドッキリ、めちゃしんどい説』

2週に渡って放送された、ダイアンの津田が名探偵となって事件を解決するまで帰れないシリーズ第2弾。

前編のミステリーとしての出来の良さから生まれる盛り上がりから、解決編での「なんじゃそりゃ」感。

ツレと録画した2話を連続で見たのだが、この結末にはお互い賛否両論。しかしまぁ結局あーだこーだ言いながら見るエンタメとしてはメチャクチャ良く出来ていたのではということになり、結果的に「満足度高かったな」という結論に至ったのが、なんだか面白かった。第3弾期待してます。

 

 

フジテレビ『世にも奇妙な物語'23 秋の特別編』

柴田勝家(著)『走馬灯のセトリは考えておいて』が映像化。

若い頃にVtuberとして活躍した女性が、人生のエンディングまでの目標として、彼女の中に残された記憶の中から人格を再構成して自立型AIを作りVtuberとして復活させ、ラストライブをするという物語。

原作よりも家族にフォーカスをあてたアレンジとなっているが、映像化としてはなかなかよい出来だった。

 

あと1本、宮内悠介(著)『超動く家にて』に収録された『トランジスタ技術の圧縮』も素晴らしい。

実際にある分厚い月刊誌『トランジスタ技術』の広告部分を切り取って圧縮する技術を競う大会という、バカ枠の作品。

ずーっと君たち何やってんの?って映像見せられるのって楽しいですよね。

 

今回の特番では、その他『永遠のふたり』と『地獄で冤罪』という作品も放送されましたが、こちらは特に感想は無しと。

 

 

最後に音楽。

Metrik - Abyss

Metrikのニューシングル。

これこれ。これぞMetrikというサウンド

シンプルなサウンドとヘヴィーなベースから生み出されるこの攻撃力。最高。

 

 

Salaryman - Higher & Higher

和製英語いじりのアーティスト名が気になるSalarymanの新譜。

レイヴ!オールドスクール!ってな懐かしさ満点で良い。

これを聴いてから久々にレイヴサウンドが恋しくなって色々聴いてたら、SpotifyのFav欄が古めのハードコアテクノばっかりになってしまい、微妙に後悔しています。自分でやった事ですけど。

そんな中から一曲。

Praga Khan - Injected With A Poison (Hixxy's Htid Mix)

原曲も良いけど、このリミックスがマスターピースよね。

 

 

あと最後に先月アマプラで見た映画『河童の女』。

この映画自体になんの感想も無いんですけど、このタイトルから『UNDERWATER LOVE おんなの河童』って映画を思い出したんですよね。

今から20年くらい前かな、いまおかしんじ監督のピンクミュージカル映画で、これが結構好きな作品で。

しかもこの作品は何故かスタッフが豪華で、撮影がクリストファー・ドイル。音楽はステレオ・トータルという謎のゴージャスさ。

 

久々に検索してたら、その映画で使われていた音楽がサブスクで配信されていたので、うれしくて聞き入ってしまった。

Fish Factory

おばさんが~動き出す~

 

もう一曲。

The Dance of all Characters

こちらは登場人物が全員で踊るエンディング曲。

逆夢ってワード久々に聞いたよ。

今現在『UNDERWATER LOVE おんなの河童』は、Amazonの有料レンタルかU-NEXTで見られるようなので、お暇なら。

 

こんな感じで今月はおしまい。

次回は、毎年年末に書いている、「今年プレイしたゲームを振り返る」を12月末にお送りします。では、また年末に。