月刊 追い焚き作業

見て聴いて読んで遊んだ記録です

2022年9月の話と10月の購入予定

10月ってなると急に年末感が出てきますね。

 

そんな今月の購入予定です。

10月27日

メガドライブミニ2』

メガドライブ版としての完全新作や初移植、『パーティークイズMEGA Q』はクイズを全問一新と相変わらずエムツーの狂ったこだわりが見える作りで良いですね。

あと『真・女神転生』のメガCD版。これはオリジナルのSFC版はもちろん、PCエンジンCD-ROM2版・PS版・GBA版と移植版をそれぞれ揃えたものの、メガCD版だけはプレイした事なかったんですよね。

今回の収録、本当にありがたい。チマチマと遊ぼう。

 

10月28日

Switch『ベヨネッタ3』

このシリーズはアクションゲームとしての面白さと、見た目の派手さというか画から来る爽快感がガッチリと噛み合ってて好き。

今回もおそらく大きく外してくる事はないと思うので、期待しております。

 

以上の2つに加えて、GAME PASSでは『A Plague Tale: Requiem』が出るので触っておきたいかな。

同じくGAME PASSの『ペルソナ5 ロイヤル』。無印は発売当時にクリアまで遊んで、その後ロイヤルが発売された時はちょっと無印との間が詰まり過ぎていた(ボリューム多いしね)のでスルーしてました。で、今はちょうどいい感じのタイミングでのリリース。これは年末年始辺りに手をつけるかな。

 

XBOX GAME PASSに加入してしばらく経って思うのは、気になっているタイトルが配信開始されたらすぐに遊んでおかないと気付いたらGAME PASSから抜けちゃうってことですね。

サードパーティの配信タイトルは大体1年で抜けるんだけど、この1年ってのが長そうで短い。

月2回MSが配信終了予定を出してるが、その度に「この前GAME PASSに入ったばっかじゃん」って思うんだよね。で、調べると1年経ってるの。マジで中年の感じる1年間の早さを侮ってはいけない。しかも、まだこれから加速しますからね。ジャネーの法則ですよ。いやぁ老いは面白い。

 

まぁ今月はこんなもんです。

 

 

それでは先月プレイしたゲームの話。

Switch『スプラトゥーン3』

面白い!面白い…が2とほとんど一緒じゃね?っていう。

現状では新しいルールが一切ないし、武器や装備などシステムへの抜本的な改革もないので、ほぼ2と一緒という。

 

今回のヒーローモード(シングルキャンペーン)も、ジャイロ操作や多種な武器に慣れるためのチュートリアルとして非常に良くできている。

ただ後半が前作のオクト・エキスパンション的な難易度調整で、かなり厳しめな作りにしてあるのは任天堂らしいというか。

任天堂って昔っからそういう所ありますよね。入り口はフレンドリーなのに、ちょっと奥まで入るとガチなアクションゲームとしてかなり高い技量を要求するような、作り手の明確な殺意をサラッと入れてくる感じ。

 

バンカラ(ガチマッチ)の方は、とりあえずZAP持ってA帯まで行ったので満足です。

ただ、ランクの仕様も今作のように時間をかければ上がるシステムより、前作のダメなら下がるほうがが実力とリンクしてて好きだったんだけどなぁ。まぁユーザーのストレスを軽減するという方向で3は作られているので、このシステムになったんだろうけど。

ちゃんとランクが下がってくれた方が身の丈にあった試合ができるので遊びやすいように思うが。

 

しかし、このゲームメチャクチャ売れてて凄いですよね。

ほぼマルチ専用で、基本的にはシューターのジャンル。4vs4という一人の役割が重く、武器は射程や立ち回りなど覚える事が複雑。豊富なキャラコンによって場面場面でのプレイヤーの選択肢が多い。

要はプレイヤーにかなり負担のかかる作りであるにも関わらず、ここまで売れるかという。まぁ見た目の印象が複雑そうには見えないし、実際ゲーム内の仕組みとしてライト層へのメンタルケアが上手いというのが大きいだろうが、それでもここまで売れるかねという。

まぁ最近はガッツリと複雑なゲームでも、YouTubeSNSなどで情報が拡散してプレイヤー内で同期されるので、ゲームが複雑であることのデメリットが少ないってのはあるんだろうけど。

いやぁそれでも凄いね。

 

 

Series X『TinyKin』

小さくなった主人公を操作して一軒家を探索。

TinyKinと呼ばれる小さな仲間を集めて冒険するゲーム。

 

完全にピクミンのオマージュで作られており、あのゲームシステムをベースとしてさらに難易度を下げた作り。

ひたすら仲間を揃えて、物を運んだり、橋を作ったりと簡単なパズルをひたすらこなしていく。

 

マップ表示がなく、主人公が小さい為に巨大なオブジェクトが多く上下に大きく広いマップで視認性が悪いものの、探索する場所は家のキッチンやバスルーム、子供部屋など間取りに馴染みがあるうえに、目印として各部の名称(蛇口やシャンプー、フィギュアやコンロなど)がパッと頭に浮かびやすいものばかりなので、迷いにくい作りなのが面白い。

 

ゲームオーバー無しでやられたら即復活。難しい箇所はまったく無いゲームなので、お子様はもちろん、高難易度やボリュームが重いゲームをやる体力のない中年ゲーマーにもおすすめ。

非常によく出来たゲーム。

 

 

それではその他のお家エンタメ。まずは本。

カール・ホフマン(著)『人喰い ロックフェラー失踪事件』

Netflixミルウォーキーの食人鬼ことジェフリー・ダーマーの話がドラマやドキュメンタリーとして配信されると聞いて、そういえば未読の本だけを詰めた本棚に人を食った話(文字通り)の本を買って置いてたなと思ってなんとか探し当てて読んだ一冊。

 

ロックフェラーといえば説明不要の大富豪一家でありますが、本書の主役はスタンダード・オイルの創業者で石油王ジョン・ロックフェラーの孫であるマイケル・ロックフェラー。

ロックフェラー一族はモダンアートからニューヨーク近代美術館(MoMA)設立など様々なアートの収集に関わっていた。そんな一族の御曹司であるマイケルが集めたのは、世界各地の森や山などに住む部族が作った食器や槍・盾や装飾品などのアイテム。

それらの道具が博物館などで展示される際は彼らの生活様式など注釈が添えられ、ただの道具として紹介される。マイケルは、それらの道具をただを生活を支える道具としてではなく、道具に施された彫刻や意匠などを単体のアート作品として見る事で、新たな価値を見出す(プリミティブアート)活動をしていた。

 

当時23歳だったマイケルが、アート作品の収集活動の中で訪れたニューギニア

そこに住む複数の部族と交流し、作られた道具を買い漁っていくマイケル。

だがある日、天候があまりよくないにも関わらずボートに乗って出発したが転覆。なんとか泳いで岸までたどり着くがそこに居合わせた現地民に殺され、解体され、焼かれ、食べられる。

 

著者は実際にマイケルが殺された現地に赴き、そこで暮らした痕跡を集めながら、彼はこの地で何をしていたのかを探る。

そして今も残る風習。それは彼らが表向きに語る風習だけでなく、当時を知る原住民が決して語ろうしない裏の文化を探し出す。

 

と、ここまで書いておいてなんだが、実際にはマイケルは公式には今も行方不明とされていて、本当に殺されたのか食べられたのかはわからない。

しかし著者が集めた情報からはっきりと浮かび上がってくるのは、彼が殺されなければならなかった理由。

彼があまりにもお金持ちだった事。あまりにも有名な家系であるが故に隠されなければならない死因。そしてその地域に文明をもたらそうとしてマイケルが訪れる数年前からこの地に来た宣教師達が起こした事件。複数の要因が重なった結果として、彼が殺害された事実が浮かび上がってくる。

 

あまりにも我々の持つ価値観とは違う世界で暮らす人々の文化に触れる興味深さと、ミステリ的な面白さの詰まった凄い一冊。

 

 

これを読んだあとに、なんとなく食人関連の話を網羅的にサラッと読みたいなと思って買ったのが

マルタン モネスティエ(著)『図説食人全書』

世界各国で行われてきた食人行為。いや、過去形ではなくおそらく現在もどこかで行われている食人。

言葉にするとただ人を食べるという行為なのだが、そこに込められる思いは様々。

単純に飢えからの開放であったり、恨みをはらす意味での解体と捕食。逆に尊敬している人を体内に取り入れる事でその力を得ようとしたり。

食べて薬にしたり、ただの興味、性的欲求など多岐に渡るケースが紹介されている。

 

この本が面白いというか、トンチキな本として味わいが出るのが最終章。

世界全体でみれば現在でも人口は増え続けており、食料問題は喫緊の課題とされている。

そこで著者はその解決法の一つとして死んだ人を食べるべきだという主張を長々としている。

死んでもなお神聖視される肉体をどこまでただの肉と見えるまで人々の意識を解体できるのか。宗教的価値観、人間の肉というビジュアルからくる嫌悪など、それらの障壁を崩し、人肉を市場原理に乗っけていく事によって食料問題はある程度改善するという。

 

まぁ全体通して与太話的な本であるので読む価値は薄いが、ササッと読むだけで、意外と人間って人間を食ってんのなって思える素敵な一冊です。

 

 

ちなみに人を食う話(まだその話するのかって感じだが)の小説では

村田沙耶香(著)『生命式』

が一番好き。

同名の短編集の表題作で、亡くなった人のお葬式の代わりに生命式を行うことになった世界の話。

新たな様式となった生命式では、亡くなった人を解体して料理をし集まった人々に振る舞う。そこでは若い男女も参加してお互いよさそうな相手を見つけたら、すぐにまぐわって子供を作りましょうというのが生命式。

死者から取り込んだエネルギーをセックスによって発散し、人口減少を解消しようという政策によって推進された生命式。

 

主人公の女性は、子供の頃は人を食べるなんて頭のおかしい行為だったのに、時代によって急激に変化していった価値観に上手く折り合いがつけられない。

その彼女が身近な人の生命式に参加し、帰り道に出会った人によって彼女なりの落とし所を見つけるラストシーンが大好きです。

 

基本的に村田沙耶香は狂っているが、その中でもこの短編集の狂い方が好き。

 

 

物騒な本が続いたので、ちょっと柔らかい一冊を。

若松宗雄(著)『松田聖子の誕生』

著者は元CBSソニーのプロデューサーであり、デビューから松田聖子をプロデュースした人物。

ある日、大量に送られてくるカセットテープの中から見つけた奇跡の歌声。

その声の持ち主が福岡に住む女子高生。後の松田聖子となる女性だった。

 

その出会いから、難航したデビューまでの道のり。

デビューまでに一番の壁だったのが、彼女の父。

芸能界には絶対に入れさせないという頑なな父の心を動かしたのは、この奇跡の歌声の持ち主は絶対に歌手になるべきだ、という著者のまっすぐな想い。

 

デビュー後からも音楽の方向性の決定から、参加したアーティストとの話。そして何より松田聖子本人の魅力がどれだけ凄いかが延々と書かれている。

巻末には、著者がプロデュースしたアルバムそれぞれ今だから語るライナーノーツ的な解説があり、これも音楽を聴きながら読みました。(ほとんどの曲はサブスクに入っててありがたい)

 

そもそも私は松田聖子にそれほど興味がないというか(世代でもないしね)、有名な曲以外はほとんど知らないのに、なんとなく昭和レジェンドおっさんの話を読みたいブームが来ていたからパパッと買っただけなのだが、改めてやっぱ松田聖子ってスゲーのなって感じられる一冊でした。

 

 

ここからは映像関連。

Netflixサイバーパンク: エッジランナーズ

ゲームの『サイバーパンク2077』が好きだったので、期待と不安が半々だった。

それが1話見ただけで不安が払拭。そのままのテンションで最終話まで駆け抜けており、想像以上に高いクオリティに驚いた。

 

ゲーム版と同じ街"ナイト・シティ"を舞台に、天涯孤独の少年がイリーガルな商売で成り上がる物語。

ベースとなる設定や街並み、UIまでもゲーム版を忠実に再現しながらも、ゲームでは登場しないような突飛なキャラクタを見事融合させたのはお見事。

ゲームではあまり掘り下げられなかった設定の一つサイバーサイコシス。大量のインプラントや身体のサイバーウェア(義体化)によって引き起こされる精神病を物語の核に持ってきたのも上手い。

 

ゲーム版でのテーマの一つでもある、ナイトシティに名を残し伝説となること。

ナイトシティの人々は、伝説となった人物を実際に目にした事を誇らしく語り、飲み屋では尾ひれのついた与太話として消費され、また掃き溜めに生きる若者は伝説の存在になる事を生きる希望の一筋として感じている。

本作では、そんな人々によって様々な形で消費されるであろう伝説の一つが目撃できる。

 

監督の今石洋之作品らしく、ここぞという場面で大胆な構図やパースがバチッと決まった画も魅力的。

一般的には今石監督の代表作は『天元突破グレンラガン』だろうが、本作も間違いなくそれに並ぶほどの素晴らしい作品に仕上がってます。

最高に楽しい作品でした。ありがとう。ありがとう。

 

 

Netflix『アテナ』

ある少年が警察官にリンチされ殺害された事件をきっかけに市民たちが立ち上がり、低所得者向け高層団地を占拠。

被害少年の兄3人をリーダーとした市民らは少年を殺した警察官の公表を要求しながら、弾圧しようとする警察や機動隊と戦う。

 

映画始まってからタイトルが出るまでの長回しが圧巻。もうメチャクチャ格好いい。よくこれ撮ったな。

ストーリー的には中盤に発生する一件で、これまで見てきた景色がガラッと一変するというか、オセロのコマが反転するような構成になっているのが面白い。

 

市民運動と暴力という関連から、勝手に『タクシー運転手』(ソン・ガンホ主演)的なヒューマンドラマかと思って見始めたら、全然違う話で脳が軽くバグってしまった。

本作で初めて知ったロマン・ガブラス監督。覚えておこう。

 

 

Apple TV+『一流シェフのファミリーレストラン

主人公は天才シェフと言われるくらいの腕をもち、ニューヨークの一流レストランで働いた経験もある男。だが、度重なるパワハラなどストレスが重なり廃業。

そんな中、同じく料理人であった彼の兄が自分で頭をぶち抜いて死んでしまう。

兄が残したサンドイッチをメインに出す低価格が売りの小さなレストラン。経営を引き継ぐことになった主人公が残った従業員と対立しながらもレストランを立て直せるか、というドラマ。

 

1話から従業員と主人公の罵声がひたすら続く、まさに戦場となったキッチンの映像から始まる。

以前から引き継ぎで働く従業員と、システムを変えて効率的にしようとする主人公。

発生する衝突は作れる料理のクオリティの高さによる尊敬よって和解出来たりするし、不運が重なった末に放った言葉一つによって大きく溝が開く。

対立の激化と和解。キッチンというカオスの中でハイペースで行われる破壊と再生の物語。

 

本作が巧みなのが、主人公の兄が非常に重要な人物でありながらも、回想シーンもなくその姿すらも終盤まで隠されている事。

それが物語が進むにつれて、従業員との会話の中や兄の残した物、それらバラバラの情報が繋がっていき、最終話にて最後のピースがはまる展開が見事。

そして主人公や周りの人々にとっての兄がどれだけ大きい存在であったのか。どれだけ兄が多くの人に愛されていたのか、自死遺族が抱える喪失感を視聴者にも体験させる構成は完璧。

 

ただ一点だけもったいないのが邦題。

原題の『The Bear』は主人公の愛称から来ており、本作の中でもかなり重要なワードとなっているのだが、それをまるまるすっ飛ばしておいてこの邦題はないですよ。

そもそも彼の働く場所は、家族が揃ってゆったりと食事を楽しめるようなレストランではないというところも物語のキーになっているので、まったく話が違ってきてしまっている。

英語の定冠詞+名詞・動詞など単語一つといったタイトルは、日本語がそもそも冠詞を必要としてない言語であるから表現としてそのままのニュアンスを持ってくるのは難しいのはわかるけど、こんないい加減な邦題つけてちゃダメですよ。担当者は反省してください。

まぁディズニーは日本語版のロゴとか、作品内の日本語クソダサフォントとか、作品の雰囲気をぶっ壊す余計な翻訳をしがちなのでこれが通常営業といえばそうなのだろうが…。でも金あるでしょ、君たち。使いなよ、もっとまともな所にさ。

 

 

最後に音楽。

lapix - 宇宙遊泳 feat. 中村さんそ

スペーシーで浮遊感のあるイントロからヴォーカル。これでドロップではどう持ってくるのかと思ったら、ある種の不安を想起されるトリッキーなトラックになっているのが面白い。

 

Author Wind - Aquamarine

VIOLET MUSICのコンピ『Summer Compilation Vol.2』からの一曲。

Summerと入っているのに秋になってからのリリース、しかもなんでこの絵なん?と謎の多いコンピですが、その中で一番聴いたのがコレ。運転中によくかけました。

KawaiiとFutureな音を得意とするAuthor Windらしい雑味の無い甘めのメロディとバウンス感のあるビートのフレーバー。ラストに入るピアノの清涼感が残暑の暑さに心地よい。

 

Cube Natural - ready2flow

聴いて10秒で、あっこれ好き!!ってなった一曲。

懐かしさを感じるブレイクビーツだけど、展開のキラキラ感は今風ですね。

 

Winslow - Slapbox Funk (ft.PRSPKTV)

最近私にザクザク刺さる曲を出しまくってるWinslowがまたやってくれた。

ジャンルとしてはドラムンベースで間違いないのだが、ビートとグルーヴはgarageそのもの。

通常のdnbと同じくハーフでリズムを取るつもりで聴いていると、無意識にアッパーで跳ねるグルーヴを感じられる粋なトラック。

 

ってな感じで今月はおしまい。また来月。

2022年8月の話と9月の購入予定

真夏の暑さが和らいで、夜は若干過ごしやすくなってきました。

まぁ雨ばっかりで、なかなかサラッとした気候ではないのですけれども。

 

そんな今月の購入予定。

9月9日

Switch『スプラトゥーン3』

説明不要のイカのゲーム。

発売までにジャイロ操作の感覚を取り戻しておかないと。

 

今月はこの1本だけ。しばらくはイカを毎日プレイしていると思います。

いつか遊ぶリスト行きとして『ドラゴンクエストX オフライン』『ヴァルキリーエリュシオン』の2本は今後プレイする予定。

それと、11月に発売される『ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク』までにどこかのタイミングで前作をもう一回プレイしたいなと。

という感じで。

 

 

それでは先月プレイしたゲームの話。

Series X『PowerWash Simulator』

高圧洗浄機でひたすらキレイにするゲーム。

 

これが

 

こうなる。

ただそれだけのゲームなのだが、なんとなく遊び続けてしまう魅力がある。
なんとなく遊び続けて、なんとなく飽きて、なんとなくまたやりたくなるゲーム。

隣のモニタで動画流したり、ラジオや音楽を聴きながら遊べる、味は無いけどやさしい白湯みたいなゲーム。白湯ゲー。

 

 

Series X『ソウルハッカーズ2』

レベル46まで。おそらく中盤辺り。

 

まぁ相変わらずアトラスのゲームらしく弱点を突くゲーム。

ただ今回は『真・女神転生(3以降)』のプレスターンと『ペルソナ(3以降)』の中間といった戦闘システムで、弱点を突くことによってターン終了後に自動的に全体攻撃が入るという仕組み。

敵にこちらの弱点を突かれても大きなペナルティは無く、延々と敵のターンとかそういった理不尽に死ぬパターンが無いので、他のアトラス作品よりも難易度はかなり低めか。

戦闘システムが悪魔を連れ歩くシステムではなく、ペルソナの主人公のように人間4人パーティそれぞれに悪魔を担当させる形になっているので、画的に若干寂しい。

 

代わり映えのしないダンジョンをひたすら進む作りや、展開が雑なイベントシーンなど、触った瞬間に「生地薄っ!」って声に出るくらい全体的に低予算な感じは否めず、なんならPSPで出てたゲームのリマスターと言われたら、そうなんだと納得してしまうぐらいアレではある。

 

ただ、シリーズおなじみの悪魔合体やターンベースRPGとしての面白さは大きく外しておらず、ゲームとしてのコアの部分はそこそこ良くできている。

最近のアトラスのゲームとしては『真・女神転生5』が私にはダメでして。あの意味の無い広さと無駄に高低差のあるバカげたマップと、中身がありそうで実はまるでないストーリーと本当にどうしようもない作品でした

本作は、ちょうどよい具合に中身の無いストーリーに平面ばかりのダンジョンと、無駄な負荷が無い作りなので遊びやすくて楽しんでおります。

つーか、これも白湯ゲーの感じあるんだけどねー。味あんましない。

 

 

ここからは、その他のお家エンタメ。まずは本。

田豊隆(著)『妻はサバイバー』

今年の本屋大賞ノンフィクション部門にノミネートされている一冊。

 

新聞記者として働く著者と専業主婦の妻。

記者として取材で飛び回る夫と料理が得意な妻の平穏で幸せな生活は結婚4年目から破綻し始める。

幼少期の虐待から前夫との離婚、知人男性からの性被害など過去の辛い体験の記憶から逃れる為に食べて吐くという行為を夫に見られないよう繰り返していた妻。

だが徐々に過食嘔吐などの症状が酷くなり、夫の前でもその行為を隠さなくなる。自傷行為咎める夫に罵声を浴びせては自殺未遂を図り、ひたすら食べて吐く食費のために家の貯金は底をつく。

何度も入退院を繰り返し、なんとか治療によって過食嘔吐が収まったと思えば、今度はアルコール依存へと症状が変化。連日記憶が無くなるまでお酒を飲み続ける。

体も心もボロボロ、そんな綱渡りの状態の妻が46歳で発症したのは認知症だった。

 

壮絶としか言いようのない闘病生活。著者が新聞記者なので、その当時に担当した事件や事故と平行する形で夫婦の闘いの日々を描く事によって、時間経過によるリアリティを生み出している。

 

しかし、そんな壮絶な日々の記録は、本書の終盤では穏やかな日々として着地する。

そのきっかけこそが認知症

様々な治療を持ってしても心の奥底に刻まれた記憶から逃れられなかった妻。その記憶から離れられるきっかけが認知症による記憶の喪失だったという。

物忘れという点において不便が多い生活ではあるが、十数年ぶりのとても静かで楽しそうな夫婦の日々の描写には涙が止まらなかった。

 

 

金間大介(著)『先生、どうか皆の前でほめないで下さい―いい子症候群の若者たち』

先月、稲田豊史(著)『映画を早送りで見る人たち』の流れから、Amazonのリコメンドを利用して若者や教育論を書いた書籍をいくつか買って読んだが、その中でも衝撃的だったのがこの一冊。

著者は金沢大学で教鞭を取る教授で、実際に学生たちを見てきた印象だけでなくアンケートなどデータを取る事で、近年の若者の意識を浮かび上がらせている。

 

タイトルにあるように、人前でほめるぐらいなら何も言わないで欲しいという若者の心理。

競争を避け横並びの状態を好む若者たちは、自分が評価されるという良いことですら他者からの評価によって自身の立ち位置が変動することに対してストレスを感じる。だからこそ突出したくない。

その根本にあるのは、自分が属する狭いコミュニティの人たちに目立っている(いた)ことが知られる恐怖。

キャラ設定が崩れないよう振る舞う、そんな繊細で複雑な心理が様々な視点から調査されている。

 

と、ここまで書いてきて思うのが、これは現在の若者に限った話ではなく多くの日本人が持つ日本人的な心理そのものなんですよね。

そもそも日本人的な精神構造の一つとして、"私"というものが私個人ではなく、他者や世間などとの間で宙に浮いているというものがある。

個人の自由よりも全体の和を重んじる同調圧力が強い社会であるわけで、それが近年のネットやSNSから影響を受けやすい若者は、それらで学習した振る舞いの最適化により横並び化していく。

個性や自主性を重視した教育と何十年も前から言われているが、学校だけでなく社会構造全体が個の自主性を挫く事に無頓着であるわけで、そこをすっ飛ばして自主的であれというのは無理がある。

 

無謬性が前提とされていることに疑問を持たないまま近代を迎え、また経済の停滞と格差の拡大によって失敗が命取りになる社会。

そういった中で子どもたちが失敗しないように不安を使って抑圧された状態によって教育をするという構造であるから、個人の判断が後手にまわる事が有利になっている。

学校生活やSNSなど絶えず行われる自己点検により態度が最適化された結果として、自主性は低いが"いい子"がたくさん生まれてきたというのは、なかなか根が深い。

ただ本書の終盤でも書かれているように、これは根本的に現在の社会を作った今の大人達の問題であるだけに難しい。

 

その他、教育関係で面白かったのが

本田由紀(著)『教育は何を評価してきたのか』

戦前から現代までの教育システムの中で、どんな人をどんな社会が求めてきたかを見ていく一冊。

近年の教育は「垂直的序列化」と「水平的画一化」を加速させながら、子供たちのレベルを平均的に高い状態に持っていく。だがその一方、自己の欲求を殺し、縦軸と横軸の他者からの圧力によって動くというふるまいを学習させ、態度や意欲まで評価することにより、大人になっても自己肯定感が低く、平均的な能力は高いが経済活動の活性化につながっていないという視点が面白い。

また、ものづくりや技術立国などと口では言いながら、技術者などスペシャリストに対してのインセンティブが低いため、個々のスキルを高める事が重要視されていない。

結果、学習意欲の低いゼネラリスト(そう呼ぶのも相応しくないだろうが)を大量に生み出し、それを企業がありがたがる上に、なんなら出世してしまう(メンバーシップ型雇用の弊害)という訳のわからない状況によって企業が疲弊している。

 

こういった問題を解決するには様々なシステムを根本から変える必要があるが、政治や組織、なんなら個人でさえも現状を変えない為には何でもするという特異な指向性を持っている日本人にはかなり難しい。

 

佐々木チワワ(著)『「ぴえん」という病 SNS世代の消費と承認』

歌舞伎町をフィールドワークとして日々通う大学生の著者。トー横キッズやホストクラブに通う客など夜の街を生きる若者が丁寧に取材されている。

消費がアイデンティティとなる現代において、SNSが他者へ誇示するツールとして優秀すぎることから生み出される嫉妬と孤独と依存。

個人の言動すらも資本主義の消費対象となったことで、その欲望をたくみに刺激し利用するビジネスと密接にありすぎる若者たちの不安定さがまざまざと描かれている。

 

 

そして、ここからは映像関連。

Netflix『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』

自閉症スペクトラムを抱えた女性ウ・ヨンウが新人弁護士として成長していく物語。

驚異的な記憶力を持ち、ソウル大学法学部を主席で卒業した彼女であるが、自閉症スペクトラムなので他人の気持ちやちょっとした仕草の意味、その場の空気を読むことが苦手。

弁護士にとって致命的な欠点を持つ彼女が、同僚や上司、友達の協力を得て裁判を闘い。また時には恋をしてみたりと、彼女のひたむきさが周囲に様々な変化を与えながら物語は進んでいく。

 

韓国お得意のニューロダイバーシティを扱った作品であるが、本作は何より主人公の愛らしさに全振りした内容で、彼女が壁にぶつかりながらも1歩ずつ進んでいく様が何より可愛らしい。

 

そんなヌルめな作品と思いきや、韓国の作品らしく現在の社会が抱えている問題を鋭く見事に描いている。

そんな本作が何より素晴らしかったのは、9話と10話。

一般的に自閉症スペクトラム症の人は恋愛が苦手だと言われ、本作でも主人公は人の気持ちを慮る事が難しく、また人に触れられる事も得意ではない。

そういったパーソナリティを持つ主人公の恋愛模様と成就が描かれる9話。

しかし次の10話では、知的障害のある女性に対しての性的暴行がテーマとなる裁判を持ってくるイジワルさ。

 

愛という感情。この複雑でありながらプリミティブに心から湧く感情は、他者に言葉で説明することすら出来ない心の動き。

その愛の一端を知る事が出来たウ・ヨンウ弁護士が対峙する、複雑な愛の形。

 

弱い立場にある人々が様々な判断・決定をする場合に際して、しばしば我々を含めた社会はパターナリスティックな態度を取りがちであるが、自己決定・判断能力を尊重した結果、本人が傷つく事も容認するべきなのだろうか。

適応的選好の形成によって偏りがち(選択を奪われがち)な世界を生きる人の意思決定を社会はどう受け止めれば良いのだろうか。

スペクトラムな人間の状態を平等に裁けるような刑法が整備されていないというシステムの問題なのだろうか。(これらの問いかけは自立支援のコアの部分でもある)

こういった複数の課題が折り重なって判断が非常に難しい問題を雑に単純化することなく、しかも本作の描いたメッセージを押し付ける事もなく、巧みな物語の構成によって視聴者の感情を様々な方向へ振り回しながら、グレーの濃淡を考えさせるストーリーとなっている。

この2話は完璧と言って良い出来で、今年見た国内外全てのドラマの中でもトップクラスの完成度。

 

残念ながらそこから後半(全16話)は、ここまで散りばめられていたフリを上手く利用する事が出来ず失速してしまった感があり、全体としての評価はちょっと下がる。

ただ最終話のラストシーンで傍から見れば小さな成長であるが、ここまで彼女の奮闘を見てきた視聴者にとっては、とても大きな一歩として実感させるような描き方、それを感動を呼ぶ一場面として完成させたのは、ここまで丁寧に演じてきた役者の素晴らしさによるもの。

物語的には続編が必要だとは思わないが、彼女の活躍をずっと見続けていたいと思うくらいに大好きな作品なので、シーズン2以降長く続く作品になると良いですね。

 

 

AppleTV+『セヴェランス』

脳にインプラントを埋め込む事で、仕事をしている私とプライベートの私を分離(severance)させ、究極のワークライフバランスを実現しましょうというSFドラマ。

 

プライベートの私は仕事が始まった瞬間記憶が飛び、0.1秒も満たない内に仕事が終わった状態に飛ばされる。

仕事をしている私は仕事が終わった瞬間からまた仕事の一日が始まる。

この2つに分離させられた人格のうち、一生仕事という貧乏くじを引かされた人格が、この状態を抜け出そうと画策していく。

 

というガッツリとしたSFドラマかと思いきや、本編の肝となる部分は会社あるある。

何をやってるのかわからない部署や普段行ったことのないオフィス。そもそも私はこの会社にとって何なのかという、まぬけだが切実な疑問がドラマとして描かれているのが面白い。

 

ワークライフバランスの重要性が叫ばれ、国や企業も様々なシステム変更や福利厚生を用意している。ただ産業は複雑化し多様な知識が必要なる現代の社会で最も求められている資質に一つとして、仕事をしていない時間でも仕事の事を考えてくれる人材(いわば仕事が趣味)というのは変わらない。そういった状況の風刺から来たアイデアの面白さ。

ホラーなのかSFなのかコメディなのかわからない作品かつ、序盤はテンポも遅い。しかも本作はおもいっきりシーズン2へ続くというクリフハンガーで終わってるので人を選ぶ作品かもしれないが、一般的なドラマにはない味がある。

 

 

NHK『ふたりのディスタンス』

距離をテーマにしたドキュメンタリーシリーズ。

先月放送されたのは、爆笑問題太田光と光代夫妻。

 

自宅で一緒に食事をすることも、普段の会話すらほぼ無くなった太田夫妻が10年ぶりに行った熱海旅行の密着。

行きの電車内での無言の距離感から始まり、一緒に宿で過ごす内に会話が増えていく感じが物凄くリアル。

 

太田光代が「空気のような夫婦にはなりたくない」と思っていたのに、長年過ごしていく中でそうなってしまった事。その関係性を少しずつ壊していこうとする妻の微笑ましさと、それを徐々に受け入れていく夫。

しかし、今でもお互いがお互いを想っているからこそ、ちょっとだけ壁に隙間ができれば、そこからすぐに関係性が戻ってくる感じが本当に素敵だった。

 

結婚して30年以上経ってもまだまだ夫の事が大好きな太田光代。その愛を感じているからこそただただ照れて受け流すシャイな太田光という、昭和のラブコメみたいな二人がメチャクチャ良かった。

 

 

TVer『神回だけ見せます!』

待望のシーズン2配信。今回もマジで神回の連続。

今回のラインナップにある鉄道と野球の神回。そのどちらもまったく興味が無い私としては、どうしたものだろうかと思いつつ。だが、ここは佐久間宣行と伊集院光がVTRをどう料理するのかちょろっと見てみるかと見始めたら、これもやっぱり神回で驚いた。

国鉄が民営化されJRに変わる瞬間の職員たちの姿。

優勝が決まる瞬間のテレビ中継を担当しているカメラマンやディレクターの技術。

一瞬を捉えた映像の中に積み重ねてきた技や人生など、様々な要素が詰まっている。いやぁマジで神回ですよ。

 

その他シーズン1でも面白かったベタドラマ。昭和のテレビを作ったレジェンドおっさんの話。そして、まさか蛭子能収に泣かされるとは。

ホントこの番組大好きなので、ぜひシーズン3以降も末永くいつまでも続いて欲しい。お願い。

 

 

Netflix『カーター』

『悪女』『殺人の告白』で有名なチョン・ビョンギル監督の最新作。

全編アクション+過剰な暴力表現(グロ含む)+ゾンビ的感染症という要素を雑に詰め込んだ一作。

映画に限らず韓国はミクスチャーの文化だと言われるが、一皿1500キロカロリーのよくばりセット的な味わいがある。

 

『悪女』で印象的だったワンカットに見せるアクションシーン。それが今回はよりパワーアップして、全編がシームレスに映像が繋がる形で展開。ドローンやCGを多用して目まぐるしく視点が変化するアクションシーンはゴイスー。

ただアクションの連続で緩急に乏しく、君たちずっと動いてて元気やなって一歩引いてしまう感じもあるので、そこは良し悪し。

 

Netflixではヴァンパイアを倒す賞金稼ぎの映画『デイ・シフト』と並び、非常に良い塩梅で中身の無いアクション映画となっているので、夏の疲れで濃いストーリーは結構って方にオススメ。どちらも面白い。

 

 

最後に音楽。

Mysteka - Caramel Planet

最近のFuture Bassでは最も再生した曲かも。アゲすぎず、サゲすぎず。心地よいベースとkawaiiフレーバーが心を潤す。

 

で、めっちゃどうでもいい話だけど、これを最初に聴いた時30年以上前のテレビ番組『パソコンサンデー』のオープニング思い出しちゃった。

っていうかこの手のメロディ聴くと全部パソコンサンデー見てた頃、それこそX68000に憧れながらワクワクして見ていた記憶が蘇って来るので、本当に子供の頃の記憶って根深いな。

ちなみにこのOP曲は、姫神せんせいしょんのGun Doです。

 

 

That Fancy I - Poppin

ロディアスでエモい楽曲を得意とするTom-iの新名義That Fancy Iのファーストリリース。

コレコレ!これですよ!ってな感じの甘くて弾けるUKガラージの仕上がり。今後の活躍期待してます。

 

 

TORIENA - Axon

TORIENA - RAW

TORIENA - 頭蓋Vital

TORIENAのアルバム『RAW』からの3曲。

このアルバム自体がバッキバキのアシッドテクノ満載のアルバムで最高なのだが、その中でもコレ。

こういったアシッド系のサウンドも子供の頃に浴びた記憶が今でも続いてる感じ。私が中学生の時に出たThe Prodigyのアルバム『Experience』で脳みそやられて、その次の『Music for the Jilted Generation』で完全に脳が溶かされました。今もまだ溶けたままですね。

 

 

DJ Andy - Vigilante

DJ AndyのEP『The Movement』からの一曲。

久々に来ました。運転中にかけると、すぐにトイレに行けないという状況も相まって尿意が襲いかかる曲。

ベースのブンブンが膀胱にダイレクト。いいですねー。最高です。

 

ってな感じで今月はおしまい。また来月。